ロット・エリングワースがバーレーン・マクラーレンのGMを辞任したのは数日前のこと。後任は発表されてなくてチームは大変困っている様子だ。
その去就が注目されていたが、噂通りにイネオスに復帰することになった。
野球でいえば、球団代表が他のチームのディレクターに戻るといった感じかな。普通はあり得ないですよね。
イネオスに戻った6つの理由が海外サイトcyclingweeklyで解説されていので紹介。
イネオスの力
イネオスの財政力とその成功したステータスには、多くのスタッフやライダー、コーチも磁石のようにひきつけられているのも事実。
しかし、これは彼らにとって最大のクーデターのひとつかもしれない。
エリングワースとの過去の関係に関わらず、主要なライバルチームのチーム代表を説得して、少なくとも紙面上では、権限と支配力の少ないポジションに移籍することができるというのは、大きな出来事だ。
他のスポーツや業界と比較することは適切ではないが、エリングワースがトップの栄誉を競うチームを管理し続ける機会を放棄して、監督として働くためにライバルに加わることは異例だ。
力はあるが、最終的な決定権を握っているわけではない。
ジャンボ・ビスマがワールドツアーのトップに躍り出たにもかかわらず、イネオスの力は明らかに衰えていない。巨大な力が働いたことは間違いない。
イネオスのコーチングチームの変更
イネオスは3月に、スポーツディレクターのニコラス・ポータルを失っている。
チームは結果的にツール・ド・フランスの勝利を失った。ジロではテイオ・ゲイガンハートの総合優勝を勝ち取ったが、ツールを逃したのが痛い。
これまで、チームを引っ張ってきたロット・エリングワースとニコラス・ポータルという二人の優秀なコーチがいなかったことが原因の一つとされたのは、間違いではないだろう。
専門知識、経験、ノウハウの欠落があったと非難されたが、エリングワースの復帰は、ダン・ハントの再加入と相まって、そのような懸念を払拭するための一歩となる。
戻ることは決して同じ結果をもたらさないという格言があるが、イネオスはそのような表現をあざ笑うことを期待しているだろう。
それが彼らの明確な意図なのだ。
優秀な人材の採用が優先される
イネオスは2021年シーズンに向けて、アダム・イェーツ、ダニエル・マルティネス、トム・ピドコック、リッチー・ポートの加入を控えている。
エリングワースの新しい任務は、ここ数年チームが失っていた才能の発掘と採用を監督することになるだろう。
3月からチームに加わるピドコックの契約は、彼の才能と潜在能力を考えると大きな契約だが、ここ数年、チームは他の若い才能、特にイギリス人ライダーを見落としていると言われている。
イーサン・ヘイターはチームの長期的な計画の一部であるが、他の地元で育った才能ある選手は他の場所に移籍してしまった。
マーク・ドノバンはTeam Sunwebへ、フレッド・ライトとスティービー・ウィリアムズはバーレーン・マクラーレンへ、チャーリー・クォーターマンはトレック・セガフレードへ。
このような移籍の理由は人それぞれであり、すべてのイギリス人ライダーが国内唯一のワールドツアーに参加しなければならないわけではない。
だが、この4人はジュニアとU23ライダーとして期待されていることから、イネオスにとって貴重な人材となる可能性があったことは確かだ。
エリングワースの仕事は、一人でも多くの有望な選手たちに、彼らの将来はイネオス・グレナディアーズだけでなく、他の場所であると説得すること。
つまり、選手管理のマネジメントにも期待している。
バーレーンのプロジェクトは失敗している
わずか14カ月でチーム代表を退任させたことは、バーレーン・マクラーレンのプロジェクトにとってネガティブな展開だ。
簡単に言えば、それはチームの計画が失敗した、あるいは彼らが言いたいように変わったということを意味している。
エリングワースは、イネオスやユンボ・ビスマ、そしてモビスターのような大規模な予算を持つトップチームと定期的に競い合うために、チームを栄光へと導くことを意図していた。
彼の退場は、マクラーレンのスポンサー資金の撤退、マーク・カヴェンディッシュの勝利への復帰の失敗と相まって、大きな挫折となった。昨年の秋にはエキサイティングで有望に見えたものが、2021年のシーズンにはボロボロになってしまう。
チームとエリングワースは、彼が来た時よりも良いポジションでチームを去ったと言っており、それは部分的にはそうかもしれないが、チームは彼らが想定していたよりもずっと早く、新しい方向に向かっている。
エリングワースは自分のスタッフを連れてきて、多くのライダーを説得して彼に参加させたが、その中にはこのニュースに失望した者もいるだろう。
バーレーンは誰が引き継ぐのか？
公式には3週間後に2021年のシーズンが始まるが、計画や準備はすでに進んでおり、選手たちはトレーニングを再開している。
チームはコロナウイルスの規制が許す限り、新年にはトレーニングキャンプを手配したいと考えている。
エリングワースの離脱はバーレーンにとって最悪のタイミングでの波乱である。
CW通信によると、エリングワースは11月末にバーレーンでチームのスポンサーとミーティングを行っていたとのことで、彼の後任を探すのに十分な時間がなかったことを示唆している。
ワールドツアーのチームを率いることは大きな仕事であり、そのような仕事ができる人物は非常に少ない。
チームは明快さとリーダーシップを提供するために、できるだけ早く欠員を埋めることを目指していると想像される。だが、彼らのプロジェクトはすでにかなりの打撃を受けているため、それを間違える余裕はないだろう。
推測では、チームのマネージングディレクターであるミラン・エルゼンが後任になると噂されている。
ミケル・ランダはどうなる?
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2020年のバーレーン・マクラーレンのポスターボーイの座はカヴェンディッシュとミケル・ランダの間で争われ、最終的には後者がチームをリードし、傑出したパフォーマーとしてその座を獲得した。
ツール・ド・フランスでの4位入賞は、エリングワースがチームを監督していた短い在任期間の中で最も誇りに思う成果だと強調したパフォーマンスだった。
ランダは、このイギリス人選手の退団に激しく失望することになるだろう。
チームスカイで一緒に仕事をしていたランダは、モビスターからバーレーン・マクラーレンへの移籍を確信していた。
ランダは彼を信頼していた。エリングワースのコーチング方法を信じていたし、彼が最高の力を発揮してくれると信じていた。最終的にはバスクのライダーがチームを率いることに安心感を覚えていた。
さて、ミケル・ランダはどうなってしまうのだろうか。
彼の不規則なパフォーマンスは、2015年のジロ・デ・イタリアのようにグランツールで表彰台に上がれる日が来ることを常に示唆しているが、それと同じように彼の周りには波乱がつきまとうため、彼に対応できるコーチが必要とされている。
今後、どのようなランダを見ることになるのだろうか。糸の切れた凧のようにならないことを願っておこう。
やはり、チームの代表が動くということは大変なことだ。様々な要因があったのだろうが、最終的には本人の意思だろう。
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