ウルフパックのカスパー・アスグリーンはSpecialized S-Works Tarmac SL7の開発に携わったメンバーの一人。
Specialized S-Works Tarmac SL7を使って、E3 Saxo Bank Classic (1.UWT)に、ロンド・ファン・フラーンデレンまで勝ちとっている。
自分が開発に携わったバイクで勝つのだから最高だ。
だが、カスパー・アスグリーンは、総合3位となったツール第7ステージ以降、山岳ステージではS-Works Tarmac SL7に乗らない。
なんと、UCIの重量制限6.8kgを大幅に下回るSpecialized Aethosに乗ると言うのだ。
カスパー・アスグリーンのSpecialized Aethos
上記の写真は、カスパー・アスグリーンが乗るSpecialized Aethos。Specialized S-Works Tarmac SL7と比べると、どうみてもエアロ性能は劣るように見える。
Aethosのフレーム重量は、なんと585g(54サイズ)。ディスクフレームでは世界最軽量のバイクだ。
だが、総重量は56cmサイズで6.26kg。UCIの6.8kgを大幅に下回る重量。
それでも、カスパー・アスグリーンはAethosを使用する。ただ、総合3位を死守するとか攻撃するとかという意味合いはないようだ。
ご存じのようにカスパー・アスグリーンはTTに強く、クラシックや独走などは強いが山岳は少し苦手だ。
カスパー・アスグリーンはAethosを使用する目的を次のように説明する。
自転車の空力特性は、集団の中にいるときに比べて非常に小さいので、集団の中にいるときに自転車がどれだけ速くても遅くても関係ない。
この2つのフレームの最大の違いは、その乗り方にある。体格の良い、体重の重い私にとっては、山岳では常にグルペットに入って、できるだけ楽に、新鮮な気持ちで一日を過ごそうとする。
フランスのターマック(舗装路)は、言ってみれば目が粗く、少し荒い。体に多くの振動が伝わってくる。
Aethosはそれをうまく吸収して、よりスムーズにしてくれるんだ。
体や筋肉、腰などへの振動がなければ、フィニッシュ時にはよりフレッシュな状態でゴールでき、次のステージに向けての回復力も高い。
山岳では、グルペットにいるので空力は全く関係ないといいきる。
まあ、自分が前面に立って風を受けて走る平地とは全く違うので、極力体力温存するための、納得出来る理由ですね。
コンポーネントの自由
UCIの重量規定を大きく下回るので、メカニックはフレーム以外で重量を増やさないといけない。
この点、アスグーンの場合には自由にパーツを選択出来るのがメリットになっている。
サドルも、いつも乗っているPhenomProサドルを使用。サドルはとても乗り心地に関わってくるので重要だ。
エアロ性能を追加するため、ホイールはRoval Rapide CLXを使う。
バイクの「乗り心地」の75%はフレームの形状に由来する。角のあるチューブの方が高速だか、丸いチューブの方が乗り心地は良くなる。
S-Works Tarmac SL7は、プロが乗っても固いと言われるほど。
Aethosの場合には乗り心地にも重点を置いているので、山岳で体力を消耗したくないカスパー・アスグリーンには最適なのだろう。
純正のAethosには丸ハンドル形状のAlpinistコックピットが使ってある。だが、カスパー・アスグリーンは。普段使っているShimanoのProハンドルを使う。
今回のツールでは、カスパー・アスグリーンだけがAethosを使用する。テストパターンで、他のライダーがメリットがあると思えば、将来的に使うことになると言う。
なんと、スペシャライズドが想定していなかった事態がツールで起こるとは。
カスパー・アスグリーンの Aethos Spec
- フレームセット:Specialized S-Works Aethos
- グループセット:Shimano Dura-Ace R9170 Di2
- ブレーキ:Shimano Dura-Ace R9170 Hydraulic Disc
- ホイールセット:Roval Rapide CLX
- ハンドルバー:Shiamno Pro Vibe Superlight
- ステム : Shiamno Pro
- パワーメーター : Shimano Dura-Ace R9100-P
- ペダル:Shimano Dura-Ace PD-R9100
- サドル:Specialized S-Works Romin Evo
- シートポスト:ターマックシートポスト
- ボトルケージ:Tacx Deva
- サイクリングコンピューター:Wahoo Elemnt Roam
この仕様でも、6.8kgは下回ってしまいそうだけど、大丈夫なのかな。
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