ブエルタは第17ステージのリチャル・カラパスの猛烈な追い込みにもかかわらず、プリモシュ・ログリッチが24秒のタイム差で総合優勝となった。
だが、リアルタイムの成績では、リチャル・カラパスが8秒勝っていたというのが実情だ。
今回の2020ブエルタでは、各ステージの勝者にボーナスタイムが与えられていた。
- 1位 10秒
- 2位 6秒
- 3位 4秒
このボーナスタイムが二人の勝負に大きく関係していた。
ログリッチは4勝
ログリッチはブエルタで4勝を上げた。タイムトライヤルも勝利したが、これにはボーナスタイムはない。
二人の獲得したボーナスタイムを見てみると
対するカラパスは
二人のボーナスタイムの差は32秒となり、24秒から差し引くと8秒カラパスがリアルタイムで勝っているという計算になる。
これに対してプリモシュ・ログリッチは
我々は皆、それらのタイムボーナスのチャンスを同じように持っている。それらを取ることができるのであれば、取りに行く。
勝った時には、どうやって取るかは見向きもしない。
とコメント。
ボーナスタイムがなければ、無理をして着を狙うことはないはずだ。
ボーナスタイムの在り方
ボーナスタイムの恩恵だけで、プリモシュ・ログリッチが勝ったというのは早計だ。ゴールでのボーナスタイムがあることは、誰もが知っている事実。
逆に、ボーナスタイムがなければプリモシュ・ログリッチの戦い方も違っていたはず。
第17ステージのゴールでは、ログリッチは21秒遅れたが、ボーナスタイムがなければ違う走り方になっていたはずだ。
ボーナスタイムの余裕があることで自分のペースで上がることが出来た。
大抵、ゴールといえば総合勢も固まって流していることがほとんど。
ボーナスタイムがあることで、まるでワンデイクラシックさながらの、ゴールシーンが見れたのは収穫だ。登りゴールでは、ダン・マーティンが素晴らしいスパートを見せてくれたし。
プリモシュ・ログリッチは、スプリントでもゴールを貪欲に狙っていく。これは見ていてとても面白い!
レースを盛り上げる点でも良かったのではないかな。
今回のブエルタで、ボーナスタイムがなければ、TTだけ頑張り、山岳ではついていくだけのいつものレースになっていただろう。
プリモシュ・ログリッチの勝利は素晴らしい
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プリモシュ・ログリッチは、ユンボ・ビズマの強力なメンバーの支えによって勝利を得た。第17ステージでは、カラパスの周りには誰もアシストがおらず、ログリッチには3人のアシストがいた。
タイムギャップを抑えられたのは強力なチームメイトのお陰だ。
それでも、今大会のプリモシュ・ログリッチの強さが際立っていたのは事実だ。ログリッチは1995年のローラン・ジャラベールが4勝を上げて以来の勝利数を上げた。
これだけ勝って総合勝利までもぎ取るのは素晴らしい。これこそが誰もが納得する、見たい勝者の形だと思う。
プリモシュ・ログリッチは2019年ジロで初めての表彰台に上がり、2019年ブエルタでグランツール初の総合優勝。
2020ツール・ド・フランス総合2位。そしてブエルタでは2年連続の総合優勝。ダブルツールを走っての総合優勝はとても価値がある。
来年は、ツールでの制覇を目指すだろう。イネオスはアシストを強化し、ポガチャルは万全の状態でのぞむ。面白い戦いを見せてくれるはずだ。
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