ブエルタ第15ステージのクイーンステージでは、やはり最後は総合勢のバトルが展開された。
1級山岳アルト・デル・プルシェからJumbo-VismaとINEOS Grenadiersが動きだす。そして、マイヨロホのレムコのアシストは誰もいなくなった。
超級山岳シエラネバタに入る前からJumbo-Vismaは総攻撃。総合勢だけのグループを作りだす。この時点で、レムコ・エヴェネプールが先頭を引き始め、プリモッシュ・ログリッチは最後尾に。
これは足を溜められる絶好のポジションだと思われたのだけど。
ミゲルアンヘル・ロペス、エンリク・マスとリーダーグループから飛び出すクライマーにプリモッシュ・ログリッチは動かない。
残り1kmまでプリモッシュ・ログリッチは、レムコとベン・オコナーと3人でいた。何故、プリモッシュ・ログリッチは早くからアタックをかけて逆転を狙わなかったのか?
その理由についてプリモッシュ・ログリッチ自身が語る。
アタックが遅れた理由とは
Jumbo-Vismaの攻撃により総合勢だけとなったグループの最後尾につけていたプリモッシュ・ログリッチ。
ゴールまで、残り17.3kmもある場面でレムコが先頭を引いてくれるならば、後ろは足を溜め放題だ。
この時点で、総合が逆転されると考えた人も多かったのでは。だが、その後 ルイス・フェルファークが逃げから降りてきてレムコをアシスト。
総合6位のミゲルアンヘル・ロペスの、残り10.5kmでの抜け出しアタックはいいだろう。6分2秒総合では離れているのだから。
だが、残り9.8kmで総合3位のエンリク・マスがアタックをかけた時にもログリッチは静観。好調な状態のプリモッシュ・ログリッチならば、すぐに追従していたはずだ。
彼らの後ろについて、レムコの出方を伺うことも出来たはず。
この時点で、 ルイス・フェルファークのアシストは外れる。再び、レムコが先頭を引くので十分にチャンスを伺ってからアタックをするのかと思っていた。
しかし、最終的にプリモッシュ・ログリッチがアタックをかけたのはゴール手前1km付近から。
通常のライダーならば、ここで精神的に切れて大きく遅れてしまう場面だが、心身ともに成長しているレムコはペースでゴールまで上がり切る。
結局、ログリッチは15秒しかレムコから奪えなかった。総合のタイム差は1分34秒。長い登りの少ない最終週では、簡単に逆転出来るタイム差ではない。
残り1kmまでアタックをかけれなかった理由についてログリッチ自身が語る。
正直なところ、私は最高の気分ではなかった。最終的にはこの厳しいステージを乗り越えた。
登りの頂上に向かって、私は底よりは気分が良くなった。しかし、本当に困難な登りだった。レースに勝ちたかったのが、このようなことをするのに適切な足がなかった。
それでも、何とかタイムを得ることができた。16秒を失うよりも16秒増やす方が良い。最終週に持っていく。その前に、月曜日のオフを楽しみにしている。
プリモッシュ・ログリッチも、あまりコンデションが良くなかったことがわかる。さすがに人間だしね。第14ステージには58秒レムコから奪い、第15ステージでは15秒。合わせて1分13秒も縮めたことになる。
逆に、これだけのタイム損失で抑えたレムコ・エヴェネプールは、本当に強かった。特に、彼の性分なのだろうけど、登りでも先頭を引き続けるスタイルは素晴らしいとしかいいようがない。
多くの総合系ライダーが保守的な走りをする中、堂々と先頭を引くのは逆にカッコいい。
この二人の熱いバトルを最終週の登りゴールでも期待していて良いと思う。ベストなコンデション同士でのガチンコバトルを見てみたい。
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