セップ・クスはツール・ド・フランスで10年振りにアメリカ人による勝利をもたらせた。
最後にアメリカ人が優勝したのは、2011年タイラー・ファーラー(Tyler Farrar)以来。ちなみにこの時の5位はマーク・カヴェンディシュ。
逃げには、Team Jumbo-Vismaからワウト・ファンアールト、ステファン・クライスヴァイク、セップ・クスの3人が乗っていた。
誰もが、モン・ヴアントゥで勝利したワウト・ファンアールトが最後にアタックするものと思っていただろう。
私もその一人だが、最後にアタックをかけたのはセップ・クスだった。
セップ・クスのメリット
Nice moment. Winner @seppkuss and runner-up @alejanvalverde congratulating each other after Tour de France Stage 15 👌
___________#TDF2021 #TourdeFrance pic.twitter.com/AgSiKCEGMt— Velon CC (@VelonCC) July 11, 2021
Team Jumbo-Vismaの現在残っているライダーは5人
- ワウト・ファンアールト
- ステファン・クライスヴァイク
- セップ・クス
- マイク・テウニッセン
- ヨナス・ヴィンゲゴー
総合3位にいるヨナス・ヴィンゲゴーのアシストは、マイク・テウニッセンだけ。3人も逃げに送るというのは、普通では考えられないことだ。
ステージ優勝と総合を守るという難しいミッションだ。
だが、マイク・テウニッセンは最も標高の高い1級山岳 ポール・ダンヴァリラまでヨナス・ヴィンゲゴーをサポート。チームは完璧な状態でレースをすすめる。
ヨナス・ヴィンゲゴーに何かあった場合には、逃げる3人が待ってサポートすることが決まっていた。
セップ・クスはこれまでツールではチームのために常に働いていた。今回はセップ・クスが輝く番だったのだ。
だが、これにはセップ・クスがアンドラに住んでおり、最後の1級山岳ペイシャリス峠を良く知っていたことにある。
とても難しい登りであることは知っており、トレーニングではあまり使わないが、リードした場合、ギャップを埋めて最後までに追いつくことは難しいだろうとわかっていた。
さらに、タイトな下りも経験済みだ。
逆に2位で追うアレハンドロ・バルベルデは下りのスビードもピカ一。頂上で19秒しか差がなかったので、間違いなく追いついてスプリントで勝利すると思っていたけど……。
だが、アレハンドロ・バルベルデは、カーブの多い下りで無理をすることがなかった。追うことは可能だったが無理をして落車するリスクを抑えることにした。
実際、ヨナス・ヴィンゲゴーのアシストに回ったワウト・ファンアールトは、先頭を下っていたけど、カーブで突っ込みそうな場面に遭遇している。
セップ・クスが困ったのは、ゴール前の3キロの部分。向かい風に苦しんだ時だけだった。
ここまで、隠れていたセップ・クスだったが、ついに最高の足を見せてくれた。第3週ではヨナス・ヴィンゲゴーのアシストに戻る。
昨年のように最後の懐刀としてのスーパーアシストを見せてくれることこを期待したい。タデイ・ポガチャルを引き離す場面を是非見てみたいものだ。
コメント