ツール・ド・フランスの前哨戦であるクリテリウム・デュ・ドーフィネが閉幕した。
現代の4強のうち、タデイ・ポガチャル、ヨナス・ヴィンゲゴー、レムコ・エヴェネプールが激突。タデイ・ポガチャルの課題はTTの改善だけで、非常に調子が良いことが確認された。
昨年に比べると脳震盪などで出遅れたけれど、筋肉量などは間違いなく増えたヨナス・ヴィンゲゴーだったけれど、第6ステージでは1分もの差をつけられてしまう。
レムコ・エヴェネプールは得意の個人タイムトライヤルで優位にたったけれど、その後落車でコンデションを崩している。さらに不調に追い打ちをかける状態だったようだ。
ヨナス・ヴィンゲゴー 爆発的加速力
💛 Jonas Vingegaard attaque mais @TamauPogi ne quitte pas sa roue !
💛 Jonas Vingegaard attacks but @TamauPogi stays in his wheel! #Dauphiné pic.twitter.com/r9LSmjR8nS
— Critérium du Dauphiné (@dauphine) June 15, 2025
上記は第8ステージのヨナス・ヴィンゲゴーのアタックの場面。勾配の関係もあるだろうけれど、シッティングのまま攻撃している。
タデイ・ポガチャルは、予測しており余裕でついているようだ。さらにすぐに先頭交代もしている。二人のタイム差は約1分あり、普通ならばタデイ・ポガチャルが前に出る必要はない。
タデイ・ポガチャルもアタックする時にはシッティングのまま行うことが多い。ストラーデビアンケでトム・ピドコックを置きざりにした時もそうだった。
だけど、今回第7ステージではタデイ・ポガチャルは、ダンシングで加速。ヨナス・ヴィンゲゴーは100mもついていくことができなかった。通常シッティングよりもダンシングのほうがパワーが出る。タデイ・ポガチャルがダンシングで加速する時、誰もついていけないことになりそうだ。
ツール・ド・フランスでタデイ・ポガチャルが急こう配でダンシングアタックをかけた時、ヨナス・ヴィンゲゴーは対応できるのだろうか。
ヨナス・ヴィンゲゴーのコメント
タデイがツール・ド・フランスの最大の優勝候補だ。もちろん、ディフェンディングチャンピオンとして大きなプレッシャーはかかっているが、彼はそれをうまく乗り越えられるだろう。
ツール・ド・フランスを見据えた8日間の激しいレースを終えての感想は?
もう少し前進できればと思っている。例えば、長い登りでの加速など。でも、実際には全てがもう少し良くならなければならない。
ツールでベストを尽くすことに集中している。もちろんタデイはとても強そうに見えるけど、僕には他にできることは何もない。もし彼に弱点を見つけたとしても、ここで言うつもりはない。
今は彼にプレッシャーがかかっているのは明らかだ。
レムコ・エヴェネプールは100%でなかった
Remco Evenepoel: “da la sensación que el ritmo duro que ponen los gregarios es ritmo de entrenamiento para ellos. Cuando vamos casi al límite ellos atacan. Ver que son tan superiores te quita la moral” pic.twitter.com/EPII0EjEGC
— Diego Vos (@diegovos_) June 15, 2025
レムコ・エヴェネプールは第4ステージの個人タイムトライヤルで一躍トップに。しかし、第5ステージのゴール手前で激しい落車。
まず、落車の影響がゼロだったとは思えない。映像でも相当なスピードで地面に叩きつけられている。加えて、弱点の一つである花粉症もレムコを悩ませていたようだ。
世界最高峰の二人は、人が限界の時に更に強度をあげていく。身体が100%でないとついていけないのは当然だ。
それでも、残り8.5kmでは二人に対して攻撃。さらに頂上手前からアタックしてフローリアン・リポウィッツとのタイム差を縮める攻撃もみせている。
レムコ・エヴェネプールのコメント
とにかく、良い気分でここに来られた。今日は集団内で激しいアタックがあり、スタートは厳しかった。
当初ヴァランタン・パレパントルかマキシミリアン・シャフマンを逃げさせるつもりだった。そして、それがうまくいった。ヴァランタンには当初、ステージ優勝を狙えると伝えていたが、その後、彼が落選したと聞いた。
それから自分でも試してみたんだ。最初からフローリアン・リポウィッツが加速に苦労していることに気づいたからね。彼は自分のペースを保たないといけない。だから、何かしなきゃいけないと思ったんだ。
自分からの攻撃で、フローリアン・リポウィッツを脱落させましたね。そして、ヴァランタン・パレパントルのアシスト。
しかし、ヴァランタン・パレパントルがリードを奪った時間帯は向かい風だった。タデイ・ポガチャルとヨナス・ヴィンゲゴールはしばらくその風を利用し、その後自らアタックを開始した。
ヴィンゲゴーとポガチャルの後ろで、最後の800mを走りきった。僕自身も、彼らがフルフラットだと分かっていた。すぐに差が開いたと聞いて、そのまま走り続けた。そして、はい、結果的にまた5位になりました(笑)
この1週間を振り返っての感想は?
花粉症とあの転倒の影響を過小評価してはいけない。ここ2日間、100%の調子ではなかった。今日はまた少し良くなったが、最高のクライマー2人が逃げ切った。
ドーフィネをどう振り返るかって? ポジティブな気持ちだよ。今は落ち着いて、ツールに向けて努力を続けないといけない。
ツールまでまだ数週間あるし、私たちは何をしなければならないか分かっている。
落車とアレルギーの症状が出なければ、もう少し頑張れたかもしれない。ただ、限界に近い時に加速していく二人を見ると信じられないとも。
ツール・ド・フランスでは2回の個人タイムトライヤルがある。ここで二人に対してリードを広げるのが有利にすすめる方法となりそうだ。
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