Red Bull – BORA – hansgroheのプリモジュ・ログリッチが、5月から8月にかけての約3ヶ月間、一切のレースに出場しない方針を明らかにした。
本人は「しばらく家に帰れていなかったので、家族と過ごす時間を大切にしたい」と休養の理由を語っているが、トップクラスの選手としては極めて異例の長期離脱となる。
この決断の背景には、チーム内の役割分担の明確化に加え、直近のティレーノ〜アドリアティコで痛感させられた若手世代との圧倒的な力の差など、様々な要因が複雑に絡み合っているかもしれない。
長期のレース離脱の思いは?
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ログリッチの今シーズンのスケジュールは、4月下旬のツール・ド・ロマンディを最後に一旦白紙となり、8月に開幕するブエルタ・ア・エスパーニャ、あるいはその直前の前哨戦までレースから完全に離れることになる。
この異例のカレンダーの背景には、強豪Red Bull – BORA – hansgroheの潤沢な戦力が関係している。
チームには新たにレムコ・エヴェネプールが加入し、フロリアン・リポヴィッツと共にツール・ド・フランスへの出場を明言している。
さらに、ジロ・デ・イタリアにはジュリオ・ペッリツァーリとジェイ・ヒンドレーが派遣される予定だ。
これにより、ログリッチは自身が最多勝記録の更新を狙うブエルタ・ア・エスパーニャの絶対的エースとして、準備に専念できる環境が整った。
本人も「チーム内の関係者と話し合い、プログラムを調整した。自転車競技へのモチベーションも楽しむ気持ちも十分にある」と語り、このスケジュールに納得している姿勢を示している。
しかし、表向きの家族との時間やブエルタへの専念という理由とは裏腹に、直近のレースで突きつけられた厳しい現実も、この長期休養の決断に影を落としているのではないだろうか。
今回のティレーノ〜アドリアティコでは、アイザック・デルトロ(UAE Team Emirates – XRG)やマッテオ・ヨルゲンソン(Team Visma | Lease a Bike)といった20代の若手選手たちが、爆発的なアタックと無尽蔵のスタミナでレースを完全に支配した。
しかも、チーム内のジュリオ・ペリツァーリが自らの足でアイザック・デルトロと接戦を演じ、一時はリーダージャージに袖を通した。
かつては絶対的な支配力を見せていたログリッチだが、彼ら新世代の強烈なペースアップに食らいつくことができなかった。
シーズン序盤とはいえ、総合争いの中心から遠ざかる場面が見受けられたと言ってもよい。
「家族と過ごしたい」という言葉は決して嘘ではないはずだ。
しかし、進化のスピードが著しい現代のプロトンにおいて、圧倒的な力を持つ若手たちと正面からぶつかり合ったことで、彼自身の現在地と限界を冷静に見つめ直す時間が必要になったとも推測できる。
肉体的な疲労回復はもちろんのこと、新世代に対抗するための新たなアプローチを模索し、精神的なリフレッシュを図るための戦略的撤退という意味合いが、この3ヶ月の空白期間には込められているのかもしれない。
プリモッシュ・ログリッチは、今後10年はやめるつもりはないと言っていた。
だが、ログリッチも36歳だ。輝ける時代は残り少ないと言わざるを得ない。
さらに2026年末でチームとの契約は切れる。かつてJumbo-Vismaではヨナス・ヴィンゲゴー、セップ・クスとリーダーが3人おりツール・ド・フランス制覇のためにチームを離れた。
だが、今度はレムコ・エヴェネプール、フローリアン・リポウィッツ、ジュリオ・ペリツァーリと若いリーダーが目白押しとなっている。
アレクサンドル・ウラソフ、ジェイ・ヒンドレーがセカンドエース級となるほどのチーム戦力となった。
プリモッシュ・ログリッチの思いとしては、この潤沢なアシスト陣をもってしてブエルタ制覇を今年の最大目標にしたのかもしれない。来シーズン、ログリッチが彼らのアシストを進んでするとは考えにくい。
この3か月の長期離脱が許されるのも凄いことだけど、並々ならぬ決意もあると思わざるを得ない。






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