タデイ・ポガチャルはツール第20ステージの個人タイムトラヤルで登りを全力で上がるために立てた一つの作戦があった。
最初の平坦区間は、カスタム設計されたColnago K-Oneタイムトライアルバイクで疾走。
続く、バイク交換ではColnago V3RSディスクに乗り換えた。最後の登りで爆発するためにタデイ・ポガチャルはある秘策を施した。
秘策と言えるほどではないけど、精神的なものかな。
平坦はパワーメーターで管理
タデイ・ポガチャルは14.4kmの第1計測地点では元世界チャンピオンのトム・デュムランに続く2位で通過。
第2計測地点の30.3kmでは3位。当然平坦では、一定ベースで走ることが要求される。その為に必要なのはパワーメーターで管理して走ることだ。
クリス・フルームが、2018年ジロ・デ・イタリア第19ステージで80キロの独走をした時。この時にも、パワーメーターで350Wで管理して逃げ切ったのは有名なこと。
また、世界一の逃げ屋と呼ばれるトーマス・デヘントもパワー管理しながら逃げている。
タデイ・ポガチャルはStages Power Meterを今回のタイムトライヤルでも使用。ただ、心拍系モニターはつけていない。
登りでの秘策
タデイ・ポガチャルは最もスピードの落ちる地点でバイク交換をする。これは2回の試走で試していた地点だ。
タデイ・ポガチャルのハンドル周りには一切メーター類はない。そしてクランクにもStages Power Meterは取り付けていなかった。
パワーメーターはタイムトライヤルでこそ生かすことの出来る機器。自分の限界を越えるギリギリのパワー値で走ることが要求されるTTでこそ有効だ。
だが、あえてタデイ・ポガチャルは登りで使わなかった。メーターを見ることで自らの力をセーブすることを選ばなかった。
つまり、パワー値に縛られることをせず、ファンの観客を聞きそれをアドレナリンとして登りでパワーを爆発させたのだ。
そのためにあえてパワーメーターも心拍モニターも使わずに限界を越える走りを自らに課した。
これこそがタデイ・ポガチャルが最後に仕込んだ精神的な秘策だった。ポガチャルは見事に最後の15分で歴史を塗り替える。
2017年にファビオ・アルが作った記録を2秒上回るタイムで走り切った。タデイ・ポガチャルは、最後の最後まであきらめてなかったのだ。
57秒というタイム差を跳ね返す、素晴らしい走りを見せて貰った。
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