Intermarché – Wanty – Gobert Matériauxのタコ・ファンデルホールンは逃げのスペシャリスト。
ツール第5ステージでも、集団と微妙なタイム差を保ちながら逃げ切り、サイモン・クラークに僅差で負けはしたがステージ2位となった。
そのタコ・ファンデルホールンの乗るCube Litening C:68X TEのバイクが過激だ。バイクに関しては、2021ジロ・デ・イタリア第3ステージで逃げ切り勝利した時から、更に進化しているようだ。
エアロがすべて
サドルからバーまでの落差が大きく、細長いコックピットを持つ彼のバイクポジションは、ワールドツアープロトンの中でも最も過激なものの一つだ。
タコ・ファンデルホールンのハンドルバーはドロップ部が38cmと狭いが、フードはターンインしてブレーキフードの先端で30cmとなっている。
逃げの長距離クルージングに最適だ。
ただ、UCIはハンドル幅まで規制しようとしているので、このポジションでいつまで走れるのか微妙かもしれない。
さらにポジションを最適化するために、ゼロオフセット・シートポストとショートノーズ・ロードサドルを使用している。
これにより、前方でボトムブラケットより高い位置になり、アグレッシブなポジションでライディングする際にパワーを引き出すのに役立つはずだ。
Cube Litening C:68X TE(TEは「Team Edition」の略)は、最高のエアロロードバイクの一つだ。
タコ・ファンデルホールンは、 クリテリウム・デュ・ドーフィネで見られた新しい軽量Cube Liteningに乗り換えるのではなく、このモデルに固執する姿は驚くことではない。
エアロが全てなのだ。
公称では28cのタイヤしか装着できないが、実際にはそれ以上のタイヤを装着できるため、石畳を走るフラットで高速なレースには理想的なバイクといえるだろう。
多分、石畳のステージでは他のライダーと同じように30mmのタイヤを使用したと思われる。
最適化されたドライブトレイン
空力的なライディングポジションとバイクに加え、タコ・ファンデルホールンはドライブトレインも最適化した。
バイクには、56/44tの巨大なチェーンリングが装着。
このチェーンリングは、これまで平坦コースに最適化されたタイムトライアルバイクでしか見ることができなかったものだ。
このバイクのリアには11-34tカセットが装着されており、56tという巨大なチェーンリングをより長く使用できるようなワイドレンジのオプションが用意されている。
これまでのツールのほとんどがフラットなコースであることを考えると、ファンデルホールンがこのセットアップで走っていたとしても、驚くことはないだろう。
シマノがスポンサーする多くのチームと同様、タコ・ファンデルホールンのバイクにも最新の12速デュラエースDi2 R9200グループセットと、前世代のデュラエースR9100グループセットのパワーメータークランクセットとチェーンリングが混在されて使用されている。
この理由は、新しいパーツの入手が困難なためと思われる。
元ツール勝者のゲラント・トーマスでさえ、まだ同じセットアップを使用している。まあ、そのためにチェーン落ちも多いのだけど。
タコ・ファンデルホールンは、セラミックスピードOSPWエアロシステムを使用している。フェアリングはデンマーク仕様だ。
インサートなしで、チューブレスタイヤを使用
2021ジロの時には、コンチネンタルGP5000TLのチューブレスタイヤをNewmenのカーボンホイールに装着していた。
しかし、その後、彼と彼のチームは最新のコンチネンタルGP5000 S TRタイヤにアップグレードしている。
このタイヤは、パリ~ルーベでの連勝、タイムトライアル世界選手権での優勝している。
タイヤは、50mmのディープリムで空力的に最適化されたNewmenアドバンスドR.50ストレームカーボンホイールに装着された。
インサートは、チューブレスシーラントが染み込みやすく、多めに入れる必要があり、重量に敏感なチームのライダーには受け入れられなかったようだ。
各リムにはシーラントの注入量と最終チェックを記したステッカーが貼られている。
チューブレスシーラントは時間が経つと乾いてしまうので、パンクシール性能を維持するためには定期的に状態を確認することが重要となる。
ホイールには使い込まれたシマノRT-MT900ディスクブレーキローターが装着されている。
これもまた、自転車業界における新しいパーツの不足を反映していると思われ、プロチームでさえ、パーツの寿命を最大限に延ばす必要があるようだ。
タコ・ファンデルホールンは、石畳のステージで惜しくも優勝を逃したが、明らかに良い脚と彼に適したバイクセットアップを持っており、次の2週間のツールでも逃げを見せてくれることだろう。
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