クリテリウム・デュ・ドーフィネも最終ステージ。
第7ステージでトップとなったリッチー・ポートは過去2回2位になっている。特に、2017年は第7ステージまで1位だったが、最終ステージでヤコブ・フルサンに逆転されており、このステージが難しいことは良く知っている。
だが、その時とはチームの力が全く違うことを頭に入れておかなければならない。
現在総合3位に29秒差でゲラント・トーマスがおり最終ステージでアレクセイ・ルチェンコを追い落とす作戦に出ることも十分考えられる。
セップ・クスやミゲル・アンヘルロペスがアタックを掛けると面白い展開となりそうだ。特にセップ・クスは失うものは何もないと言っており、捨て身の攻撃を仕掛けてくるだろう。
第8ステージ ラ・レシェール・レ・バン~レ・ジェ 147km

第8ステージ photo criterium-du-dauphine.f
スキーリゾートの麓ラ・シレェールからスタート。今日の山岳ポイントは、6か所。
- 4級山岳 コート ドエリー シュル ユジーヌ 2km・4.1%
- 2級山岳 コル・デ・ザ・アラヴィ 10.2km・5%
- 2級山岳 コル・デ・ザ・アラヴィ 6.7km・5%
- 1級山岳 コロンビエール峠 11.7km・5.8%
- 3級山岳 コート ド シャティオン シュル クルス 4.7km・5%
- 超級山岳 ジュウプレーン 11.6km・8.5%
総合勢の最後の決戦は超級山岳で行われるだろう。超級山岳頂上からゴールまでは17km。最後のレ・ジェも3km・6%の登りゴールとなっており、ここでは少数の精鋭によるゴールでの争いが見られる。
総合8位のベン・オコナーまで1分以内のタイム差なので、まだ総合順位が動く可能性が高い。上位陣のタイム差も僅かなので最後のゴール勝負で順位が変わりそうだ。

Tiz-cyclingストリーミング スクリーンショット 以下同様
第8ステージスタートでの4賞はガラリと変わった。ポイント賞はソンニ・コルブレッリで決まりだ。
- 総合リーダー リッチー・ポート ( INEOS Grenadiers)
- ポイント賞 ソンニ・コルブレッリ(Bahrain – Victorious)
- 山岳賞 ローソン・クラドック (EF Education – Nippo)
- 新人賞 ダヴィ・ゴデュ(Groupama-FDJ)
スタートから16人の逃げ

スタートしてすぐにアタックがかかり大きな逃げ集団が成立。昨日も逃げているメンバーが多数。
昨日優勝した、マーク・パデュン Bahrain Victoriousは、今日も逃げている。山岳賞を狙っているのかも。追走も4人いるので、更に人数は増えるかもしれない。
- ヴァランタン・マデュアス Groupama-FDJ
- ギヨーム・マルタン Cofidis, Solutions Crédits
- ヨナス・ヴィンゲゴー Team Jumbo-Visma
- ホルヘ・アルカス Movistar Team
- イマノル・エルビティ Movistar Team
- パトリック・コンラット BORA-hansgrohe
- ニルス・ポリッツ BORA-hansgrohe
- ドリアン・ゴドン AG2R Citroën Team
- ワレン・バルギル Team Arkéa Samsic
- ハリー・スィニー Lotto Soudal
- マーク・パデュン Bahrain Victorious
- ジュリアン・ベルナール Trek – Segafredo
- ケニー・エリッソンド Trek – Segafredo
- ピエール・ローランド B&B p/b KTM
- フランク・ボナモー B&B p/b KTM
-
サンデル・アルメ Team Qhubeka ASSOS
2級山岳はマーク・パデュン(Bahrain Victorious)が1位通過で5ポイント追加。これで20ポイントとなり、トップのローソン・クラドックと13ポイント差となっている。

3人が先頭集団に追いついた。これで先頭は19人に。
- ミケル・ヴァルグレン EF Education-Nippo
- マーティン・トゥスフェルト Team DSM
- ヤン・バークランツ Intermarché-Wanty-Gobert
Deceuninck-Quick-Stepのファビォ・ヤコブセンはスタートから35kmでリタイヤしている。
2級山岳 コル・デ・ザ・アラヴィ 6.7km・5%

2回目の2級山岳もマーク・パデュン(Bahrain Victorious)が1位通過。更に5ポイント追加して、25ポイントに。これでトップまで8ポイント。完全に山岳賞狙いだ。
次の1級山岳もトップ通過すれば山岳賞が確定する。
1級山岳 コロンビエール峠 11.7km・5.8%
マーク・パデュン(Bahrain Victorious)は3連続で山岳ポイントを1位通過。これで昨日山岳賞を獲得したローソン・クラドックに変わって山岳賞トップにたった。
ローソン・クラドックは逃げに乗っていない。だから、これで山岳賞はマーク・パデュン(Bahrain Victorious)で決定だ。
クリス・フルームは、残り78kmでドロップ。せめて放送が始まるまで残っていてほしかった。中根英登は残り78kmでリタイヤした。
3級山岳 コート ド シャティオン シュル クルス 4.7km・5%

集団はイネオス先頭で進む。決戦は超級山岳となるだろう。

残り53kmで2分53秒のタイム差となっている。まあ、超級山岳まではこの人数で行くでしょう。

リッチー・ポートがパンク。前でメンバーが待っている。バイク交換して走り出す。

カルロス・ロドリゲスとアンドレイ・アマドールが引いて集団復帰。

3級山岳頂上まで後4.3km。マーク・パデュン(Bahrain Victorious)のことをセップ・クスは何度か対戦したが、かなわないと言っている。
長く膝の不調で成績が振るわなかったが、これからどんどん活躍してくるだろう。

逃げには、2分51秒遅れのパトリック・コンラッドがいるのでイネオスが必ず捕まえるだろう。現在はバーチャルリーダーだ。

先頭はニルス・ポリッツがパトリック・コンラットのために全開で引く。3級山岳は、このままリルス・ポリッツが先頭で通過して2ポイント獲得。
2位は後ろのギヨーム・マルタン。
超級山岳 ジュウプレーン 11.6km・8.5%

残り40kmでタイム差は3分7秒。イネオスの先頭はディラン・フィンバーレ。まだ7人全員が残っている。

逃げに乗っているヨナス・ヴィンゲゴー。どこまで逃げ続けるのか楽しみだ。追いつかれたらセップ・クスの牽引をするだろう。

ニルス・ポリッツが前に出るがすぐに戻る。そろそろ引くのが限界に近づいたのか、それともペースを上げたいのか。

集団はアンドレイ・アマドールが引いている。そろそろベースアップしないといけない。今は平坦に近いので50km/hのスピードで進んでいる。

超級山岳に登り始めたところで、ニルス・ポリッツがドロップ。あとはパトリック・コンラットに託すのみだ。

登り始めてすぐに、3人が先行。
- ギヨーム・マルタン Cofidis, Solutions Crédits
- パトリック・コンラット BORA-hansgrohe
- マーク・パデュン Bahrain Victorious

なんと、マーク・パデュンは、そのままペースアップ。これは一人で逃げ続けるつもりだ。

集団からベン・ヘルマンスがアタック! ナイロ・キンタナも続きそうだ。

クリス・フルームは下りで追いついていたが、集団から遅れてしまう。後ろでは、ファビオ・アルも遅れている。

ナイロ・キンタナはベン・ヘルマンスと共に逃げる。タイム差はまだ10秒だ。

集団からアタックをかけていたステファン・クライスヴァイクがナイロ・キンタナとベン・ヘルマンスを抜いていく。1分35秒遅れなのでイネオスは逃がさないだろう。

なんと、セップ・クスも遅れてしまう。これはどうした。

マーク・パデュンは全くペースが落ちない。メイン集団とは3分31秒も離れている。2位グループは、ヨナス・ヴィンゲゴーとパトリック・コンラット。

ステファン・クライスヴァイクは次々と前のライダーを抜いていく。だが、マーク・パデュンとのタイム差は変わらない。
早く前を走るヨナス・ヴィンゲゴーまで追いつきたいところだ。あと1分45秒あるが追いつくかな。ただ、後方からメイン集団もきている。

あら~、ステファン・クライスヴァイクは集団に吸収されてしまう。前を逃げているのは5人となる。

マーク・パデュンは、頂上まであと1.4km。タイム差は3分24秒あるので一人で越えていきそうだ。

ミゲルアンヘル・ロペスがアタックだ。だが、すぐに捕まる。

マーク・パデュンは超級山岳もトップ通過。これは2日連続のステージ優勝もあるのか?

ジャック・ヘイグがアタックだ。

ジャック・ヘイグは、前を走る、ギヨーム・マルタンとケニー・エリッソンドに追いつく。だが、集団も後ろにいる。

モビスターのエンリク・マスも切れてしまう。

下りからの登り返しで、ゲラント・トーマスが前を走るジャック・ヘイグとギヨーム・マルタンを捕まえてしまう。
これで逃げているのは
- マーク・パデュン Bahrain Victorious
- ヨナス・ヴィンゲゴー Team Jumbo-Visma
- トリック・コンラット BORA-hansgrohe
3人だけだ。

なんと、下りでケラント・トーマスが落車してしまう。4人で先行してたのだけど集団から遅れてしまう。これはリッチー・ポートはピンチだ。アシスト不在となりそうだ。

だが、ゲラント・トーマスは、すぐに走り出す。追いつくことが出来るのか?

マーク・パデュンはゴールまで5.5km。2分4秒あるので逃げ切るだろう。

メイン集団は8人。

レーパンがビリビリに破れているゲラント・トーマスが牽制している集団に追いついた。左肘からも血が流れている。

総合で1分遅れのベン・オコナーがアタックだ。

ゲラント・トーマスが先頭で追う。

マーク・パデュンは逃げ切りを確信して笑顔だ。物凄く余裕がある。

なんと、マーク・パデュンは2日連続の勝利だ。
昨日はすごかったけど、目が覚めたときは、すごくストレスがたまっていた。自分の中でたくさんのことが起こっていたからね。
だから昨日のことは忘れて、やるべきことをやろうとした。計画は、ジャック・ヘイグを順位表で助けるために攻撃を仕掛けることだった。
その後、ポルカドットのジャージを着ることができると聞いた。なぜだろう、と思った。そして最後の登りで2分リードできればステージ優勝も狙えると言われた。
今日はすべてがとても簡単だった。それは素晴らしいことだ。私はイエスに感謝しなければいけない。 肉体的にはとても大変だったが、精神的にはとてもうまくいった。
私はまだ若く、多くの問題を抱えていた。エネルギーがなかったので、何度も苦しんだが、いつも体調が良くなかったわけではない。それは私が逃したもの、そのエネルギーだ。足はあったが、ガスはなかった。
なんとも、強いクライマーが出てきたものだ。このままの力を持っていればグランツールでも活躍しそうだ。

2位には逃げきったヨナス・ヴィンゲゴーとパトリック・コンラットが入る。

4位は集団からアタックをかけて逃げ切ったベン・オコナー。
リッチー・ポートは、落車したゲラント・トーマスの渾身の引きで総合優勝となった。イネオスのチーム力による所が大きい。
最後は落車したゲラント・トーマスが引いて勝ったのだから、凄い展開だった。
ここですでに 2 度フィニッシュし、最後の 1 キロで1位を失ったこともあった。
それで、ついに勝つために…妻と 2 人の子供と離れたすべての犠牲は、それだけの価値がある。
しかし、トーマスのドロップを見たとき、最後の数マイルは理想的ではないことがわかった。幸いなことに彼は戻ってきた。多少の擦り傷はあるかもしれないが、彼はツアーでトップになるだろう。
自分の役割を知っているので、ツアーに幻想はない。でも、36歳の今、このラウンドで勝つことは、私にとって大きな意味がある。
リッチー・ポートはついに クリテリウム・デュ・ドーフィネを勝ち取ることが出来た。次はツールでアシストすることが仕事だ。これだけの選手がアシストに回るのだから強いチームだ。
リザルト
第8ステージリザルト
| Rnk | Rider | Team | UCI | Pnt | Time |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | PADUN Mark | Bahrain – Victorious | 60 | 50 | 4:06:49 |
| 2 | VINGEGAARD Jonas | Team Jumbo-Visma | 25 | 30 | 1:36 |
| 3 | KONRAD Patrick | BORA – hansgrohe | 10 | 18 | ,, |
| 4 | O’CONNOR Ben | AG2R Citroën Team | 13 | 1:57 | |
| 5 | GAUDU David | Groupama – FDJ | 10 | 2:10 | |
| 6 | THOMAS Geraint | INEOS Grenadiers | 7 | ,, | |
| 7 | LUTSENKO Alexey | Astana – Premier Tech | 4 | ,, | |
| 8 | PORTE Richie | INEOS Grenadiers | 3 | ,, | |
| 9 | HAIG Jack | Bahrain – Victorious | 2 | ,, | |
| 10 | MARTIN Guillaume | Cofidis, Solutions Crédits | 1 | ,, |

2日連続の山岳ステージ優勝なんて、ここ最近は聞いたことがない。それを簡単だったなんて~。
総合
| Rnk | Prev | ▼▲ | Rider | Team | UCI | Pnt | Time |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 1 | – | PORTE Richie | INEOS Grenadiers | 500 | 250 | 29:37:05 |
| 2 | 2 | – | LUTSENKO Alexey | Astana – Premier Tech | 400 | 190 | 0:17 |
| 3 | 3 | – | THOMAS Geraint | INEOS Grenadiers | 325 | 160 | 0:29 |
| 4 | 4 | – | KELDERMAN Wilco | BORA – hansgrohe | 275 | 140 | 0:33 |
| 5 | 5 | – | HAIG Jack | Bahrain – Victorious | 225 | 120 | 0:34 |
| 6 | 6 | – | LÓPEZ Miguel Ángel | Movistar Team | 175 | 110 | 0:38 |
| 7 | 7 | – | IZAGIRRE Ion | Astana – Premier Tech | 150 | 100 | ,, |
| 8 | 8 | – | O’CONNOR Ben | AG2R Citroën Team | 125 | 90 | 0:47 |
| 9 | 9 | – | GAUDU David | Groupama – FDJ | 100 | 80 | 1:12 |
| 10 | 11 | ▲1 | GEOGHEGAN HART Tao | INEOS Grenadiers | 85 | 70 | 1:57 |

総合の結果はあまり変わることはなかった。
ポイント賞
| Rnk | Prev | ▼▲ | Rider | Team | Points |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 1 | – | COLBRELLI Sonny | Bahrain – Victorious | 91 |
| 2 | 2 | – | ASGREEN Kasper | Deceuninck – Quick Step | 58 |
| 3 | 3 | – | ARANBURU Alex | Astana – Premier Tech | 58 |
| 4 | 6 | ▲2 | KONRAD Patrick | BORA – hansgrohe | 56 |
| 5 | 4 | ▼1 | VALVERDE Alejandro | Movistar Team | 51 |
| 6 | 5 | ▼1 | PÖSTLBERGER Lukas | BORA – hansgrohe | 37 |
| 7 | 7 | – | STUYVEN Jasper | Trek – Segafredo | 36 |
| 8 | 19 | ▲11 | PADUN Mark | Bahrain – Victorious | 34 |
| 9 | 11 | ▲2 | THOMAS Geraint | INEOS Grenadiers | 33 |
| 10 | 8 | ▼2 | KELDERMAN Wilco | BORA – hansgrohe | 32 |

山岳賞
| Rnk | Prev | ▼▲ | Rider | Team | Points |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 3 | ▲2 | PADUN Mark | Bahrain – Victorious | 50 |
| 2 | 1 | ▼1 | CRADDOCK Lawson | EF Education – Nippo | 33 |
| 3 | 4 | ▲1 | VALGREN Michael | EF Education – Nippo | 26 |
| 4 | 2 | ▼2 | HOLMES Matthew | Lotto Soudal | 21 |
| 5 | 11 | ▲6 | HAIG Jack | Bahrain – Victorious | 16 |
| 6 | 6 | – | PORTE Richie | INEOS Grenadiers | 15 |
| 7 | – | POLITT Nils | BORA – hansgrohe | 13 | |
| 8 | 5 | ▼3 | PÖSTLBERGER Lukas | BORA – hansgrohe | 12 |
| 9 | 13 | ▲4 | ELISSONDE Kenny | Trek – Segafredo | 12 |
| 10 | 7 | ▼3 | TUSVELD Martijn | Team DSM | 12 |

セップ・クスが参ったというほどのマーク・パデュン。今日一日で荒稼ぎして山岳賞獲得だ。
ヤングライダー賞
| Rnk | Prev | ▼▲ | Rider | Team | Time |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 1 | – | GAUDU David | Groupama – FDJ | 29:38:17 |
| 2 | 2 | – | PARET-PEINTRE Aurélien | AG2R Citroën Team | 1:59 |
| 3 | 3 | – | SKJELMOSE JENSEN Mattias | Trek – Segafredo | 5:44 |
| 4 | 4 | – | GALL Felix | Team DSM | 7:43 |
| 5 | 7 | ▲2 | HÄNNINEN Jaakko | AG2R Citroën Team | 25:15 |
| 6 | 8 | ▲2 | RODRIGUEZ Carlos | INEOS Grenadiers | 26:04 |
| 7 | 10 | ▲3 | MADOUAS Valentin | Groupama – FDJ | 26:49 |
| 8 | 14 | ▲6 | PADUN Mark | Bahrain – Victorious | 27:29 |
| 9 | 6 | ▼3 | MONIQUET Sylvain | Lotto Soudal | 28:07 |
| 10 | 13 | ▲3 | MCNULTY Brandon | UAE-Team Emirates | 32:23 |

ダヴィ・ゴデュの欲しかったのは総合だったでしょうね。ティボー・ピノがツールに出ないのでエースはダヴィ・ゴデュとなる。


コメント