ロンド・ファンフラーデレンでは、Quick-Step Alpha Vinyl Teamのカスパー・アスグリーンは勝負所のオウデクワレモントの登りでチェーンが落ちて脱落している。
さらに、ヘント〜ウェヴェルヘムでも、わずか25kmの区間で5人のライダーがチェーン落ちしている。
今シーズン、チェーン落ちが多い理由について、チームメカニックも嘆いている。何が原因でチェーン落ちが多いのだろうか?
チェーン落ちの理由
チェーン落ちの多い理由は簡単だ。12速の新型Dura-Ace R9200の登場に端を発している。
例えば、上記はINEOS Grenadiersのトム・ピドコックのバイクだが、クランクは11速。12速のDura-Ace、K-Edgeチェーンキーパーが装着されている。
つまり、多くのワールドチームでも、12速と11速のコンポが混ざった状態で使っているのだ。
あるメカニックは、12速グループセットと11速チェーンリングの組み合わせについて、
- アライメントが狂っている
- ビッグリングではさらに悪化する
- チェーン脱落が頻発する
と、率直な感想を述べている。メカニック全員が匿名なのは当然だ。
唯一問題のないチームは、Groupama – FDJだけ。全てが12速フルセットで走っているからだ。
なぜ、チェーンの脱落が多いのか?
メカニックの間では、「アライメントが悪い」「チェーンが細い」という2つの理由が挙げられている。
12枚のスプロケットを11枚と同じスペースに収めるには、幅を狭くして間隔を詰める必要があり、そのためには幅の狭いチェーンが必要となる。
この細いチェーンと、従来の太いチェーン用に設計されたチェーンリングを組み合わせると、たとえわずかであっても、そして目には見えなくても、相性が悪くなる可能性がある。
その場合、負荷がかかるまで変速のフィーリングは良好だと考えてよいだろう。
ちなみに、12速のデュラエースが登場する以前から、12速のXTRチェーンを11速のコンポーネントに装着する試みは数多く行われており、現在も行われている。
WeightWeeniesには、その長所と短所を議論する19ページのスレッドが存在し、多くの投稿は、チェーン落ちなどが少なくなったと報告されている。
負荷がかかった状態で変速しようとすると問題がより多く発生するため、変速時にはペダルを特に優しく踏まなければならない。
常識といえば常識だけど、プロライダーのパワーや石畳の道では、この問題はさらに誇張されることは想像に難くない。
シマノの回答は?
なぜチームは11速チェーンセットを12速グループセットで使用しているのかという質問に対して、シマノの回答は。
「単に製品の入手性と関係がある。主に172.5mm 12sのパワーメーターがスポンサーチームに納品されただけです。チームは、入手可能な製品でやりくりしているのです。」
2つのグループセットに公式な互換性がありますか?
ノーだ。互換性についてはチームに伝えている。11sのクランクセットを12sのコンポーネントで使用することはお勧めしません。
まあ、当たり前の答えだ。チームとしては、供給されたら使わないといけない。全てが供給されている訳ではないので、11速との混在となるというのが実情だ。
解決には時間が
各チームが意図的に古いクランクを選んでいる訳ではない。
新クランクはチェーンリングサイズによって前モデルより50~70グラム重い。これは無視できるほど軽いものではない。
2020年のツール・ド・フランスで、マウンテンバイクのディスクローターを好んだのは、19グラムの軽量化のためだった。
ただ、重量の問題は、全ての12速コンポが供給されれば、考える必要もなくなるかもしれない。
ワールドツアーチームでは、一人に対して3台は予備バイクがある。供給不足が続く限り、混在が続く可能性は高い。
11速に戻すのは難しいし、メカニックが頭を痛めるのは当分続きそうだ。
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