バイクレースにはルールがある。だが、タデイ・ポガチャルはそれを破り歴史を作った。
良いチームなしではツール・ド・フランスに勝つことは想定されていない。通常アシストでも総合タイムで2時間以上遅れている選手がチームで最高位ということはあり得ない。
初めてのツールで最終日前日に勝つことは想定されない。21歳でツールに勝つことも。
それはプラトン全体を驚嘆させ、みんなを驚かせた。
最後の攻撃はプレッシャーなし
絶対に逆転出来ないというルールは、ポガチャルがプレッシャーなしで走れるルールを提供してくれた。
土曜日、彼は57秒を逆転する必要があった。タイムトライアルは1時間近くかかるだろう。良い日と悪い日の差は、どちらの方向にも3分間スイングする。
選択肢は一つしかなかった。ホットな状態で出走して、何とか持ちこたえようとすること。
もし失敗しても、元の場所に戻ってしまうだけ。ルールではそれが最も可能性の高い結果だった。成功すれば、ツール初優勝だ。
これがタデイ・ポガチャルの逆転のための秘策だったとも言える。
90時間の中で
最初のタイムチェックでは、14km地点でログリッチに13秒差をつけた。
2回目のタイムチェックでは、30km先の登り坂で、 ポガチャルはさらに23秒差をつけて合計36秒タイム短縮、あと21秒で逆転だ。
合計でも90時間の走行の中で、数十秒のタイム差を争う。失う場面は無数に存在する。横風、パンク、落車、上り坂の頂上。タイムトライヤルも一緒だ。
悲鳴を上げる群衆の中を、ライダーが一人で警察のバイクに導かれて走り、ラジオのタイムチェックが耳にほとんど聞こえない時だ。
最初は、ポガチャルが突っ込みすぎだと誰もが思っていた。
だが、残り3kmの最も厳しい場面で、このツールの瞬間が訪れる。イエローとの差は10秒まで縮まり、5秒に。4,3,2,1…..。
ポガチャルは、横風の中のタイムロスを帳消しにした。
「ほんの1分だよ」と彼は言っていたが。
彼は第1週にアタックを仕掛け、最終週に迫りくる現実を無視していた。
彼はファビオ・アルとダヴィデ・フォルモロという2人の重要なスーパードメスティックを失っている。
世界最高のグランツールチームが完璧なレースを展開する中で、ポガチャルは彼らの後を追い、チームがいなくなるのを待っていた。
個人タイムトライヤルにはチームはいない。
そしてタデイ・ポガチャルは優勝した。強力なチームがなくても、経験がなくても、ワットと攻撃性で。
ルールはタデイ・ポガチャルには適用されない。 少なくとも今年は。
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