2022 クリテリウム・デュ・ドーフィネ第4ステージでは、2021世界TTチャンピオンのフィリッポ・ガンナが2秒差でワウト・ファンアールトを破って勝利した。
この時に、フィリッポ・ガンナのスキンスーツの肘の部分がだぶついていたのが目撃されている。普通スキンスーツと言えば身体にヒィットしているのが普通なのだけど。
だぶついたスキンスーツの理由とは
マニアックな人は、すぐにフィリッポ・ガンナの肘の部分がだぶついていることに気付いたようだ。
これについて、様々な憶測があげられた。
- 空気抵抗が損なわれる
- エアロのためだ
などなど。
今年からINEOS Grenadiersは、カステリからBioracerにアパレルブランドを切り替えている。
これについて、スキンスーツをベルギーからイネオスのホテルまで一晩運転して届けたというBioraceのスタッフが種明かしをしている。
そのスーツは長袖で、スタンダードモデルで、溶接シーム(Speedmasterのバージョンで現在スタンダードになっているもの)だったんだ。
肘のふくらみは、袖と前腕の生地が以前使われていたライクラほど伸縮性がないためだ。
新しい生地は、タックの位置で完全にフィットするようにカットして溶接する必要があり、明らかにそうでないときは少しだぶだぶになる。
新しい生地は、正しく使用すればかなり速くなるが、伸縮性はない。
肘を伸ばしている時には、伸縮性がないので少しだぶつくということか。これについては、次回のツール・ド・フランス開幕戦では改良されていることだろう。
TTポジションを取っている時には、普通にピッタリとしているので問題ないとは思うけど。スキンスーツの下には、エアロ効果のあると言われているベースレイヤーも着てますしね。
ベースレイヤーにも工夫が
フィリッポ・ガンナは、エアロトリップストリップが付いたベースレイヤーを使用しているので、空力抵抗を減少していると言われている。
上の写真で見れる縦のラインだ。
UCIは、2019年に空力学的に有利になるような加工をしてはならないというルールを作成している。
スキンスーツに1mm以上の突起であるボルテックスジェネレーターを作ってはいけないということだ。
物体表面に突起を配置することで、その後ろ側に意図的に乱流(=渦流)を発生させ、空気抵抗を小さくするための装置のこと。飛行機の翼やレーシングカー・新幹線などにも装備されている機能。
渦流生成器(かりゅうせいせいき)とも呼ばれている。
下の写真では、袖の部分の突起物のこと。
アイデアは、適切なポイントで層流から乱流への気流をトリップし、腕または体の部分の周りに乱気流の境界層を作成することにある。
今の所、ベースレイヤーでのトリップストリップを禁止するUCI規則はまだない。これは完全に合法だ。まあ、こんなところまで規制することはないとは思うけど。
ただ仮に、ガンナがサイモン・イェーツが使用したスキンスーツを使ったたらもっと速く走れるかも。
アワーレコードチャレンジの時には使うかもしれない。
コメント