ロードレース界において、若くして才能を開花させた選手に向けられる期待は、時に残酷なほどの重圧となる。
特に、現在のプロトンを牽引する最強チームの一つであるUAE Team Emirates – XRGに所属し、弱冠18歳で2030年までの超大型契約を結んだパブロ・トーレスであればなおさらだ。
周囲からの高すぎる期待
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同僚のタデイ・ポガチャルと比較されることも多いこのスペインの若き至宝は、周囲からの過剰な期待に対して「プレッシャーが大きすぎることがある」と素直な胸の内を明かしている。
若手選手がプロ入り直後からワールドツアーのビッグレースで勝利を量産することを求められがちな現代において、彼は周囲の声から意識的に距離を置き、自分自身の成長スピードに集中しようと必死にもがいているのだ。
次世代のグランツールレーサーとして嘱望される彼が、どのようにその重圧と向き合い、プロとしてのキャリアを築こうとしているのか。本人の言葉から紐解いていく。
プロ入り前の2024 ツール・ド・ラヴニールでの圧倒的な活躍が、ワールドツアーへのステップアップに繋がりました。その時のことをどう感じていますか?
あの時のレースが、ワールドツアーへ進むチャンスをくれたのは間違いない。もちろんすごくポジティブなことだが、もしかしたら毒入りの贈り物だったのかもしれないとも感じている。
あの瞬間から、私の肩にはとてつもないプレッシャーがのしかかるようになった。周囲の人たちが、私を次のトップレーサー、あるいは新しいタデイ・ポガチャルであるかのように扱うようになったんだ。
周囲からの高い期待は、やはり精神的な負担になっていますか?
みんなからそう言われると、自分でも密かにその期待に応えたいと思ってしまうものだ。でも、その後に期待された通りの結果が出せなかった時、ものすごく大きな挫折感に襲われ、精神的に深く落ち込んでしまう原因になる。
近年、若いライダーへのプレッシャーが強まっているように感じます。
ええ、今の若い選手たちには多くのプレッシャーがかかっていると思うし、私自身も間違いなくそれを感じている。誰もが私を「素晴らしい選手になる」と思ってくれているのは光栄だし、それは彼らの自由だ。
でも、彼らは私がプロ入りしてすぐに、最初のレースで勝つだろうとも思っているんだ。
そのような状況の中で、どのように重圧に対処しようとしているのでしょうか?
周りの声に耳を傾けず、自分自身のことに集中しなければならない。でも、誰もが私に勝ってほしいと願っているので、それは本当に難しいことなんだ。
チームは、私にまだ大きな成長の余地があることを理解してくれている。コンディションが最高の時は非常に良いデータが出るし、すべてを正しくこなせばプロで戦える十分なレベルに達する。ただ、プレッシャーとうまく付き合うことだけが本当に難しいんだ。
今シーズンの現実的な目標や、今後のスケジュールについて教えてください。年末のブエルタ・ア・エスパーニャ出場の可能性はありますか?
まずは少し休息を取り、そこからまた良いレベルまでしっかりと調子を上げていくことが重要だ。今シーズンの現実的な目標は、プロとしての初勝利を挙げることだね。
難しいことは分かっているが、勝てるようにハードなトレーニングを積んでいる。でも安心してほしい。もし今年ダメだったとしても、来年も諦めずに挑戦し続けるから。
ブエルタについても、まだ何も決まっていない。年末の選択肢にはなるかもしれないが、私から無理に出場を押し通すつもりはない。まずは小さなレースで安定した成績を残し、自分が抱えているプレッシャーの問題から解放されることが先決だ。
自分も2030年まで契約したことで、いきなり勝ち始めるほどの選手なのかと思っていた。ただ、アマとプロのレースではレベルが違う。そんなに簡単なことではないようだ。
パブロ・トーレスはフォーン=アルデシュ・クラシックから2026年シーズンをスタートする。まずはヤン・クリステンのアシストとして走ることになる。20歳のパブロ・トーレスにプロ初勝利のチャンスはいつ訪れるだろうか。




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