いよいよ第2週の山岳ステージが始まる。まずはゾンコランにゴールする登りフニッシュ。
「地獄への門」と形容されることもある名峰ゾンコラン。ここでジロで勝つ選手が間違いなく見えてくる。
第1週は天候に左右されクライマーの実力が発揮できないステージが多かった。だが、このゾンコランでは総合勢のガチンコ対決が見られるはずだ。
最も足のあるライダーは誰か? はっきりとするばすだ。
第14ステージ チッタデッラ〜ゾンコラン 205㎞
ヴェネツィアから車で1時間の都市チタデッラからスタート。山岳ステージといいつつ、最初の75 kmはほぼ平坦。
4級山岳を越えてスタートから120.6km地点にスプリントポイントがある。逃げのメンバーが奪っていくだろうが、後方ではサガンらがポイントを争うことになるかも。
そして、これまでジロに7回登場したゾンコランに向かう。前回2018年はクリス・フルームが優勝。
誰もが恐れるのは、ゴール手前3kmからの厳しい登り。これまで使われていたオヴァーロではなくストリオから登っているが、それでも破壊力抜群だ。
ラスト1kmの平均勾配は14.7%。500mに渡って20.4%の平均勾配。最大勾配は27%となるのだから、どんなギアを用意して走ればよいのか?
前のライダーについていくことも困難な登りとなるだろう。
スタート前
今日のサガンの出番は1回目のスプリントポイントだけかな。なんとかタイムアウトにならないようにゴールしないといけない。
は
優勝候補筆頭のエガン・ベルナル。
今日は登りの厳しさもあるが、それよりも寒い気温を気にしているようだ。3℃といったら真冬の気温となる。まさか雪にならないだろうけど、厳しいのは間違いない。
天候は曇り。気温19℃。ゴールは3℃で雨という予報。
第14ステージスタートでの4賞は
- マリア・ローザ(総合) エガン・ベルナル(Groupama-FDJ)
- マリア・チクラミーノ(ポイント賞) サガン(BORA-hansgrohe)
- マリア・アッズーラ(山岳賞) ジョフリー・ブシャール(AG2R Citroën Team)
- マリア・ビアンカ(新人賞) アレクサンドル・ウラソフ(Astana-Premier Tech)
スタートには、昨日優勝したジャコモ・ニッツォーロも並んでいる。
なお、ディラン・フルーネウェーヘンとディビット・デッカー(Team Jumbo-Visma)はDNS。ディラン・フルーネウェーヘンはスプリント勝利することなくジロを去っていく。
ジェイ・ヒンドレー(Team DSM)もDNS。サドルの痛みが原因。昨年の総合2位がいなくなってしまった。
ベルナルは、登りに備えてかアームウォーマーをしている。すでにゴールのゾンコランでは雨が降っており、身体を冷やさないことも重要だ。
ヴァレリオ・コンティ(UAE-Team Emirates)がパンク。まだ、リュートラルで良かった。
11人の逃げ
リアルスタートでファーストアタックをかけたのはヴィクトール・カンペナールツ。もう完全にTTスペシャリストというよりは、アタッカーだ。
ドリース・デポンド、トーマス・デヘントの逃げ屋のアタックがあったが、決まったのは11人の逃げ。
- 33. Andrii Ponomar(アンドレイ・ポノマール)Androni Giocattoli-Sidermec
- 57 TRATNIK Jan(ヤン・トラトニク)Bahrein-Victorious
- 86. Rémy Rochas(レミー・ロシャス)Cofidis
- 112. Vincenzo Albanese(ヴィンチェンツォ・アルバネーゼ)EOLO-Kometa
- 115. Lorenzo Fortunato(ロレンツォ・フォルトゥナート)EOLO-Kometa
- 151. George Bennett(ジョージ・ベネット)Jumbo-Visma
- 152. Edoardo Affini(エドアルド・アッフィニ)Jumbo-Visma
- 174. Nelson Oliveira(ネルソン・オリヴェイラ)Movistar
- 216. MOLLEMA Bauke(バウケ・モレマ)Trek-Segafredo
- 217. MOSCA Jacopo(ジャコポ・モスカ)Trek-Segafredo
- 223. Alessandro Covi(アレッサンドロ・コーヴィ)UAE
集団で落車。
- 16.Lawrence Naesen(ローレンス・ナーセン) AG2R Citroën Team
- 84. Nicolas Edet(二コラ・エデ)Cofidis, Solutions Crédits
オリバー・ナーセンの弟、ローレンス・ナーセンは走り出したが、二コラ・エデは走れそうにない。
逃げの先頭にはエドアルド・アッフィニ(Team Jumbo-Visma)の姿が。昨日のステージではゴール手前600mからアタック。
これは計画されたものではなかったけれど、後ろに誰もいなかったのでそのまま走ったと。ディラン・フルーネウェーヘンと少し離れてましたからね。2位になって嬉しいのか残念なのか良くわからないとか。
今日は、ジョージ・ベネットのために山岳手前まで引くでしょう。
集団はアスタナが引く。総合2位のアレクサンドル・ウラソフはタイムを縮めることが出来るかな。
残り146kmでタイム差が7分20秒まで開いてきた。
4級山岳
Israel Start-Up Nationのダヴィデ・チモライは、地元のようで集団前に出て皆に挨拶。
4級山岳はバウケ・モレマが1位通過。2位もトレックのジャコポ・モスカ。
残り108kmで7分39秒。あまりタイム差はかわらない。少しずつ登ってきている。
2級山岳
チームを新城幸也が引く。
残り60.8kmでは幸也は最後尾。
もう少しで2級山岳頂上だ。なんとか幸也は越えられるか?
先頭集団は、ジャコポ・モスカ(Trek-Segafredo)が引く。バウケ・モレマのアシストだ。
2級山岳頂上は、バウケ・モレマが1位通過で18ポイント追加。2位はアシストしたジャコポ・モスカ。バウケ・モレマは21ポイントの荒稼ぎで山岳賞3位に浮上。
集団も2級山岳頂上を越える。タイム差は5分58秒。
下りでは一時、ルイスレオン・サンチェスの引きで集団が分裂することに。エガン・ベルナルはしっかりとついていた。7人の危険な逃げだが、アスタナの攻撃だ。
エガン・ベルナルはジョナタン・カストロビエホに引かれている。他の総合グループのアシストは、ここで足を使わされている。常にベルナルは良い位置におり、遅れることはない。
これは王者の走りだ。
1級山岳ゾンコラン
2級山岳を下っていよいよ最後の1級山岳に。先頭はアスタナがアレクサンドル・ウラソフのために引く。
BORAのマッティオ・ファブロは一生懸命シューズカバーを取っている。これから頂上は天気悪いのに取る必要があるのかな。気温も3℃くらいまで下がるし~。
先頭は、まだエドアルド・アッフィニ(Jumbo-Visma)が引いている。凄い頑張りだ。これはトレックは助かるだろう。
今日こそ、バウケ・モレマはステージ優勝出来るかな。
残り19kmでタイム差は6分14秒。これだけあれば逃げ切れるのではないかな。先頭は9人に減っている。
バウケ・モレマのために引いていたジャコポ・モスカ(Trek-Segafredo)がきれていく。
集団も残り15kmを切った。まだ大集団だ。
ヤン・トラトニク(Bahrein-Victorious)は、ダミアーノ・カルーゾを待つのだろうか?
それとも普通にステージを狙うのか?
ジョージ・ベネットは今日こそ優勝を狙いたいだろう。
ヤン・トラトニクがアタックだ。少し前に出る。ここから勾配がきつくなる。
ヤン・トラトニクを追って後ろもペースを上げ始める。後方も6人になっている。アンドレイ・ポノマール)Androniが追走にはいる。
- 33. Andrii Ponomar(アンドレイ・ポノマール)Androni Giocattoli-Sidermec
- 115. Lorenzo Fortunato(ロレンツォ・フォルトゥナート)EOLO-Kometa
- 151. George Bennett(ジョージ・ベネット)Jumbo-Visma
- 174. Nelson Oliveira(ネルソン・オリヴェイラ)Movistar
- 216. MOLLEMA Bauke(バウケ・モレマ)Trek-Segafredo
- 223. Alessandro Covi(アレッサンドロ・コーヴィ)UAE
集団はイネオス先頭。まずはジャンニ・モスコンが引く。
ジャンニ・モスコンがラスト7.2kmで引き終わる。
今度は、ジョナタン・ナルバエスが引く。
まだ、イネオスはアシストを3人残している。
先頭には、ロレンツォ・フォルトゥナート(Eolo)が追いつく。後方は37秒後ろだ。これは二人の勝負となるのか?
ベルナルの後ろに、ウラソフ、カルーゾと続く。普通逆でいいのではと思うけど。とにかくベルナルは攻撃してタイムを稼ぎたい。
後方の4人は残り3kmの20%勾配でどう動くのか?
- 151. George Bennett(ジョージ・ベネット)Jumbo-Visma
- 174. Nelson Oliveira(ネルソン・オリヴェイラ)Movistar
- 216. MOLLEMA Bauke(バウケ・モレマ)Trek-Segafredo
- 223. Alessandro Covi(アレッサンドロ・コーヴィ)UAE
ジョナタン・ナルバエスが引き終わって、ジョナタン・カストロビエホが引く。アシストがいなくなったらベルナルの発射だ。
追走集団から、アレッサンドロ・コーヴィがアタック!
先頭は、ロレンツォ・フォルトゥナート(EOLO-Kometa)がアタックだ。ヤン・トラトニクはついていけない。
ロレンツォ・フォルトゥナートは、1,000人の有料観客の中を進む。あと1.5kmだ。普通ならば10万人いるのだが、少しさびしい。
ロレンツォ・フォルトゥナートは、後ろにヤン・トラトニクの姿を見て最後のスパートをかける。
レムコ・エヴェネプールは最後尾で耐えていたが、遅れてしまう。
ラスト900mでサイモン・イェーツがアタック!
反応出来たのはエガン・ベルナルだけだ。ついに山岳でサイモン・イェーツが動き出した。
ベルナルはシッティングで引いて貰っている形だ。これは溜めているなあ~。
ロレンツォ・フォルトゥナートは、見事な逃げ切り勝利!。
ワイルドカードで初めて出場したEOLO-Kometaは大金星となった。
彼の勝利は2013年Trofeo Guido Dorigoまでさかのぼらないといけない。25歳で初出場のグランツールでしかも優勝してしまうとは本人も驚きの結果だろう。
アルベルト・コンタドールとイヴァン・バッソは大喜びのはず。
YEEEESSSS!!!! Victoria de Fortunato en el mítico Monte Zoncolan! Grandísima victoria para nuestro equipo @EoloKometaTeam después de tanto trabajo! @AurumBikes pic.twitter.com/3YIOmo9xA4
— Alberto Contador (@albertocontador) May 22, 2021
アルベルト・コンタドールはもう狂ってますね(笑)
コンタドールは、チームがステージに勝った場合、マドリッドからミラノまで1,600km以上の距離を走ることを約束している。チームの初勝利でもあるし、そろそろ走りださないと。
頑張ったヤン・トラトニクは26秒遅れの2位。クライマー体形に見えないけどクライマーだ。
ベルナルは、サイモン・イェーツを置き去りにして、前を走るジョージ・ベネットを抜いていく。
更にゴール前でバウケ・モレマもとらえてしまい、ステージ4位に食い込む。背中の問題は全くない。
総合2位で、このステージに望んだアレクサンドル・ウラソフはステージ16位と大きく遅れる。総合2位から4位に転落。
リザルト
第14ステージ リザルト
Rnk | Rider | Team | UCI | Pnt | Time |
---|---|---|---|---|---|
1 | FORTUNATO Lorenzo | EOLO-Kometa | 100 | 80 | 5:17:22 |
2 | TRATNIK Jan | Bahrain – Victorious | 40 | 50 | 0:26 |
3 | COVI Alessandro | UAE-Team Emirates | 20 | 35 | 0:59 |
4 | BERNAL Egan | INEOS Grenadiers | 12 | 25 | 1:43 |
5 | MOLLEMA Bauke | Trek – Segafredo | 4 | 18 | 1:47 |
6 | YATES Simon | Team BikeExchange | 15 | 1:54 | |
7 | BENNETT George | Team Jumbo-Visma | 12 | 2:10 | |
8 | OLIVEIRA Nelson | Movistar Team | 10 | 2:18 | |
9 | MARTÍNEZ Daniel Felipe | INEOS Grenadiers | 8 | 2:22 | |
10 | CARUSO Damiano | Bahrain – Victorious | 6 | ,, | |
11 | CICCONE Giulio | Trek – Segafredo | 5 | ,, | |
12 | MARTIN Dan | Israel Start-Up Nation | 4 | 2:27 | |
13 | BUCHMANN Emanuel | BORA – hansgrohe | 3 | 2:29 | |
14 | CARTHY Hugh | EF Education – Nippo | 2 | 2:37 | |
15 | BARDET Romain | Team DSM | 1 | 2:45 | |
16 | VLASOV Aleksandr | Astana – Premier Tech | 2:55 | ||
17 | PEDRERO Antonio | Movistar Team | 3:07 | ||
18 | ALMEIDA João | Deceuninck – Quick Step | 3:11 | ||
19 | EVENEPOEL Remco | Deceuninck – Quick Step | 3:13 | ||
20 | SCHULTZ Nick | Team BikeExchange | ,, |
サイモン・イェーツはベルナルに11秒遅れでゴール。幸也は66位でゴール。
総合
Rnk | Prev | ▼▲ | Rider | Team | UCI | Time |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | – | BERNAL Egan | INEOS Grenadiers | 20 | 58:30:47 |
2 | 5 | ▲3 | YATES Simon | Team BikeExchange | 1:33 | |
3 | 3 | – | CARUSO Damiano | Bahrain – Victorious | 1:51 | |
4 | 2 | ▼2 | VLASOV Aleksandr | Astana – Premier Tech | 1:57 | |
5 | 4 | ▼1 | CARTHY Hugh | EF Education – Nippo | 2:11 | |
6 | 6 | – | BUCHMANN Emanuel | BORA – hansgrohe | 2:36 | |
7 | 8 | ▲1 | CICCONE Giulio | Trek – Segafredo | 3:03 | |
8 | 7 | ▼1 | EVENEPOEL Remco | Deceuninck – Quick Step | 3:52 | |
9 | 10 | ▲1 | MARTÍNEZ Daniel Felipe | INEOS Grenadiers | 3:54 | |
10 | 11 | ▲1 | BARDET Romain | Team DSM | 4:31 |
ついにサイモン・イェーツが山岳での強みをいかし、総合2位となる。ダミアーノ・カルーゾは、ヤン・トラトニクが前にいる中できっちりと総合3位をキープした。
ポイント賞
Rnk | Prev | ▼▲ | Rider | Team | Points |
---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | – | SAGAN Peter | BORA – hansgrohe | 135 |
2 | 2 | – | NIZZOLO Giacomo | Team Qhubeka ASSOS | 126 |
3 | 3 | – | CIMOLAI Davide | Israel Start-Up Nation | 113 |
4 | 4 | – | GAVIRIA Fernando | UAE-Team Emirates | 110 |
5 | 5 | – | VIVIANI Elia | Cofidis, Solutions Crédits | 86 |
6 | 6 | – | AFFINI Edoardo | Team Jumbo-Visma | 50 |
7 | 7 | – | MARENGO Umberto | Bardiani-CSF-Faizanè | 45 |
8 | 8 | – | MOSCHETTI Matteo | Trek – Segafredo | 44 |
9 | 9 | – | GAVAZZI Francesco | EOLO-Kometa | 42 |
10 | 11 | ▲1 | PASQUALON Andrea | Intermarché – Wanty – Gobert Matériaux | 41 |
山岳賞
Rnk | Prev | ▼▲ | Rider | Team | Points |
---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | – | BOUCHARD Geoffrey | AG2R Citroën Team | 96 |
2 | 2 | – | BERNAL Egan | INEOS Grenadiers | 57 |
3 | 4 | ▲1 | MOLLEMA Bauke | Trek – Segafredo | 50 |
4 | – | FORTUNATO Lorenzo | EOLO-Kometa | 40 | |
5 | 39 | ▲34 | TRATNIK Jan | Bahrain – Victorious | 26 |
6 | 3 | ▼3 | DE BONDT Dries | Alpecin-Fenix | 24 |
7 | 5 | ▼2 | CICCONE Giulio | Trek – Segafredo | 20 |
8 | 6 | ▼2 | GAVAZZI Francesco | EOLO-Kometa | 17 |
9 | 33 | ▲24 | COVI Alessandro | UAE-Team Emirates | 17 |
10 | 7 | ▼3 | ALBANESE Vincenzo | EOLO-Kometa | 16 |
ヤングライダー賞
Rnk | Prev | ▼▲ | Rider | Team | Time |
---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | – | BERNAL Egan | INEOS Grenadiers | 58:30:47 |
2 | 2 | – | VLASOV Aleksandr | Astana – Premier Tech | 1:57 |
3 | 3 | – | EVENEPOEL Remco | Deceuninck – Quick Step | 3:52 |
4 | 5 | ▲1 | MARTÍNEZ Daniel Felipe | INEOS Grenadiers | 3:54 |
5 | 4 | ▼1 | FOSS Tobias | Team Jumbo-Visma | 5:37 |
6 | 6 | – | VALTER Attila | Groupama – FDJ | 7:49 |
7 | 7 | – | ALMEIDA João | Deceuninck – Quick Step | 8:32 |
8 | 9 | ▲1 | FORTUNATO Lorenzo | EOLO-Kometa | 28:33 |
9 | 13 | ▲4 | COVI Alessandro | UAE-Team Emirates | 44:14 |
10 | 12 | ▲2 | RUBIO Einer Augusto | Movistar Team | 46:52 |
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