Team DSMの将来のエースと見られていたテイメン・アレンスマンだが、INEOS Grenadiersへの移籍を果たした。
Jumbo-Vismaと天秤にかけたとも言われている。だが、何故、将来のエースの座を蹴ってまでINEOS Grenadiersに移籍したのか本心を語っている。
早すぎる成功
キャリア当初、テイメン・アレンスマンは主にシクロクロスで成功していた。2017オランダ選手権ジュニア、2017ワールドカップヒュースデン=ゾルダージュニアを制している。
国際的に注目されるようになったのは、2018ツール・ド・ラブニール(Tour de l’Avenir (2.Ncup)で、タデイ・ポガチャルについで2位となってからだ。
ツール・ド・ラブニールは若手の登竜門とも言われており、Avenir とは「将来・未来」の意味がある。
これで、自分の将来はロードにあると悟った。2位となったことで、当時18歳だった彼の期待も高まる。早ければ2019年にプロに転向できたものの、2020年8月まで待ってからDSMでプロサイクルに転向した。
しかし、アレンスマンは、国際カレンダーで最も重要なジュニアレースでの大成功について、今ではより懐疑的になっている。
「もちろん素晴らしい成果だったが、振り返ってみると、今の知識では、この成功をU23時代のもう少し後の時期にしたかった。
いつか世界の頂点に立つために、健康で長いキャリアを築きたい。ツール・ド・ラブニールでこんなに早く2位になることは、私の計画にはなかったことなんだ。
でも、自分が先頭に立つなら、もちろんちゃんとレースしたい。しかし、どうやら私はもう十分優秀だったようだ。今でもその走りには満足しているが、その分、急成長を余儀なくされた。
もっと違うものにしてほしかった。私は、人に知られることなく、自分の仕事を続けたいと思っていたんだ。
国民とその期待が重荷になった。2位になったことで、来年はもっと速く走れる、もっといい成績を残せる、と期待されるようになった。自分のためにやっているのに、サイクリングの楽しみが少し減ってしまった。」
プロの世界では、アレンスマンはいきなり深いところに放り込まれた。コロナのために秋に延期されたブエルタ・ア・エスパーニャを、すでに2020年10月にスタートしている。
しかし、グランツールデビュー戦では圧倒されるどころか、しばしば逃げ集団に登場し、2つのステージをトップ6でフィニッシュすることができた。
Team DSMでの最初のフルシーズンでは、攻撃面でも頻繁に自分の力を発揮した。とはいえ、2021年にトップ10入りできたのは3回だけで、そのうちの1回はジロ・デ・イタリアの最終タイムトライアルの3位だ。
2022年シーズン、戦術を変え、序盤に攻めて逃げるのではなく、チームメイトのロマン・バルデとしばしば争うフィナーレのために自分を温存したのだ。
そしてティレーノ・アドリアティコ(2.UWT)で総合6位、ツアー・オブ・アルプス(2.Pro)で最終的に3位となり、成功はすぐに訪れることに。
ジロ・デ・イタリアに出場し、ロマン・バルデをアシストしながら、最終タイムトライアルを2位でフィニッシュした。
ツアー・オブ・ポーランド(2.UWT)でプロ初勝利を挙げたアレンスマンには、ブエルタ・ア・エスパーニャでキャプテンという別の役割が与えられた。
意に反してエースに
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ブエルタ・ア・エスパーニャは完全に成功した。第15ステージのシエラネバダの山岳フィニッシュでプロ2勝目を挙げ、今年最後のグランツールを総合6位で終えている。
「体力的には十分だったんだ。でも、やはりツール・ド・ラブニールの時と同じように、少しずつリーダーに成長していきたかった。
結局、あのままでよかったのですが、私の理想とする世界ではもう少し違う展開になっていたかもしれない。もしDSMに残っていたら、1月1日からのレースでリーダーを務めることになり、プレッシャーがかかっていただろう。
それでも自転車を楽しむことはできるが、初日から上位の成績を収めなければならないのであれば、すでに少し減ってしまう。まだ、その準備ができていないのかもしれない。」
つまり、テイメン・アレンスマンは、プレッシャーに押しつぶされないために、最終的にINEOS Grenadiersに乗り換えることにしている。
この点では、同じオランダのトム・デュムランの例がある。同じようにチームの唯一のリーダーを嫌ってTeam SumwebからJumbo-Vismaに移籍している。
若くして、エースとなってもプレッシャーに押しつぶされることなく実力が発揮出来れば良いだろう。テイメン・アレンスマンの移籍は正解となるかもしれない。
当初2年間の契約を結んだINEOS Grenadiersでは、元ツール勝者のゲラント・トーマス、エガン・ベルナルに続く2列目で、実際にプレッシャーなく自分の資質を磨く機会を得ることができる。
テイメン・アレンスマンは、まだ23歳だ。時間は十分にある。
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