2026 ツール・ド・フランス開幕ステージは、スペインのバルセロナで行われる。その第1ステージの形式を巡って、早くも注目が集まっている。
第1ステージは、チーム・タイムトライアルとして予定されているが、Team Visma | Lease a BikeのGMリチャード・プラグは「これは実際にはチームTTではない」と批判的なコメントを出している。
ヨナス・ヴィンゲゴーにとっては有利なのではないのか?
チームTTではないとはどういう意味か?
We’re only in October, but the 2026 Tour de France is already on the horizon. 🇫🇷
Click here to see what Grischa Niermann had to say about the presentation in Paris today: https://t.co/JTs1hzmXFh pic.twitter.com/SSaYqtBMZ4
— Team Visma | Lease a Bike (@vismaleaseabike) October 23, 2025
リチャード・プラグが問題視しているのは、伝統的なチームTTとのルールの違いにある。一般的なチームタイムトライヤルでは、チーム内の規定人数の選手のタイムがゴール地点で計測され、そのタイムがチーム全員の個人総合成績に適用される。
そのため、チーム全体の連携とTT能力が非常に重要になり、総合優勝を目指すエースを守り、アシストたちが全力を尽くす展開になる。
しかし、2026年ツール・ド・フランスの開幕戦は、一見チームTTでありながら、実は「エースのタイムのみが適用される」あるいは「チームが先導できる」が「各自の個人TTの要素が強い」パリ~ニース形式が採用される。
つまり、通常は4番目の選手のタイムがチームのゴールタイムとなるけど、今回は個々のライダーの記録がそのままリザルトに反映される。UCI 規則の第 2.5.014 条では、この計時方法はチームタイムトライアルで許可されている。
総合優勝候補のヨナス・ヴィンゲゴーにとっては、以下の点で影響が出てくる。
Team Visma | Lease a Bikeは、非常に強力なメンバーを揃えるチームだ。 特に、ワウト・ファンアールトのようなTTスペシャリストがいれば、従来のチームTTでは、チーム力で他の総合ライバルに大きなタイム差をつけることが可能だった。
これは、山岳での戦いを有利に進めるための重要な貯金となる。 しかし、もしこの開幕戦が「実質的な個人TT」に近ければ、チーム力によるアドバンテージを最大限に活かせなくなり、開幕戦でのタイム差が最小限に抑えられてしまう可能性がある。
結果的に「実力のある個人TT選手」の力が反映されやすい形式であるとすれば、最終的にはヨナス・ヴィンゲゴーの個人TT能力が重要になる。
ヨナス・ヴィンゲゴーは、過去のツール・ド・フランスでも個人TTで素晴らしい走りを見せ、ポガチャル選手を突き放した実績がある。
形式がどうあれ、彼の個人TTの走りが良ければ、他の総合ライバルに対してリードを奪うことは可能だ。
ただし、2025 ツール・ド・フランスでは、平坦な個人TTでレムコ・エヴェネプールに遅れをとったステージもあり、常に盤石というわけではない。
ASOは以前、ツールの初週に1チームが総合順位を完全に独占することを望まなかったため、この新しいコンセプトを導入したいと示唆していた。
今回のチームタイムトライヤルでは、個人のタイムが総合に直結するので1位となったチームが上位を独占することはなくなる。
ようは、チーム全体のTT能力、あとはヨナス・ヴィンゲゴーの当日のコンデションにかかっている。ただ、過去のパリ~ニース形式のチームタイムトライヤルではJumbo-Vismaが常に勝っている。
圧倒的なリードは奪えないとしてもTTの強いチームとして上位に入ってくるのは間違いないだろう。うまくいくと第2ステージでワウト・ファンアールトがマイヨジョーヌを着用できるチャンスもあるかもしれない。
ただ、第2ステージのゴール前にあるモンジェイックの丘では、逃げ切りを狙うライダーは他にも多くいる。ここは有利に進めたい総合勢が動くかもしれない。



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