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1990年代のアワーレコードのとんでもないバイクを現代風にしたRoad Frameset – FX

機材情報
Photo credit: jambox998 on Visualhunt
この記事は約5分で読めます。

英国のカスタム カーボン ブランドFramesetは、1990年代のバイクデザインの黄金時代に敬意を表したユニークなハンドメイド バイクを作成した。

この時代は、グレアム・オブリーとクリス・ボードマンがとんでもないバイクとポジションを使用してアワーレコードの覇権を争っていた。

古き良き時代であり、今では考えられないバイクとポジションだ。まずは、歴史を振り返り、現代風の装備となったFramesetを見てみよう。

 

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グレアム・オブリー 1回目のアワーレコード

Photo credit: Numerius on Visualhunt

 

最初のアワーレコードは、グレアム・オブリーが1993年7月17日に51.596 kmを記録。その時のポジションが変わっている。

タッグ・ポジション(オブリーポジションMk-1)と呼ばれるスタイルは空気抵抗を削減するために生み出された。肘を折りたたんで、しゃがみ込みハンドルに覆いかぶさっている。

これで走れる所が凄いんだけど。

バイクも変わっている。トップチューブがなくチェーンステーの位置も独特。

フレームとハンドルも子供用自転車を元に自宅のガレージで溶接して作ったというから驚きだ。

狭いBBには、捨てられていた洗濯機のベアリングを使用している。物凄い手作り。

 

Photo credit: interbeat on Visualhunt

 

このマシンは、オールド・フェイスフルと呼ばれ、フランチェスコ・モゼール以来9年も破られる事のなかったアワーレコードの更新を果たした。

だが、記録更新から一週間もたたないうちに、クリス・ボードマンにアワーレコードを破られてしまう。

 

再挑戦しようとした時に、UCIがルール変更。なんと彼が考案する特殊なライディング・フォームの使用を禁止したのだ。

これには、安全性の為と当時のUCI会長の一存だったという説もある。まあ、フランチェスコ・モゼールの記録が廃品利用のアマチュア選手に記録を破られたのではねえ~。

 

2度目のアワーレコード更新

Photo credit: Numerius on VisualHunt

 

1993年彼の兄弟が死去、躁鬱に苦しむ事になる。だが、オブリーはあきらめず、肘が胴についてはいけないというルール変更を考慮し新しいフォームを編み出した。

それが、スーパーマンポジション(オブリーポジションMk-2)だ。このポジションで1994年4月27日に、52.713kmの2度目のアワーレコード更新を果たす。

その後、アワーレコードはミゲル・インドゥライン、トニー・ロミンゲルに更新されたが、1996年9月7日、クリス・ボードマンは56.375kmまで記録を更新している。

 

 

この時のクリス・ボードマンもスーパーマンスタイルで記録を出している。まあ、凄いですねえ~。これで走れるのが凄い。

2019年のヴィクトール・カンペナールツが記録した55.089kmよりも速いのだから、いかに空気抵抗が問題となっているのかがわかる。

だが、クリス・ボードマンや、グレアム・オブリーの記録もUCIによって、抹消されている。

特殊なエアロポジションでの挑戦が過熱していったことから、1997年にUCIがルールを変更。エディ・メルクスの実施時の設定(メルクススタイル)を基準とした。

UCIは、ファニーバイク、TTヘルメット、ディスクホイール・バトンホイール、エアロバー、モノコックフレームの使用を禁止。

ボードマンやグレアム・オブリーらの記録はすべて「UCIベストヒューマンエフォート」と位置付けられた。

だが、グレアム・オブリーの実力は本物で、1997年には英国個人TTのチャンピオン。

そして、トラック選手として1993年と1995年に世界選手権自転車競技大会の男子個人追抜競走では優勝している。どちらも自作のマシンで走っているのが凄い。

グレアム・オブリーは現在、スコットランドのアパレルブランドEnduraの開発スタッフの一人となっており、スキンスーツの開発などに携わっている。

 

Road Frameset – FX

 
 
 
 
 
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Filament Bikesの創設者兼フレームビルダーのリチャード・クラドックは、1990年代のバイクが大好き。

フレームの形状はグレアム・オブリーが作った最初のバイクとそっくり。

まず、カーボンなので、コンプライアンスが得られるようにかなり幅広。ダウンチューブとシートステイがなくても構造的に耐えられるようにするには、この太さが必要なのだろう。

装備に関しては、現代風のアレンジがしてある。

油圧ディスクブレーキ、電子ギア、32 mm幅広タイヤ、内装ケーブルなど、2020年代のライディングに十分な装備が整っている。

リチャード・クラドック自身も、トラック競技選手であり自分のためのプロトタイプとして、このフレームが作られた。さらなる改良を期待したいですね。

コメント

  1. TIKO より:

    少しマメ知識を

    過去一度だけ日本の公式レースでオブリーポジで戦われたケースがあります

    東日本実業団 4000m個人追抜 決勝(いつかは忘れました)
    ・安藤康洋(ミヤタ)×永井孝樹(アコムラバネロ)
    ・勝者:安藤

    後半途中までオブリーポジの永井さんがリード、1/4差まで迫るも逆転される

    安藤さんは当時日本記録を持っていた絶対王者(元スペシャライズド営業)
    永井さんはラバネロのショップ店員(その後プロメカとして欧州で活躍)

    • ちゃん より:

      かなりのレアですね。

      日本でもオブリーポジションを使ったということは、バイクもその仕様で作ったということなんでしょうね。かなりの昔ですね。

      検索すると、長年ヨーロッパのトッププロチームのメカニックとして活躍したのち、現在は東京都内のロードバイク専門ショップ「ポジティーボ」を運営していると出てました。

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