2025 ブエルタ・ア・エスパーニャで、トム・ピドコックが総合3位を獲得。
しかも彼が所属する Q36.5 Pro Cycling Teamはワールドツアーではなくプロチーム(ProTeam)。
1990年までさかのぼったけれどプロチームのライダーが表彰台に立ったことはない。さらに過去では現在のようなワールドチーム、プロチームの制度があいまいので記録はみつからない。
プロチームでの表彰台確保とは、ほとんど奇跡的な快挙と言ってよい。
プロチームからの快進撃
Against the Odds: A Grand Tour Podium
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— Q36.5 Pro Cycling Team (@Q36_5ProCycling) September 15, 2025
通常、グランツールの表彰台は豊富な資金力と長い歴史を持つワールドツアーチームが独占する。
しかしQ36.5 Pro Cycling Teamは、わずか創設3年目にしてその壁を打ち破った。ワイルドカード招待から始まった挑戦が、まさかの表彰台という結末を迎えたのだ。
トム・ピドコックが躍進したのは第9ステージ。ジョアン・アルメイダの引きについていったのが大きかった。
この後トム・ピドコックは、総合3位をキープ。第17ステージ2位、第20ステージでも4位と山岳でも粘りに粘ってゴールではスプリント力を生かして先着している。
惜しかったのは第11ステージ。ヨナス・ヴィンゲゴーと逃げてステージ優勝のチャンスだったのにデモでステージ優勝なし。これは惜しかった。
さらにステージ優勝を狙うのではなく、総合のために我慢してついていく戦術もみにつけ大きく崩れることもなかった。これは大きい。
トム・ピドコックのコメント
グランツールで僕が何ができるか、そして期待されることについて、たくさんの話があったと思う。
正直に言うと、僕自身からではなく、むしろ他の人から期待されていることだけど、僕がパフォーマンスを発揮できることを示したことは大きなことだ。
確かに、総合優勝には程遠いが、だからといって将来的にもっと近づくことができるというわけではない。こんなに短い期間で、チームとして成し遂げてきたことが、表彰台に立ったことで証明されたと思う。
だから、今はただ嬉しくて前向きな気持ちで、これからの活躍を楽しみにしている。以前はグランツールを楽しんでいなかった。それほど楽しいものではなかったのだ。
今回の経験は間違いなくその考え方を変えてくれた。身近な人たちやチームが私にできると信じてくれていることを、私も達成できると実感させてくれたんだ。
まるで肩の荷が下りたような、安堵感だね。総合優勝レースは退屈だと感じるかと言われると、退屈とは言わないが、退屈で単調になることもある。
安全策を講じる必要があり、退屈な選択肢を選ぶ必要があるんだ。突発的で不安定なレース展開の方が楽しいので、ある意味安全なレースと言える。
Q36.5チームオーナーのダグラス・ライターが僕に言ったんだ。2000年以降、グランツールで表彰台に立ったのは我々のプロチームだけだって。
だから、これは大きな出来事だ。しかも、ゲストチームとして、しかもレースで23番目のチームとして出場できるなんて、本当に大きなことだ。
Q36.5 Pro Cycling Teamは「Race Sharp. Prepare with Precision. Be Better Together.」という哲学を掲げている。直訳すると「シャープなレース。正確に準備する。共に良くなろう。」
今回の結果はその哲学が間違っていないことを証明したもの。ピドコックの存在はチーム全体を押し上げ、さらに大きな夢へと進むきっかけになるはずだ。
ブエルタ表彰台は、ピドコックにとってもQ36.5にとっても「ゴール」ではなく「始まり」に過ぎない。この表彰台獲得はトム・ピドコックの転機となるはずだ。グランツールのトップ10が常に狙えるライダーとなるかもしれない。
来シーズンQ36.5 Pro Cycling TeamはクライマーとしてTeam Jayco AlUlaからエディ・ダンバーとクリス・ハーパーを獲得する。山岳アシストが期待できる。
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