2022年、パンデミックの後、技術革新のペースは再び上がり始め、2023年には大きな成果が期待される。
ここでは、来シーズンのロードバイクテクノロジーを定義するのに役立つと思われる開発およびトレンドについて見てみよう。
さあ、水晶玉よ、どんな未来が待っているだろうか…。
多くの電子グループセットが第4世代へ

Image credit: sram
SRAMは、Red、Force、Rivalのトップ3がすべてワイヤレスeTap AXSバージョンであり、グループセットの電動化を率先して行っている。
SRAMは下記のようなランクとなっている。詳しく書くと更に細分化されている。
- Red eTAP AXS 電動12速ワイヤレス
- Red eTAP 電動11速ワイヤレス
- Red 11S
- FORCE eTap AXS 電動12速ワイヤレス
- Rival eTap AXS 電動12速ワイヤレス
- APEX
Rivalは2021年に電動化されている。
シマノも、105 Di2を発売した。ついに105も電動化だ。
105は、もともと「スポーツ」ライドと同様に「レジャー」ライド用に設計された低価格コンポーネントのセットであり、同社の第3層のグループセットとなる。
当時も今も「本格的な」グループセットとみなされているDura-AceやUltegraへの登竜門的なグループセットだった。
しかし、105 Di2の価格は、以前の機械式バージョンの約2倍となった。
SRAMがエントリーレベルのApexの電子ワイヤレスバージョンを発売しようとしていることを示唆する新しい特許が最近発見されている。
より低価格なグループセットの電子化の変革は続いていくようだ。
シマノ機械式グループセットは?

Image credit: shimano
シマノが、機械式が好きなユーザーを完全に見捨てるとは思わない。
SRAMは現在もForceとRivalの1xメカニカルバージョンを提供しており、eTap AXSバージョンが発売されれば、おそらく1xメカニカルApexも残すだろうと想像される。
そう考えると、シマノがアマチュアレーサーをターゲットにした軽量で洗練された機械式グループセットを発表しても驚かないだろう。
デュラエース、アルテグラ、105は12速だが、12速の機械式105グループセットはどうだろうか。
シマノが10速のティアグラを機械式グループセットのトップとして残すとは思えない。現在の、11速機械式105は、当分の間しか製造を継続しないことが示唆されている。
また、シマノは互換性をより明確にするために、下位のグループセットを簡素化するようだ。
したがって、おそらくドライブトレインのコンポーネントが何速用に設計されているかに基づいて改良されると思われる。
カンパニョーロがワイヤレス化されて、ロード用13速化?

Image credit: Campagnolo
最近、カンパニョーロは、とても静かだ。実際、2022年には特筆すべき新情報は何もなかった。
シマノがデュラエースとアルテグラ、そして105 Di2でセミワイヤレス化した。SRAM eTapが来年、4つのグループセットに搭載される可能性があることから、カンパはきっとワイヤレスのグループセットを計画しているに違いない。
それとも……もしかしたら、ロード用13速もあるかも?
すでに13速化はグラベルセットで2020年に販売されている。
カンパニョーロは伝統的に1段変速を採用しており、1x Ekarから2xスーパーレコード、レコード、コーラスに13スプロケット技術を移植するのだろうか。
もしかしたら、13速のワイヤレススーパーレコードという巨大なものを設計しているのかもしれない。
13速のワイヤレススーパーレコード?!
それは本当に壮観で、ぜひ見てみたいものだ。見た目も素晴らしいだろう。
ロードタイヤのワイド化は?

Image credit: Future
ディスクブレーキへの移行により、より幅の広いロードタイヤを見かけるようになったが、どの程度まで幅が広がるだろうか。
ホイールブランドParcoursは、道路がこれ以上荒れない限り、30mmより広いタイヤは必要ないと考えているそうだ。
30mmを超えると、タイヤが重くなり、空力的にも不利になる可能性が高く、さらに重要なのは、まだ製造されていないことだ。
コンチネンタルは32mmのグランプリ5000 S TRを製造しているが、その時点から混走路を持つ「オールロード」部門が引き継ぎを始める。
そのため、業界が28mmまたは30mmをロードの標準とするようになれば、34mmのクリアランスでフレームを設計する必要がなくなり、ロードバイク専用に、少ないクリアランスが復活する可能性がある。
3Dプリントバイクとコンポーネント

Image credit: RONAN MC LAUGHLIN
2022年は、3Dプリンティングが本格的に登場した年と言ってよい。
フィリッポ・ガンナがアワーレコードの更新に使用したピナレロのトラックバイクは、3Dプリントされたアルミニウムフレームで、通常の製造方法では非常に困難な空力的特徴を備えていた。
UKスポーツのトラックバイクのデザイナー、ディミトリス・カタニスが率いるイギリスの会社メトロンは、ピナレロと協力してこのバイクを製造し、自身も3Dプリンティングに全面的に投資している。

Image credit: mythos
3Dプリントされたスケルトン状のステムも登場した。性能の向上に意味があるのかはわからない。
カスタムバイクの分野では3Dプリントがかなり標準的となり、他の製造方法よりも3Dプリントするほうが安くつくこともわかっている。
さらに、スチール、カーボン、チタン、アルミニウムなど、あらゆる素材に3Dプリントすることが可能となっている。更に3Dプリントの製品が増えるのは間違いない。
快適性と軽量化を両立させる独創的な方法

Image credit: Trek
UCIが3:1ルールを緩和したことで、Trek Madone、Scott Foil、Cervélo S5といった最新のエアロバイクでは、より深いチューブを目にすることができるようになった。
翼型のプロファイルは、少なくとも乗り心地に役立つが、丸いチューブのように曲がらない。そのため、設計者が実際にシートチューブから材料の一部を取り除いて、より柔軟にするのが見られた。
Trek MadoneにはIsoFlowと呼ばれる穴があるが、これは合計3つの目的を果たすという。空力改善、軽量化、快適性の向上と謳っている。
Scott Foil RCは、シートチューブの後部に切り込みがあり、そこにフェアリングを入れて空力を維持し、フレックスを可能にしている。
GIANTは、新しいPropelで、チューブに必要な「ギブ」のためにカーボン製造に頼っている。
これからのフレームデザインは、デザイナーが再び想像力を働かせる時代に突入している。そして、2023年にはいくつかのワイルドな新しい形状が見られることだろう。
デバイスの統合

Image credit: Cannondale
キャノンデールのSmart Senseシステムは、ライトと背面レーダーを統合し、フレームに取り付けられた1つのバッテリーで充電するものだ。
2022年に新しいエンデュランスバイク「Synapse」で発表した際には、自転車を購入する人たちから様々な反応があった。
しかし、キャノンデールは粘り強く、将来のキャノンデールのロードモデルのほとんどに、ある程度のSmart Sense対応機能を組み込むと当時述べていた。
キャノンデールはその後、SmartSenseを搭載したグラベルバイクのTopstone Carbonを発売。
2023年には新しいキャノンデールのロードバイクが登場することは間違いなく、キャノンデールは、さらにデバイスの統合を進めるはずだ。
また、ロードバイクの他のメーカーもキャノンデールと同じような考えを持つようになる可能性がある。
多くのE-BIKEが利便性と信頼性のためにこの統合を採用しているが、もし十分に軽量化できるのなら、ロードバイクもそうしない手はない。
Cannondalは新型の統合されたロードバイクを開発している。これにSmart Senseも搭載されるだろうか。
マグネシウムバイク

Vaast R/1 700C Ultegra Image credit: vaastbikes
VAAST R/1はマグネシウムで作られており、メーカーはチタンよりも軽く、スチールよりも強いと主張し、アルミニウムに対して競争力のある価格を設定している。
また、アルミニウムよりもリサイクルが容易で、VAASTは繊維をベースにしたプラスチックフリーのパッケージで、環境への影響をさらに軽減することにも注力している。
マグネシウムは、未来のフレーム素材になる可能性があり、特にその環境性能は、今後の自転車産業においてますます重要な役割を果たすことになるだろう。
コメント