ツール・ド・フランス第14ステージは、13人の逃げが決まった。
バウケ・モレマは残り40kmの下りからアタックをかけて抜け出すことに成功。アタックをかけた瞬間、後ろはエスデバン・チャベスだったが、後ろを見て誰か追わないか見ていた。
当然、これだけ遠い場所からソロで逃げるモレマについていこうとする人間もいなかった。
だが、バウケ・モレマの下りは速い。あっという間に、15秒、30秒と離していく。ソロで走る時に最も重要なのは、ペース配分だと思う。
しかし、バウケ・モレマは通常誰もが使う物を使用していなかった。
2年間ポケットにいれたまま
With 2km to go before the summit, the gap is reduced to under 1′ for 🇳🇱 @BaukeMollema.
🇳🇱 @BaukeMollema a maintenant moins d’une minute d’avance sur le groupe 🇨🇴 @HiguitSergio !#TDF2021 pic.twitter.com/o5NnScT23K
— Tour de France™ (@LeTour) July 10, 2021
バウケ・モレマのハンドル周りを良く見て欲しい。すぐにお分かりだと思うけれど、バウケ・モレマはサイクルコンピューターを使用していない。
パワーメーターを使わないライダーはたまにいるけど、スピードメーターを使わないライダーはいないだろう。
ついでに言うと、バウケ・モレマはハンドルに当日のレースコースのメモなども貼っていない。
これについてバウケ・モレマは
2年前からサイクルコンピューターを後ろのポケットに入れている。それは私にとっては、少し古いやり方だ。だけど、トレーナーは私の価値観を理解している。
それを使ってトレーニングはしているけど、レース中は自分の価値観を見る必要はない。パソコンがなくても、ゲレンデをうまくセッティングできることがわかった。
それに加えて、この方法でハンドルバーも素晴らしく綺麗であることが好きなんだ。
タデイ・ポガチャルは、2020ツールの個人タイムトライヤルでパワーメーターを使わなかった。だが、これは意図的にバワーに縛られることなく、全力を出し切るためだ。
パワーの値を見てしまうと、限定に近いとかわかってしまうからにほかならない。
バウケ・モレマの過去の写真を見てみると、今年の勝利したレース全てと、2019イル・ロンバルディア優勝の時もサイコンは付いていない。
情報は、あればあるほど良いと思うのが通常だが、中にはなくても勝てる人がいるというのが不思議だ。
自分の中にある感覚と、実際のスピードとパワーが一致しているからこそ出来る芸当だろう。抜群のタイミングと間合いでアタック。
あとは、自分の価値観で走りを管理して走る。職人技としか思えない。まさにプロだ。
コメント