UCIは2023年シーズンからポイントルールの見直しを行っている。
コンチネンタルサーキット以外の、ワールドツアーについてのポイント変更がメイン。対象となるのはワールドチームが主だと言っても良いかもしれない。
これまで1クラスやプロレースの優勝の比率が大きかったのだけど、これがグランドツアーやモニュメントが有利になる。
しかし、これはワールドチームを目指すプロチームにとっては厄介なことだ。何故なら出場出来るワールドツアーは限られるからだ。
ポイント獲得比率の変更
上記の表が2023年からのレース毎の全てのポイントを表してあるのだけど、緑の欄のコンチネンタルサーキットについては、ポイント数が変わっていない。
これは、降格を避けたいポイント獲得下位チームが、グランドツアーを避けて1クラスやプロレースなどのレースに集中したことを回避するためだ。
この改革により、ポイント獲得の比率が大きく変わる。
上記の表を見ると黄色のグランドツアーの比率が13%から25%に増加。ワールドチームにとっては、有利だ。
これまで、ジロ、ツール、ブエルタのステージでは、5位まで、その他のワールドツアーのステージレースでは3位までしかポイントが与えられなかった。
それが、2023年からはグランツールのステージでは15位まで与えられるのだから、出場している選手は必死で走るというものだ。
これにより、逃げて勝利に届かなくてもポイントは沢山集めることが出来るようになる。UCIポイントランキングでは、面白い現象が2023年以降は見られるはずだ。
今回の改正は、実質的にすべての追加ポイントがワールドツアーレースで与えられることになる。改革前はコンチネンタルカレンダーで50%のポイントが与えられていたが、今後は40%に留まる。
このシステムが、ワールドツアーチームと、ワールドツアーのレースへの参加権を有するプロチーム(Lotto-Dstny、TotalEnergies、Israel – Premier Tech)に有利であることは容易に想像がつく。
これは将来的にワールドツアーを目指すチームには結果を出すのが不利になる。具体的には
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- Uno-X Pro Cycling Team
- Green Project-Bardiani CSF-Faizanè
- Q36.5 Pro Cycling Team
- Human Powered Health
長期プロジェクトでトップカテゴリーを目指すチームにとっては、ポイントの壁があり、結果を出すのはより困難となるだろう。
ワールドツアーレースにできるだけ多くの優秀な選手を参加させたいという気持ちは理解できる。だが、一方で、ワールドツアーレースに時々、あるいは散発的に参加するようなチームには大きなペナルティがあることは明らかだ。
2023年から、3年後の降格の決定と毎年の自動ワイルドカードの付与に使用されるUCI世界チーム分類は、上位10人ではなく、チームごとのベスト20人の集めたスコアを考慮することに変わる。
ここでも、より限定されたメンバーで、何よりも多くのポイントを獲得できるリーダーを持たないプロチーム編成へのペナルティが明らかになる。
それほどポイントを獲得出来るライダーを多数抱えるのはプロチームには困難だ。
Israel – Premier Techは有利に
Israel – Premier Techは、2023年シーズンは全てのワールドツアーに招待される。
3つのグランツール以外のすべてのステージレースに出れるのだ。これは、降格制度についてUCIを訴えると言っていたシルヴァン・アダムスのごね得とも言えそうだ。
この決定により、降格制度についてIsrael – Premier Techは、除外のリスクを最小限に抑えることができる。
だが、これによりワールドツアーはプロチームへの門戸をさらに狭めることになる。プロチームは、ティレーノ・アドリアテッコ、 クリテリウム・デュ・ドーフィネ、ツアー・オブ・スイスなどに招待されることが困難になる。
ルールの変更は、ワールドチームには有利に働くけど、昇格を目指すプロチームにとっては不利に働くことばかりだ。
夢への扉はますます閉ざされ、塞がれていく。
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