ジュリアン・アラフィリップは、今シーズン最も活躍した選手と言っても良いだろう。
春先から好調を維持してクラシックでも優勝を繰り返した。
そして、ツール・ド・フランスではマイヨジョーヌを着続けてフランス中を沸かせる活躍。タイムトライヤルでは、ゲラント・トーマスを破って優勝。
まさに、乗りに乗っているジュリアン・アラフリップ。ヨークシャーで開催される世界選手権でも優勝の最有力候補の一人だ。
だが、ここにきてカナダでのワンデイレース2連戦を見ると、ジュリアン・アラフリップの走りに精彩が感じられない。
グランプリ・シクリスト・ド・ケベック 201.6km
カナダで行われたワールドツアーレース。
第1戦は、ケベックの市街地を周回する。1周12.6kmの周回コースを16周回で201.6km。
市街地ながら、獲得標高は2,976mにも及ぶコースで急こう配の短い坂が現れる。
最後のフニッシュ地点は、平均勾配4%の登りが続き一気にはゴール出来ない。
まずは、レースのハイライトのゴール前シーンを見て欲しい。
サガンのアタックを引き継いだアラフリップの走りで出来た逃げ集団は5人。
- サガン(BORA – hansgrohe)
- グレッグ・ファン・アーベルマート(CCC Team)
- ディエゴ・ウリッシ (UAE-Team Emirates)
- ジャック・ヘイグ (Mitchelton-Scott)
超強力な逃げ集団の先頭を引くのは、ジュリアン・アラフリップ。
一度先頭を引きながら、苦しそうに先頭集団後ろにつくアラフリップ。
結局、逃げがつぶされてしまうが、登り勾配のために逃げた面々は埋もれる形に。
ラスト300mから、ジュリアン・アラフリップは無理やりにスプリントを開始したが、全くキレがない。右端を進むアラフリップは簡単に抜かれてしまう。
今シーズンの絶好調な時のアタックから見ると、まるで別人のような走りに見えたのは私だけだろうか。
グランプリ・シクリスト・ド・モンレアル 219.6km
カナダの2戦目は、モンレアルの中心部を走る。1周12.2kmの周回コースを18周219.6km。
獲得標高は4,734mとなっており、世界選手権の前哨戦として参加する選手が多いのもうなずける。
こちらも最後のフニッシュラインは4%の登り勾配となっている。
最終周回に抜け出したブノワ・コヌフロワ(AG2R La Mondiale)が、アタックを成功させて後続に10秒の差をつけた。
残り3kmで、小さくなった20人ほどの後続集団から追走のアタックをかけたのはジュリアン・アラフリップ。
見事なアタックで抜け出し、誰もついてこれない。
フランス人同士の逃げはゴールまで突き進むかと見えた時に、ジュリアン・アラフリップが先頭交代をやめてしまう。
これには、ブノワ・コヌフロワがハンドルをたたいて悔しがる。せっかくフランス人同士の逃げが決まるかと思っていたのに。
彼は憧れのアラフリップと表彰台に立ちたかったのだ。だが、アラフィリップは勝利を狙って先頭交代しなかったのではなかった。
レース後に、ブノワ・コヌフロワと話をしたアラフィリップは、すでに足がなかったと話をしている。
今シーズンのクラシックでみせた走りからは信じられない光景だった。
春先から好調で、連勝を続けていたアラフィリップ。
主な優勝レースだけでも、以下のように凄まじい。
ただ、リエージュ〜バストーニュ〜リエージュは、フルサンにおいていかれた。
この時にも、それまでの連戦による疲労がたまっていたのだ。この為、休養をとってから クリテリウム・デュ・ドーフィネに出場している。
それと同じで、今回もツール・ド・フランスの疲れが残っていたのではないだろうか?
ツール・ド・フランス後の成績は、バッとしない。
- Clásica Ciclista San Sebastián (1.UWT) DNF
- Deutschland Tour (2.HC) 94位
- Grand Prix Cycliste de Québec (1.UWT) 7位
- Grand Prix Cycliste de Montréal (1.UWT) 13位
ここから9月29日のエリート男子ロードまでは2週間もない。
しっかりと疲労を抜いてコンディションをあげていかないと世界選手権での優勝は難しいのではないか?
世界選手権のコースは距離が長い。285kmもある。
特に、周回コースでは、アップダウンが連続するために、ごまかしがきかないのだ。
アラフィリップがベストなコンディションを取り戻さないと優勝の最有力候補からは外れてしまうのではないだろうか?
是非、ここから体調を整えてベストな状態のジュリアン・アラフィリップの走りを期待したい。
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