レムコ・エヴェネプールのリタイヤ。
誰が、この姿を想像できただろうか。第12ステージのオタカム、第13ステージの個人タイムトライヤルと立て続けに悪い日を過ごしたレムコ。
2022 ブエルタ・ア・エスパーニャでもバットデイの後にステージ優勝していたこともあり、誰もがレムコの復活を期待していた。
だが、それは起こらなかった。必然だったのだろうか。
必要なトレーニング
A sight no cycling fan wants to see 😢
Remco Evenepoel abandons the Tour de France 💔 pic.twitter.com/8LpJluYQRZ
— Cycling on TNT Sports (@cyclingontnt) July 19, 2025
レムコは昨年12月に交通事故で複数の骨折。
- 肋骨骨折
- 右肩甲骨骨折
- 手を骨折
- 両肺の挫傷
- 鎖骨の脱臼
この後遺症は非常に大きく、未だに肩は動かない部分がある。自転車では関係ないというけれど。これで冬の間のトレーニングの積み重ねが出来なかった。さらに、ここまで作っていたベースとなる強さも失ってしまったのだ。
出遅れたレムコだったが、初戦のブランバンツ・パイルでワウト・ファンアールトをスプリントで破って勝利。2022 ツール・ド・フランスのポイント賞を獲得したワウトを破ったのは大きい。
続くアムステルゴールドレースでは3人のスプリントで先行して3位。これは仕方ない。
ツール・ド・ロマンディ第5ステージの個人タイムトライヤルで勝利。総合5位となる。
問題はタデイ・ポガチャル、ヨナス・ヴィンゲゴーとツール前に激突したクリテリウム・デュ・ドーフィネだ。第5ステージの個人タイムトライヤルで一気にトップにたったけれど、第5ステージのゴール前で落車。
レムコは、残りの山岳ステージでアレルギーの影響もあり、Red Bull – BORA – hansgroheのフローリアン・リポウィッツにも抜かれて総合4位のフニッシュとなる。
ここだ。アレルギーの影響もあり、クリテリウム・デュ・ドーフィネからツール・ド・フランスまでの間に全く強度の高いトレーニングができなかったのだ。
アレルギーが彼を苦しめ、調整を余儀なくされ、昨年のように調子を上げることができなかったのだ。トレーニングなしで、好調な走りは維持できない。
徐々に精彩を欠いていったのは、十分なトレーニングができていないからだった。
レムコ・エヴェネプールのインタビュー
昨日あなたは、こう言いました。「諦めるなんて私の辞書には無い。」と。
それは機能しなかった。何も脚に入ってなかった。たまには調子が悪い日もあるだろうけど、3日連続で調子が悪いというのは普通じゃない。
辞めるのは最良の選択だった。自分自身にそう言い聞かせた。
この急激な衰えの原因は何なのか?
全く分かりません。今すぐ調査する必要がある。私がこの冬をひどく辛く過ごしたことは誰もが知っているが…もしかしたら、体に何か問題があるのかもしれません。何とも言えない。
コーチは、ドーフィネをうまく消化できていないことをすでに指摘していた。
ツールに向けてほとんどトレーニングができなかった。どんな激しさにも耐えられなかった。
疲労のせい? 今年は体調が優れないのか?
原因は様々だ。バイクを降りた時は調子は悪くないのだが、乗っている時は調子が悪いんだ。いつものように全力で走れない。
あれだけの問題を抱えている中で、ツールに出場したのは良い考えだったのだろうか?
ええ、ステージ優勝はしたし、長い間3位もキープしていた。今日までは全て順調に見えた。でも、状況は悪化の一途を辿り、本当に最悪な結果になってしまった。
今日は本当にダメだった。グルペットで出場することもできたが、もしかしたらもっと体に負担をかけていたかもしれない。そうしたら9月も出場できなかっただろう。
肩はまだ調子が悪いと聞いてますが。
えっと、肩はまだ動かない。しかし、サイクリングにはほとんど影響がない。主に日常生活で問題を感じている。例えば、右手でバッグを持つことができない。
今後数週間で何が起こりますか?
まだ終わってません。
今の気持ちを。
今年は本当に大変な一年だった。長い間、バイクに乗れなかった。最高の状態でスタートラインに立てるよう、体力を鍛えてきた。
でも結局、また全てが崩れ去ってしまった。正しいやり方がわからない。言葉でいうのは難しいが、今年もまた残念な結果となった。挫折もあり簡単ではなかった。
ティムのアシストもしたし、チームメイトは私のために自分を犠牲にしてきた。そして、今日はゲームオーバーだった。
その後、インタビュー内容は同じことの繰り返しだった。コーチが勧めていなかったら走っていたかもしれないけれど、身体を痛めつけるだけだっただろう。
疲れはないのに、走れない。完全に空っぽの状態だ。レムコにはまだ世界選手権が待っている。一度、仕切り直しをして再びTT世界王者を目指すのが賢明な判断だ。
しかし、レムコもケガやアクシデントが多い。これからは何もないことを祈るしかない。
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