これまでE3 Binck Bank Classicと呼ばれていたベルギーのクラシックレースは、今年からE3 Saxo Bank Classicという新しい名前で継続される。
毎年ポスターは変わったデザインが使われるが、今年はロボットも登場し、ゴールエリアが一新されるなど注目されることの多いレースだ。
なお、BORA – hansgroheのMatthew Wallsはコロナ陽性反応となってしまい、チームは撤退。優勝候補の一人ニルス・ポリッツもレースを走ることなく去っている。
他のメンバーは陰性だったんですけどね。ベルギーのルールでチーム丸ごとDNF。
ハーレルベーケ~ハーレルベーケ 203.9km
17か所のセクターがライダーをふるいにかける。以下で映像で登りの様子がわかるが石畳のコースは厳しい。しかも200kmもあるし~。
- 28 km後:Kattenberg(6%で750 m、最大11%)
- 85 km後:La Houppe(4.8%で1880 m、最大10%)
- 92 km後:Kanarieberg(7.7%で1050 m)、最大14%)
- 100 km後:Oude Kruisberg(4.8%で800 m、最大9%)
- 107 km後:Knokteberg(7%で1260 m、最大13%)
- 111 km後:Hotondberg(4%で1200 m、最大8%)
- 118 km後:短い(6.4%で1000 m、最大17%)
- 123 km後:Taaienberg(6.3%で700 mの丸石、最大16%)
- 131 km:Berg ter Stene(1300 m 5.2%、最大9%)
- 136 km後:Boigneberg(5.2%で1000 m、最大12.3%)
- 141 km後:Eikenberg(6.2%で1250 m、最大10%)
- 146 km後:Stationsberg(700 mは3.2%、最大10%で丸石)
- 157 km後:Kapelberg(7.1%で750 m、最大14%)
- 161 km後:Paterberg(12.9%で400 mの石畳、最大20.3%)
- 164 km後:Oude Kwaremont(4%で2200 mの石畳、最大11.6%)
- 172 km後:Karnemelkbeekstraat(4.9%で1530 m、最大.18%)
- 183 km後:Tiegemberg(5.6%で750 m、最大9%)
まあ、これだけあったら間違いなく集団はシャッフルされて小さくなる。
最後から3番目のオウデクワレモントでアタックがかかり、石畳ではないけれど、Karnemelkbeekstraatでは最大勾配18%の登りで、最後の駆け引きがあるだろう。ただ、ゴールに向けては下っているので、逃げ切るには一人では難しいかもしれない。
プレゼンテーション
本日の主役の一人となるマチュー・ファンデルプール。どこで仕掛けてくるのか?
前回大会2位のワウト・ファンアールト。今日のゴールは集団にならないというワウト。
今年まだ勝利のないグレッグ・ファンアーヴェルマート。隣に並ぶオリバー・ナーセンと共にゴールを狙う。
ミラノ~サンレモ優勝のジャスパー・ストゥイヴェン(Trek – Segafredo)も要注意人物だ。
1昨年優勝のゼネク・スティバルは王冠を被って登場。
クイックステップのメンバーは今大会最強のメンバーだ。それにしても、プレゼンテーションが凄く派手だった。観客がいないのが残念。
逃げは12人
スタートは14度という気温。
ゴール手前118km地点で、フェルナンド・ガビリア(UAE-Team Emirates)とジョナタン・ナルバエス(INEOS Grenadiers)が落車。
二人共手首を押さえている。二人はここでリタイヤ。
逃げは、とても豪華。2018年優勝のニキ・テルプストラ、ミラノ~サンレモでも最後まで逃げ続けた、タコ・ファンデルホールン(Intermarché – Wanty – Gobert Matériaux)。
アンドレ・グライペルも逃げに乗っている。
- タコ・ファンデルホールン(Intermarché – Wanty – Gobert Matériaux)
- マルコ・ハーラー(Bahrain – Victorious)
- MILAN Jonathan (Bahrain – Victorious)
- BRUNEL Alexys (Groupama – FDJ)
- ヨハン・ヤコブス (Movistar Team)
- MAS Lluís (Movistar Team)
- ラスムス・ティレル (Uno-X Pro Cycling Team)
- ニキ・テルプストラ (Team Total Direct Energie)
- アンドレ・グライペル (Israel Start-Up Nation)
- WALLAYS Jelle (Cofidis, Solutions Crédits)
- DE VYLDER Lindsay (Sport Vlaanderen – Baloise)
- ジュリアス・ファンデンベルフ (EF Education – Nippo)
おっと、カスパー・アスグリーンがパンクだ。もっとも強力はアシストとなるので早く戻らないと。
今回、Bahrain – Victoriousのエースナンバーをつけているソンニ・コルブレッリもパンクでバイク交換。最後尾から追い上げる。
ジョン・デゲンコルプもパンク。特別なカスタムペイントのリドレーバイクに乗っている。
ヴィクトール・カンペナールツがアタックだ。今年はタイムトライヤルには注力しないので、ロードでも手ごわい。すぐにドリース・デポンド(Alpecin-Fenix)がチェックに入って連れもどす。
この独走力のある男を逃がしては大変だ。
先頭はKnoktebergに突入。最年長のアンドレ・グライペルは先頭交代に入って頑張っている。
クイン・シモンズがアタックだ。一気に第2集団から抜け出した。先頭まで1分30秒あるが一人で追いつくつもりだろう。集団はすでに二つに割れている。
さあ、クイックステップが仕事開始だ。まずはカスバー・アスグリーンが登りでアタックだ。
すぐに、ワウト・ファンアールトとマチュー・ファンデルプールが上がってくる。
11人となった集団は先頭に追いつく勢いだ。
先頭集団から、すでに後ろは見えている。これは合流しそうだ。
19人となった先頭グループでクイックステップがふるいにかける。
そして、またもカスバー・アスグリーンがアタックをかける。すぐに単独となるが、後ろは強力だ。
後方は第3集団が追いついて、一塊となる。逃げたがっていたマチュー・ファンデルプールも一旦は後ろに下がっている。
ニキ・テスプストラがアタックをかけた。だが、マチュー・ファンデルプールがすぐに抜いていく。
これは抜け出るか。マチュー・ファンデルプールにワウト・ファンアールト。そしてゼネク・スティバルの優勝候補3人だ。
ダメだ。決まらない。まだ、集団はすぐに後ろだ。
カスバー・アスグリーンは11秒前を走っている。
集団から5人が飛び出している。だが、一番後ろにクイックステップのフロリアン・セネシャルが重しとなっており、後ろで睨みを効かせている。
オリバー・ナーセン(AG2R)も入っているが、決定的な逃げとは言えないだろう。
後続から石畳の登りの一番端の部分を使って4人がぬけだした。先頭はワウト・ファンアールトだ。
ゼネク・スティバルにグレッグ・ファンアーヴェルマート、マチュー・ファンデルプールにワウト・ファンアールト。これは強力だ。
4人は先頭においついて、10人の集団となる。残りは36kmだ。前を行くカスバー・アスグリーンまで15秒ほど。
集団はマチュー・ファンデルプールとワウト・ファンアールトで交代で引いている。前にカスバー・アスグリーンが逃げているので、ゼネク・スティバルもフロリアン・セネシャルも引かない。
おーっ、後方からイブ・ランパールトとディラン・ファンバーレが追いついてきた。これは凄い。クイック・ステップはこれで何人いるんだ?
ワウト・ファンアールトが登りでアタックをかける。ここが決定的なアタックとなるか?
すぐにマチュー・ファンデルプールが続いてアタックをかけて抜け出す。だが、ゼネク・スティバルがピッタリとマーク。
なんと、最初にアタックをかけたワウト・ファンアールトは登りで遅れてしまう。
こうなると、後方に取り残されたワウト・ファンアールトは厳しい。今日のワウトは少し体調が良くなかったのか?
第2集団には、ゼネク・スティバルとフロリアン・セネシャルがいて、先頭交代に入らないので有利だ。
カスバー・アスグリーンはラスト12kmで捕まる。これでクイックステップは3人となる。
- マチュー・ファンデルプール(Alpecin-Fenix)
- グレッグ・ファンアーヴェルマート(AG2R Citroën Team)
- オリバー・ナーセン(AG2R Citroën Team)
- カスバー・アスグリーン(Deceuninck – Quick Step)
- ゼネク・スティバル(Deceuninck – Quick Step)
- フロリアン・セネシャル(Deceuninck – Quick Step)
- ディラン・ファンバーレ(INEOS Grenadiers)
捕まったカスバー・アスグリーンは、フロリアン・セネシャルに肩をたたかれる。カスバー・アスグリーンは、一番後ろで休んで、最後は捨て身の引きをみせるだろう。
しかし、しばらく最後尾で足を休めていたカスバー・アスグリーンがラスト4.9kmで道路の反対側に出てアタックをかける!
道路の反対側に出てのアタックで皆、虚を突かれてしまった。これはには誰も反応しない。いや、反応出来ない。
マチュー・ファンデルプールは後ろに、フロリアン・セネシャルがいて反応しようがない。
マチュー・ファンデルプールは、なんとか抜け出ようとするがこれは無理だろう。二人が必ずチェックに入る。
すでに15秒離れており、TTスペシャリストのカスバー・アスグリーンが逃げ切るには十分だ。
これは、カスバー・アスグリーンの逃げ切りだ。こうなると、二人いるクイックステップのチームの勝利となる。
AG2Rも二人いるが、捨て身で一人が引かないと追いつくことはない。
カスバー・アスグリーンは、途中の長いソロアタックが実った。
実に44kmも途中逃げておいて、追いつかれてからの再度のアタックは捨て身だった。だが、チームメイトが二人いたのは最高の展開となった。最後も逃げ切る足がちゃんとあるのは凄すぎる。
2位には、フロリアン・セネシャルがロングスプリントしたマチュー・ファンデルプールをまくった。
なんと、クイック・ステップはワンツーフニッシュとなり、最高の結果を得ることが出来た。まさにチーム力の勝利だ。
リザルト
Rnk | Rider | Team | UCI | Time |
---|---|---|---|---|
1 | ASGREEN Kasper | Deceuninck – Quick Step | 400 | 4:42:56 |
2 | SÉNÉCHAL Florian | Deceuninck – Quick Step | 320 | 0:32 |
3 | VAN DER POEL Mathieu | Alpecin-Fenix | 260 | ,, |
4 | NAESEN Oliver | AG2R Citroën Team | 220 | ,, |
5 | ŠTYBAR Zdeněk | Deceuninck – Quick Step | 180 | ,, |
6 | VAN AVERMAET Greg | AG2R Citroën Team | 140 | ,, |
7 | VAN BAARLE Dylan | INEOS Grenadiers | 120 | ,, |
8 | HOELGAARD Markus | Uno-X Pro Cycling Team | 100 | 1:28 |
9 | VERMEERSCH Gianni | Alpecin-Fenix | 80 | 1:30 |
10 | HALLER Marco | Bahrain – Victorious | 68 | ,, |
11 | VAN AERT Wout | Team Jumbo-Visma | 56 | ,, |
表彰式ではロボットが登場していた。
Straight out of a sci-fi movie 😁#E3SaxoBankClassic pic.twitter.com/dOfQfkHAyu
— Deceuninck-QuickStep (@deceuninck_qst) March 26, 2021
ゴールの障壁も新型が採用されており、安全だ。
This is absolutely fantastic to see! Big respect to @E3SaxoClassic with these upgraded barriers. I would love to see more of this! pic.twitter.com/Xpu5vCHF0I
— Sam Bennett (@Sammmy_Be) March 26, 2021
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