2021年のツール・ド・フランスも最後のステージを迎える。
第1ステージから落車続きで、大変なツールだった。各レースとも、高速な展開が多く前半戦の低気温、後半戦は暑くなったりと天候にもライダーは振り回された。
ブルターニュで始まった3,414.4kmの旅もパリで終わる。最後のゴールで笑う今日の勝者は一体誰になるだろう。
第21ステージ シャトゥ〜パリ・シャンゼリゼ 108.4km
スタートはパリ郊外のシャトゥ。毎年恒例のパリのシャンセリゼの周回コースでツールはゴールする。
UAE Team Emiratesは、4級山岳を越えるとシャンパンを飲むのかな。その後、スプリントポイントまでは、ゆっくりと進むだろう。
中間スプリントでは、グリーンジャージが決定していないマーク・カヴェンデッシュとマイケル・マシューズの争いとなる。
- 4級山岳 グレ峠 1.9km・5%
- スプリントポイント パリシャンセリゼ通り
52km地点でシャンゼリゼ周回コースにはいり、6.8kmの周回コースを9周する。61.2kmだ。
石畳が敷かれたシャンセリゼ通りを走り、凱旋門の外周路、ルーヴル前のトンネルをくぐり、コンコルド広場をライダーは最後のゴールに向けて疾走する。
毎年スプリンターが最後の決戦を行うが、2005年にはアレクサンドル・ヴィノクロフが逃げ切っている。まれに逃げが勝つこともあるのでそちらも楽しみだ。
今年のシャンゼリゼ通りのフィニッシュラインは、近年私たちが知っている場所よりも約300m離れている。
したがって、最後の曲がり角(コンコルド広場のシケインの後)は、フィニッシュから400mではなく、フィニッシュから700mだ。とてつもなく長いので、トレインは距離を間違えないようにしないといけない。
最後は、マーク・カヴェンデッシュが5勝目をあげてしまうのか。それともワウト・ファンアールトがそれを阻むのか、そちらも楽しみにしておきたい。
スタート前
ロットはカレブ・ユアンを第3ステージで失ってしまい未勝利。フィリップ・ジルベールもトーマス・デヘントも来年のツールには出場しないと言う。ちょっと残念だ。
昨年はツール3勝をあげたTeam DSMも今年は全く勝負に絡めなかった。
Alpecin-Fenixのジャスバー・フィリップセン。石畳のトレインになるので、ウルフパックのスリップストリームが効かない可能性もある。チャンスがあるかも。
ゴリラことアンドレ・グライペルも今年のツールで最後。2015年、2016年は最終ステージで勝利している。最後に有終の美が飾れるか?
マイケル・マシューズは最後のチャンスに挑む。合計70ポイントあるスプリントポイントを何ポイント取れるだろうか。
Groupama-FDJも最後は4人。アルノー・デマールを失い、エースのダヴィ・ゴデュも日射病で順位を落としてしまった。ティボー・ピノの穴を埋められなかった。
ベテランライダーがツールを去る中、41歳のアレハンドロ・バルベルデは来年どうするのだろう。最後のツールではないよね。
グレッグ・ファンアーヴェルマートのゴールドヘルメットも今日で見納めかな。バイクもオリンピック金メダリスト特別仕様から普通に戻るかも。
ツール未勝利となりそうなイネオス。ミハウ・クフィアトコフスキは、以前のスカイの戦い方に戻ってしまったと言っている。さすがに3人の総合候補が落車してはどうしようもない。
Bahrain Victoriousのソンニ・コルブレッリは、スプリントで何位となるだろう。
8人全員が揃っているウルフパック。石畳のスプリントでもトレインを発揮できるのか。マーク・カヴェンデッシュが5勝となるとエディ・メルクスを抜いて35勝となる。
ただ、マーク・カヴェンデッシュはパリで負けたことがない。これで勝つと5回目のパリの勝利となる。ツールでここまで勝利を重ねるとは誰も思っていなかっただろう。
ワウト・ファンアールトは、パリの勝利を狙うというがチームメイトは4人。上手くトレインに便乗しないとスプリントには絡めない。
なんと、UAE Team Emiratesは全員がイエローの入ったジャージにバイクのバーテープもイエロー。そして、サングラスもSciconの未発表の新型を全員がおそろいでしている。
第21ステージ スタートでの4賞ジャージ着用者
- 総合 タデイ・ポガチャル(UAE Team Emirates)
- ポイント賞 マーク・カヴェンディシュ(Deceuninck-Quick-Step)
- 山岳賞 ワウト・プールス(Israel Start-Up Nation)
- 新人賞 ヨナス・ヴィンゲゴー(UAE Team Emirates)
新人賞は2位のヨナス・ヴィンゲゴーが着用。山岳賞は2位のワウト・プールスが着用。最終の表彰式ではどうするのかな。
タデイ・ポガチャルが全部表彰されるんでしょうね。
ワウト・プールスはタデイ・ポガチャルにサインして貰っている。嬉しそうだけど。
リアルスタートになって、UAE Team Emiratesが恒例のパレード走行。8人全員が揃ってパリまで行くチームのほうが今年は圧倒的に少ない。無事にたどりついたのは、Deceuninck-Quick-Step、
Cofidis, Solutions Crédits、EF Education-Nippoの4チーム。
4級山岳 グレ峠 1.9km・5%
それにしてもパレード走行が長い。4級山岳もUAE Team Emiratesが先頭でそのまま通過しそうだ。イネオスのようにシャンパンは飲まないのかな。
4級山岳は、ミッケル・ビョーグが前に出て通過。
ヤン・トラトニク(Bahrain Victorious)、ルカ・メズゲッツ(Team BikeExchange)のスロベニア人同士が前に出て走っている。
スロベニアのLjubljana Gusto Xaurumに所属していたチームの先輩後輩の仲でもある。そして、プリモッシュ・ログリッチの背番号11もヤン・トラトニクが一緒に持っており敬意を表している。
そして、今度は総合2位のヨナス・ヴィンゲゴーを囲んでデンマーク人同窓会も。
さあ、シャンセリゼの周回コースに入った。1週目はUAE Team Emiratesが引くだろう。
先頭はスピードが上がって逃げが出来始める。まずは、EF Education-Nippoのヨナス・ルッチが逃げ始める。
はやくも集団は1列棒状になっていく。
EF Education-Nippoのシュテファン・ビッセガーが抜けている。それに二人が合流しそうだ。
3人が少しは抜けた。これは決まるか?
- シュテファン・ビッセガー EF Education-Nipp
- カスバー・ピーダスン Team DSM
- ハーリー・スイニー Lotto Soudal
凱旋門に向かって集団は逃げを必要以上に逃がさない。10秒程度でとどめている。
3人にBORA-hansgroheのパトリック・コンラットがジョイン。
カスパー・ピーダスンが切れて、3人となる。タイム差は30秒までひらいてきた。
- シュテファン・ビッセガー EF Education-Nipp
- パトリック・コンラット BORA-hansgrohe
- ハーリー・スイニー Lotto Soudal
スプリントポイント パリシャンセリゼ通り
中間スプリント前に、Team BikeExchangeが先行してマイケル・マシューズを引く。
だが、ミケル・モルコフにひかれたマーク・カヴェンデッシュが先着。
マーク・カヴェンデッシュは、5位通過で13ポイント獲得。マイケル・マシューズは7位通過で10ポイント獲得。3ポイントマーク・カヴェンデッシュがリードだ。
これはゴールの予行演習になっただろうか?
逃げていた3人が捕まり、今度はBORA-hansgroheのイーデ・シュリングと Lotto Soudalのフィリップ・ジルベールがアタック。
フィリップ・ジルベールが切れて、またメンバーが変わる。
- ミカル・ヴァングレン EF Education-Nipp
- イーデ・シュリング BORA-hansgrohe
- ブレント・ファンムール Lotto Soudal
集団はウルフパックが20秒台で逃げを抑えている。ドリス・デヴェナインスとティム・デクレルクが頑張っている。
Team DSMも先頭交代に加わる。ケース・ボルでスプリントを狙っている。時速60km/hで走り続けるのだから凄い。
3人は残り15.8kmで25秒。逃げ切れるタイム差ではない。
B&B Hotels p/b KTMの二人がアタック!
ボノマル・フランクスが単独となって前の3人を追う。だが、これは追いつかなかった。
ジュリアン・アラフィリップも集団先頭を引く。
ラスト8kmで、後続の集団がはっきりと見えてきた。タイム差は10秒を切っている。
ラスト1周
ラスト6.3kmで逃げは吸収される。イネオスは、ミハウ・クフィアトコフスキとゲラント・トーマスで攻撃するが捕まってしまう。イネオスは今年のツールで未勝利だ。
ジュリアン・アラフィリップが渾身の引きを見せて降りていく。
ラスト2.5kmでトレインが崩れた。
先頭は入り乱れている。
ようやく、ダヴィデ・バッレリーニが前に出れるか?
ワウト・ファンアールトは、マイク・テウニッセンにひかれている。カブはその後ろだ。
ワウト・ファンアールトは5番手。カブは6番手。
カブは、ミケル・モルコフとはぐれている。
先頭はマイク・テウニッセンだ。番手はワウト・ファンアールト。
マーク・カヴェンデッシュは前をふさがれて、一瞬足を止めてしまう。スプリント出来る場所がない!
ジャスパー・フィリップセンが伸びてくる。
ワウト・ファンアールトが伸びる!
ゴールは、ワウト・ファンアールトだ~。3本の指を立てている。モン・ヴァントゥ、個人タイムトライヤル、そして最後のパリも取ってしまった~。しかもステージ2連勝!
こんなライダーは彼以外はいない。スプリントも取ってしまうとは。
最後にマイク・テウニッセンが引いてくれたのが勝因だ。4人しかいないチームメイトで勝つなんて。なんて、男なんだ!
ワウト・ファンアールトはアンドレ・グライペルから祝福を受ける。アンドレ・グライペルは最後のパリで5位。
マーク・カヴェンデッシュは死闘を演じたマイケル・マシューズと抱き合う。カブは10年振り2度目のグリーンジャージ獲得だ。
マーク・カヴェンデッシュはツール通算34勝という記録をエディ・メルクスと共有しなければいけなくなった。新記録は今年達成出来ないという結果になった。来年も目指すだろうか?
リザルト
第21ステージ リザルト
Rnk | Rider | Team | UCI | Pnt | Time |
---|---|---|---|---|---|
1 |
VAN AERT Wout
|
Team Jumbo-Visma | 120 | 100 | 2:39:37 |
2 |
PHILIPSEN Jasper
|
Alpecin-Fenix | 50 | 70 | ,, |
3 |
CAVENDISH Mark
|
Deceuninck – Quick Step | 25 | 50 | ,, |
4 |
MEZGEC Luka
|
Team BikeExchange | 15 | 40 | ,, |
5 |
GREIPEL André
|
Israel Start-Up Nation | 5 | 32 | ,, |
6 |
VAN POPPEL Danny
|
Intermarché – Wanty – Gobert Matériaux | 26 | ,, | |
7 |
MATTHEWS Michael
|
Team BikeExchange | 22 | ,, | |
8 |
ARANBURU Alex
|
Astana – Premier Tech | 18 | ,, | |
9 |
BARTHE Cyril
|
B&B Hotels p/b KTM | 14 | ,, | |
10 |
WALSCHEID Max
|
Team Qhubeka NextHash | 10 | ,, |
ワウト・ファンアールトは、二刀流どころか、それ以上なんだから驚きだ。スプリントを狙って走っていれば、更に勝利数は増えていたかもしれない。
総合
Rnk | Rider | Team | UCI | Pnt | Time |
---|---|---|---|---|---|
1 |
POGAČAR Tadej
|
UAE-Team Emirates | 1000 | 500 | 82:56:36 |
2 |
VINGEGAARD Jonas
|
Team Jumbo-Visma | 800 | 380 | 5:20 |
3 |
CARAPAZ Richard
|
INEOS Grenadiers | 675 | 340 | 7:03 |
4 |
O’CONNOR Ben
|
AG2R Citroën Team | 575 | 300 | 10:02 |
5 |
KELDERMAN Wilco
|
BORA – hansgrohe | 475 | 280 | 10:13 |
6 |
MAS Enric
|
Movistar Team | 400 | 260 | 11:43 |
7 |
LUTSENKO Alexey
|
Astana – Premier Tech | 325 | 240 | 12:23 |
8 |
MARTIN Guillaume
|
Cofidis, Solutions Crédits | 275 | 220 | 15:33 |
9 |
BILBAO Pello
|
Bahrain – Victorious | 225 | 210 | 16:04 |
10 |
URÁN Rigoberto
|
EF Education – Nippo | 175 | 200 | 18:34 |
ポイント賞
Rnk | Prev | ▼▲ | Rider | Team | Points |
---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | – |
CAVENDISH Mark
|
Deceuninck – Quick Step | 317 |
2 | 2 | – |
MATTHEWS Michael
|
Team BikeExchange | 279 |
3 | 3 | – |
COLBRELLI Sonny
|
Bahrain – Victorious | 223 |
4 | 4 | – |
PHILIPSEN Jasper
|
Alpecin-Fenix | 186 |
5 | 5 | – |
MOHORIČ Matej
|
Bahrain – Victorious | 163 |
6 | 6 | – |
ALAPHILIPPE Julian
|
Deceuninck – Quick Step | 163 |
7 | 7 | – |
POGAČAR Tadej
|
UAE-Team Emirates | 154 |
8 | 9 | ▲1 |
MØRKØV Michael
|
Deceuninck – Quick Step | 124 |
9 | 8 | ▼1 |
VAN AERT Wout
|
Team Jumbo-Visma | 121 |
10 | 10 | – |
VINGEGAARD Jonas
|
Team Jumbo-Visma | 103 |
ポイント賞争いは、マーク・カヴェンデッシュの勝利。4勝もしたスプリンターは近年いない。史上最大のカムバック賞だ。
山岳賞
Rnk | Prev | ▼▲ | Rider | Team | Points |
---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | – |
POGAČAR Tadej
|
UAE-Team Emirates | 107 |
2 | 2 | – |
POELS Wout
|
Bahrain – Victorious | 88 |
3 | 3 | – |
VINGEGAARD Jonas
|
Team Jumbo-Visma | 82 |
4 | 4 | – |
VAN AERT Wout
|
Team Jumbo-Visma | 68 |
5 | 5 | – |
QUINTANA Nairo
|
Team Arkéa Samsic | 66 |
6 | 6 | – |
CARAPAZ Richard
|
INEOS Grenadiers | 56 |
7 | 7 | – |
O’CONNOR Ben
|
AG2R Citroën Team | 44 |
8 | 8 | – |
MOLLEMA Bauke
|
Trek – Segafredo | 41 |
9 | 9 | – |
GAUDU David
|
Groupama – FDJ | 41 |
10 | 10 | – |
PEREZ Anthony
|
Cofidis, Solutions Crédits | 37 |
ヤングライダー賞
Rnk | Prev | ▼▲ | Rider | Team | Time |
---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | – |
POGAČAR Tadej
|
UAE-Team Emirates | 82:56:36 |
2 | 2 | – |
VINGEGAARD Jonas
|
Team Jumbo-Visma | 5:20 |
3 | 3 | – |
GAUDU David
|
Groupama – FDJ | 21:50 |
4 | 4 | – |
PARET-PEINTRE Aurélien
|
AG2R Citroën Team | 39:09 |
5 | 5 | – |
HIGUITA Sergio
|
EF Education – Nippo | 1:09:16 |
6 | 6 | – |
MADOUAS Valentin
|
Groupama – FDJ | 2:11:39 |
7 | 7 | – |
POWLESS Neilson
|
EF Education – Nippo | 2:13:33 |
8 | 8 | – |
DONOVAN Mark
|
Team DSM | 2:17:40 |
9 | 9 | – |
RUTSCH Jonas
|
EF Education – Nippo | 2:29:33 |
10 | 10 | – |
VAN MOER Brent
|
Lotto Soudal | 2:43:49 |
ポイント賞以外、全て取ってしまうなんて。彼の時代がずっと続くのだろうか。
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