春の訪れを告げる、美しくも過酷な白い未舗装路の祭典ストラーデ・ビアンケ。
2026年大会の開幕を目前に控え、これまで数々の伝説的な独走劇を見せてきた絶対王者タデイ・ポガチャル(UAE Team Emirates – XRG)の功績を称え、勝負所のセクターコッレ・ピンズート(Colle Pinzuto)に、彼の名前が刻まれたマイルストーン(石碑)が建立された。
これまでジョン・デゲンコルプの名前がついたセクターがパリ~ルーベに登場したことはある。
今回はストラーデ・ビアンケに現役選手にして、早くもクラシックレースの歴史そのものに名が刻まれるという異例の事態だ。
自身の名前を冠したセクターの誕生に対する思い、そして強力な若手チームメイトと共に挑む今年のレース展望について、ポガチャル本人が語った。
伝説の始まり コッレ・ピンズートがポガチャルの道へ
Strade Bianche: “I’m a bit starstruck, as a kid, I really looked up to Fabian. It was incredible to watch him ride @StradeBianche. As a teenager, I wouldn’t even have dared to dream that this would happen to me.” said Tadej Pogačar (UAE Team Emirates) pic.twitter.com/4UpvXIagta
— categorycafe (@categorycafe) March 5, 2026
ストラーデ・ビアンケの未舗装路といえば、ファビアン・カンチェラーラの名を冠した「モンテ・サンテ・マリー」が有名。
だが、今回新たにポガチャルの名が刻まれたのは、ゴールまで残りわずかな場所に位置する難所「コッレ・ピンズート」だ。尖った丘の意味がある。
最大勾配15%に達するこの過酷な未舗装路は、過去に彼が決定的なアタックを放ち、ライバルたちを絶望の淵に沈めた因縁の場所でもある。
ポガチャル自身も、子供の頃に憧れたカンチェラーラと並んで自分の名前がセクターに付けられたことに対し、「本当に信じられない名誉だ」と喜びを露わにした。
新たに建立された石碑を前に、彼は誇らしげな表情を見せつつも、彼らしいユーモアを交えて語った。
絶対王者に立ちはだかるか、若きライバル
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— Strade Bianche (@StradeBianche) March 5, 2026
今年のUAE Team Emirates – XRGは、王者ポガチャルに加え、アイザック・デルトロらを擁する圧倒的な布陣でレースを支配すると見られている。
1.タデイ・ポガチャル
2.ヤン・クリステン
3.アイザック・デルトロ
4.フェリックス・グロスチャートナー
5.ドメン・ノヴァク
6.ケヴィン・ヴェルマーケ
7.フロリアン・フェルメルシュ
しかし、彼らのワンツーフィニッシュを脅かす存在として現地メディアが熱視線を送っているのが、19歳のフランス人超新星ポール・セイシャスだ。
ポガチャル自身も冬の間に厳しいトレーニングを積んできた自信を覗かせつつ、この勢いのある若きライバルの存在をしっかりと認識しているようだ。
以下、記念式典でのポガチャルへのインタビューをお届けする。
現役選手でありながら、ストラーデ・ビアンケのセクターに自分の名前が付けられるというのは、どのようなお気持ちですか?
本当に信じられないよ。自転車選手にとって、これ以上の名誉はないんじゃないかな。コッレ・ピンズートはストラーデ・ビアンケの中でも特に象徴的で、タフで、そして僕にとって素晴らしい思い出がたくさん詰まっている場所だ。
トロフィーとは違って、ここを通るすべての観客やサイクリストが見てくれるんだからね。自分の名前が刻まれた石碑を見た時は、本当に特別な気分だった。
ファビアンの隣にいると、少しスターに会った気分になる。子供の頃、彼を憧れの眼差しで見上げていた。彼がこの道でレースをする姿を見られるなんて、本当に素晴らしいことだ。十代の頃、こんな夢を見るなんて想像もできなかった。
ただ、一つだけ心配なことがあるんだ。夜中に誰かがあの石碑をこっそり盗んで、自分の家の庭に飾ったり、自然の中に消えてしまったりしないか、ってね(笑)。
冗談はさておき、本当に誇りに思うよ。
今シーズンの初戦に向けて、準備はいかがですか?また、土曜日のレースであなたに付いてこれる選手はいると思いますか?例えばポール・セイシャスなどはどうでしょう。
レースが本当に楽しみだよ。この冬は、シーズンを良い形でスタートさせるためにハードにトレーニングしてきた。
自宅や合宿でしっかり乗り込んできたから準備は万端だけど、あっという間に時間が過ぎてしまった感覚だね。
誰か付いてこれるかって? もちろん、この自分の名前がついたセクターでは、僕の前に誰も走っていないことを願うよ。でも、ポール・セイシャスのような選手は確かに調子が良さそうだね。厳しいレースになるだろうけど、僕らも全力を尽くすよ。
疲労が蓄積したレース最終盤に、最大勾配15%のコッレ・ピンズートと最大勾配18%のレ・トルフェという2つの名物激坂セットを、おかわりして2回連続でクリアしなければならないという、悪魔的なレイアウトはそのまま。
ポガチャルの名前が刻まれた石碑がこの場所に建てられたということは、2回通る究極の勝負所の象徴として、これ以上ないほどふさわしい場所と言える。
ここを通るときに、レースはどうなっているだろうか。







コメント
ポガチャルは近年では珍しい真のオールラウンダーであり既にロードレース史上に名を刻むだけの実績を残していますがまた一つ大きな勲章が加わった感じですね。
まあ嘗てのオールラウンダー型の選手がTTスペシャリストに近い、山岳も無難にこなせるスプリンター的な脚質だったのに対しポガチャルはピュアクライマーに匹敵する能力を持ちながらもTTスペシャリストとも渡り合える独走力を持ったクライマー寄りのオールラウンダーという違いはありますけどどの分野でも勝ちを狙えるというのはやはり大きな強みですよね。
自分は選手としてのポガチャルのファンですがそれ以上にバイクメーカーとしてCOLNAGOが好きな人間なのでCOLNAGOに乗るポガチャルというのはもうご褒美みたいな感じです。 ただ……、 残念ながらポガチャルとCOLNAGOというのは実は一寸相性の悪い面があるんですよね……。 ポガチャルが自分の使用するバイクの重量に凄くシビアな選手だということは皆さまご存じだと思います。 が、COLNAGOというメーカーは軽量化にあまり熱心ではないメーカーの代表の様な所があるんですよね。
剛性や即応力等バイク全体のトータルバランスをきちんと整えた上で軽量化をというのがCOLNAGOの設計思想なのである意味ポガチャルとは合わない面もあるんです。
創業者であるエルネスト・コルナゴがそのまま会社のオーナーであったならばもしかしたらポガチャルは違うチームに移籍、もしくはチームのバイクサプライヤーが変更となっていた可能性があったように思えます。 ただエルネスト氏の手からUAEの投資会社へと経営が移り中東のオイルマネーが入る様になった為にCOLNAGOの伝統的な『モノ作り』をメインに据えたラインと最新の研究成果や技術を優先した『現代ロードレースで勝つ』事をメインとしたラインの両立が可能となったので今後も大いに期待しています。
~気になった点を少々~
一寸前の記事の話なので恐縮ですが一寸気になった、というかこれはちと不味いなと思った点があったので指摘させていただきます。
サム・ベネット選手に関する記事の中に同じアイルランド人でトリプルクラウンを達成した名選手としてスティーブン・ロシュの名を出していましたがこれ一寸失礼な呼び方になってます。
この選手の名前を出す場合、現在だと母国アイルランドの発音である『ステファン・ロッシュ(ロシュ)』が正式になります。 2014年辺りまでは日本でこの選手を紹介、まあこの選手に限った事ではありませんでしたが、する場合英語読みでの記述をしているメディアもありその場合だと『スティーヴン・ロウチ』となります(他の有名選手だと当時の新城選手のチームリーダーであった『トマ・ヴォクレール』選手を『トーマス・ボエックラー』と呼んでいました)。
スティーブン・ロシュという表記は英語読みとアイルランド読みの混載でありこれ海外のひとにとっては結構失礼な呼びかけになっちゃうのでこれは気を付けた方が良いです。
コメントありがとうございます!ポガチャルとコルナゴに関する非常に深い考察、楽しく拝読いたしました。
おっしゃる通り、かつてのオールラウンダー像を完全に書き換えるようなポガチャルの脚質ピュアクライマー並みの登坂力とTTスペシャリスト並みの独走力は本当に破壊的。
また、軽量化に極限までこだわるポガチャルと、剛性やトータルバランスを重んじるコルナゴ・エルネスト氏の哲学の本来なら相反するかもしれない組み合わせが、資本の移行によって見事に現代ロードレースの頂点で結実しているという歴史的背景のお話、非常に納得させられました。
いち機材ファンとしても、今のポガチャルとコルナゴの関係性は見ていて本当にワクワクしますね!
また、後半に記載いただいたアイルランドの英雄、ステファン・ロッシュ選手のカタカナ表記に関するご指摘もありがとうございます。
海外選手の発音本当に難しい。2020年でしたかメディアが統一した名前を出しました。エクセルで出してくれたので、毎年それを直しては使ってました。
ただ、決めたはずのメディアが勝手に変えている場合もあります。ジャスパー・フィリップセン、ジョアン・アルメイダなど。
ただ、ご指摘を受けて念のためサム・ベネット選手に関する記事や過去のデータベースを検索してみたのですが、当ブログ内で「スティーブン・ロシュ」と混載して表記している箇所はどうしても見つけることができませんでした。
別の記事(ポガチャル選手とメルクス、ロッシュを比較した記事など)でも、ご指摘いただいた通りの『ステファン・ロッシュ』という表記で統一して紹介させていただいております。
ただ、間違えていた場合には、その都度Search Regexというプラグインで修正しているので、途中で治したのかもしれません。その場合はすいません。
とはいえ、選手の名前を正しく、リスペクトを持って呼ぶべきというお考えには完全に同意いたします。今後もカタカナ表記には細心の注意を払って記事を作成してまいります。
今は、procyclingstatsで、各選手が自分の名前を発音してくれてます。全員ではないですがこれも参考になります。あんまり聞いてないけど。
ロードレースの歴史や機材に関する素晴らしいご意見をいただき、本当にありがとうございました!今後ともご指導いただけると幸いですm(__)m