日本のヒルクライムレースは、乗鞍や富士クライムなど20km前後の本格的に長いレースが多い。
だが、海外、特に英国のヒルクライムチャンピオンシップなどは、直線で1.54kmとか4.2kmとか毎年コースは変わるが短い。これは、アスリートだけでなく、それを見て楽しむ観客のために短くなっている。
走るほうも、ツール・ド・フランスの山岳ステージのように観客が途切れないので手の抜きようもない。
では、英国のトップヒルクライマーはどんな練習をしているのだろうか。これまで紹介していたライダーの練習内容を見てみよう。
アンドリュー・フレーザー 英国
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英国ヒルクライム選手権では4度の優勝。2023年にはついにディクスブレーキのロードで優勝している。
アンドリュー・フレーザーのコメント
英国ヒルクライム選手権と同じような長さと勾配に集中するようにしている。 トレーニング中に登り坂をハイパワーで走ることに慣れることは有効だ。
時間が経つにつれて、体はその努力に適応する方法を学んでいく。 特定の努力を再現すること以外のアドバイスとしては、ただ楽しむことだ。
疲れているなら、無理せず回復すること。 明日があるし、あの登りはまだあなたを待っている!
- ワークアウト時間 : 45分以上
- 基本:ウォームアップ、2~3回の努力、クールダウン
- 詳細:アンドリュー・フェザーはウォームアップを指定していないため、理想的には2~3回の短いトレーニングで体をほぐす
- 目標としている距離と同程度の登りで、高出力で2~3回のエクササイズを行う
– 10~15分のクールダウン
ただ、これだけではないはず。彼は常勤弁護士で通勤で1日往復60キロ乗っている。これ以外のヒルクライム練習が上記だと思われる。
トム・ベル
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2021英国ヒルクライム選手権優勝者。トム・ベルのコメントは以下の通り。
ヒルクライムシーズンの中で、週末のレースに向けて生理学的、心理学的に準備するためのものだ。
この一連のトレーニングでできることは、目標出力で走る感覚を身につけ、レース本番の前にその感覚に慣れることだ。
- ワークアウト時間 : 60~90分
- 基本:40 分のウォームアップ、3 分休憩を挟んだ 4~6 回のインターバル、ウォームダウン
- 詳細:後半に FTP の 105~110% で 2 回 2.5 分の運動を含む40 分の Z2ウォームアップ- 次に、目標ワット数で 4~6 回のインターバル
- インターバルの合計時間は目標努力値の約50%増しになるようにする。 (例:目標とする坂や種目で4分かかると予想される場合、目標ワット数で1分のインターバルを6回行う)。 休憩は3分。
イリ・ガードナー
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エベレスト、ゾンコラン、ガリビエ峠、モン・ヴァントゥなど、世界で最も象徴的な登山を含む、11,500を超えるStrava QOM(コースレコード)を所有している。
現在の英国ヒルクライム王者でもある。
イリ・ガードナーのコメント
きちんと構成されたセッションをすることはほとんどない。 普段は、自分がトレーニングしていることを忠実に再現しようとするだけだ。
ヒルクライムシーズンはイベントが比較的短いので、1週間のトレーニング時間は1年で一番少ない。
短時間でいいトレーニングができるし、すべてのゾーンを攻めながら、特定のタイプの努力に集中できる。効果があるようで自分は楽しんでいる。
- ワークアウト時間 : 約60分
- 基本:15 分のウォームアップ、5~10 分の坂道 3~4 回
- 詳細:5~10分間の全力疾走で、感覚を頼りに走る。 ガードナーは、「地形に合わせて走る」ことに慣れるためには、パワーに固執するのではなく、個々の登りが要求するところにもっと投資することが効果的だという。この後、簡単な回転でリカバリーし、さらに2~3箇所、同じような登り坂を探す。クールダウンは15分ほど楽に走る。
英国選手権は短く爆発的な登り。当然ターゲットとなる目標値も長いヒルクライムとは変わってくる。5分から10分も全力とか普通の人が出来ることではない。
全力で何度も出来る精神力とタフな身体がトップアスリートには必要のようだ。
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