2021ヨーロッパ選手権は、イタリアのトレンティーノで開催。39か国の選手が様々な競技で戦っている。
1995年から選手権は開催されているが、エリートロードは2016年から始まっている。
これまでの優勝者は
- 2020 ジャコモ・ニッツォーロ
- 2019 エリア・ヴィヴィアーニ
- 2018 マッティオ・トレンティン
- 2017 アレクサンダー・クリストフ
- 2016 サガン
今年のヨーロッパ王者は誰になるだろう。
トレント~トレント 179.2km

コースマップ photo uec
スタートは、トレントの大聖堂の前のドゥオーモ広場から始まる。
トレンティーノ地域の179.2kmのコースは、2つの部分で構成されている。
73.4kmの山岳コースと、トレントとその周辺の13.2kmのローカルサーキットを8周する。
- 山岳 カディネ 5.7km・5.3%
- 山岳 ビーゴカヴェーディ 5.3km・6.5%
- 山岳 カディネ 5.6km・7.1%
- 山岳 ポボ 3.9km・4.9%
- 山岳 ポボ 3.9km・4.9%
- 山岳 ポボ 3.9km・4.9%
- 山岳 ポボ 3.9km・4.9%
- 山岳 ポボ 3.9km・4.9%
- 山岳 ポボ 3.9km・4.9%
- 山岳 ポボ 3.9km・4.9%
- 山岳 ポボ 3.9km・4.9%
最後の1キロは非常に技術的で、最後の500mに2つの直角カーブがある。ローカルサーキットが濡れている場合、狭いローマ通りの石畳も大きな障害になる可能性がある。
残り250mで、ライダーはロドルフォベレンツァーニ通りに右折し、ドゥオーモ広場でゴールする。
アタック合戦

Tiz-cycling ストリーミング スクリーンショット以下同様
スロベニアが前面にでてスタート。

アイルランド代表のサム・ベネットは4か月振りのレース出場。コースが、最初から登っているので切れている。Deceuninck-Quick-StepのGMパトリック・ルフェーブルはこの出場にご立腹。
チームにトレーニングの報告もせず、膝の手術もせず連絡もない。3か月以上レースを走っていないライダーは給料を減額できるけど、この処置を受けるかもしれない。
そもそろ膝が悪かったら獲得標高4,000mのコースは走れないだろう。

登りで、少し4人が前にでる。ベルギー代表のハーム・ファンフックが入っている。
- ハーム・ファンフック(ベルギー) Lotto Soudal
- フランク・ボドナル(フランス) B&B Hotels p/b KTM
- オレリアン・パレパントル(フランス) AG2R Citroën Team
- アントニオ・ヘスス・ソト(スペイン) Fundación – Orbea

フランスが二人いるのでメインで引く。タイム差は全く与えられない。1分以内に抑えられてしまう。

後続から2人が合流したが、そろそろ捕まりそうだ。すぐ後ろに集団が見える。合流したのは、ティボー・ピノ。

先頭は登りで4人となる。
- ハーム・ファンフック(ベルギー) Lotto Soudal
- ティボー・ピノ(フランス) Groupama-FDJ
- オレリアン・パレパントル(フランス) AG2R Citroën Team
- アントニオ・ヘスス・ソト(スペイン) Fundación – Orbea

先頭に後続からスペインチームが合流する。ミケル・ランダ、ヨン・イサギレ、ダビ・デラクルスと次々と合流。だが、タイム差は20秒もないので、決定的ではない。

集団は、ベルギーチームのヴィクトール・カンペナールツが先頭で引く。エースのレムコ・エヴェネプールは3番手にいる。

ベルギーが引くのを止めて、イタリアが前面にでて追うのを止めてしまう。逃げを容認だ。

集団はポルトガルが先頭に立って追い、タイム差を開かせない。わずか30秒だ。ポルトガルは、ジョアン・アルメイダ、ルイ・コスタで勝負する。

なんと、先頭集団からミケル・ランダが切れてしまう。ブエルタもリタイヤしたが、やはり調子が良くないようだ。

なんと、集団からサガンと、ディラン・トゥーンスが切れる。ここから復帰は難しい。

集団からロマン・バルデがアタック!

これには、すぐにレムコ・エヴェネプールと、ジャンニ・モスコンがチェックにはいる。

ロマン・バルデを捕まえると、ジャンニ・モスコンとまったりとする。

オランダのエース、バウケ・モレマが集団の後方であえいでいる。

逃げていたミケル・ランダが落ちてきた。これをフランスのワレン・バルギルが抜き去る。

ワレン・バルギルは近づいた先頭集団に追いつくつもりだ。もう少しで一番高い山岳を越える。

下りで先頭からハーム・ファンフックが遅れている。これは戦術的なものか。

下りで先頭集団に多くのライダーが合流。ここから残り8周回となる。

集団は13秒遅れだったが、これはもう追いつきそうだ。

ヴィクトール・カンペナールツの姿も後方に見える。これは振り出しだ。

新たに5人の逃げが出来る。
- ネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル)
- ワレン・バルギル(フランス)
- ジョナス・ラップ(ドイツ)
- スタン・デウルフ(ベルギー)
- ロジャー・アドリア(スペイン)

タイム差は、ほとんどないので泳がされている。

集団から、マッテオ・バディラッティ(スイス)がアタックして先頭に向かう。15秒なのですぐに追いついた。

集団からディエゴ・ウリッシがアタックすると、ヴィクトール・カンペナールツがチェックに入る。

後方ではフィリッポ・ガンナが切れている。

ヴィクトール・カンペナールツは先頭集団を吸収。

ホボの登りで、ヴィクトール・カンペナールツがそのまま引いて逃げを作り出す。
- ディエゴ・ウリッシ(イタリア)
- ネルソン・オリベイラ(スペイン)
- スタン・デウルフ(ベルギー)
- ヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー)

集団からは、マテイ・モホリッチが前で出て追ってきている。まだ、残り78kmもあるけど動きが激しい。

ヴィクトール・カンペナールツの逃げも、マテイ・モホリッチが先頭を引いて吸収されてしまう。また、振り出しだ。

ヴィクトール・カンペナールツとスタン・デウルフが先頭をそのまま引き続ける。

登りでロマン・バルデがアタック。5秒のタイム差をあける。

誰も来てくれないので、いったん集団に戻るようだ。

マテイ・モホリッチがアタックすると、ヴィクトール・カンペナールツがチェックに入る。彼を逃がしてはいけない。

マッティオ・トレンティンがアタックすると、ヴィクトール・カンペナールツにタデイ・ポガチャル、ロマン・バルデが反応する。

ヴィクトール・カンペナールツが逃がさない。

マッティオ・トレンティンの引きから5人が抜け出す。
- マッティオ・トレンティン(イタリア)
- マーク・パデュン(ウクライナ)
- タデイ・ポガチャル(スロベニア)
- ヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー)
- マーカス・ホールガード(ノルウェー)
ラスト5周回

すぐに、24秒のタイム差を作り出すが、これで決まることない。

タデイ・ポガチャルは、この逃げで決めたいだろう。ただ、ベルギーはエースのレムコ・エヴェネプールが乗っていないので、どう動くか。

集団は、ティボー・ピノが先頭で引く。タイム差は34秒に開いている。

集団からブノワ・コヌフロワのアタックを使って、レムコ・エヴェネプールが先頭に追いつく。

タデイ・ポガチャルがペースを上げるが、レムコがしっかりとマーク。

レムコ・エヴェネプールが先頭にでて、これで先頭集団が出来上がりか。

先頭は、レムコのためにヴィクトール・カンペナールツが引く。イタリアは、ソンニ・コルブレッリとマッティオ・トレンティンがいる。
さらに、後方からベルギーのベン・ヘルマンスも上がってくる。
- マッティオ・トレンティン(イタリア)
- ソンニ・コルブレッリ(イタリア)
- マーク・パデュン(ウクライナ)
- ブノワ・コヌフロワ(フランス)
- タデイ・ポガチャル(スロベニア)
- ヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー)
- レムコ・エヴェネプール(ベルギー)
- マーカス・ホールガード(ノルウェー)
- ベン・ヘルマンス(ベルギー)

このメンバーならば決まりそうだ。更に、パヴェル・シヴァコフにマルク・ヒルシも追いついて10人となる。

ベルギーは3人いるので、ベン・ヘルマンスが先頭を引く。後方にレムコ・エヴェネプールが控える。

ヴィクトール・カンペナールツは後方の、ジョアン・アルメイダとロマン・バルデのグループに下がってしまった。何があった?

ヴィクトール・カンペナールツは、バイク交換している。何か、マシントラブルがあったので、先頭から遅れたようだ。

イタリアは、ソンニ・コルブレッリで勝負だ。スプリントとなると、レムコ・エヴェネプールはかなわない。どこかでアタックをかけないといけない。
- マッティオ・トレンティン(イタリア)
- ソンニ・コルブレッリ(イタリア)
- ブノワ・コヌフロワ(フランス)
- タデイ・ポガチャル(スロベニア)
- レムコ・エヴェネプール(ベルギー)
- べン・ヘルマンス(ベルギー)
- マーカス・ホールガード(ノルウェー)
- パヴェル・シヴァコフ(ロシア)
- マルク・ヒルシ(スイス)
ラスト2周

後続には、1分45秒のタイム差をつけており、この中から優勝者が出るのは間違いない。

ベン・ヘルマンスは献身的に、ホボの登りを引いていく。

パヴェル・シヴァコフがアタックをかける。

この動きで、ベン・ヘルマンスはちぎれてしまう。仕事終了だ。

ここで、レムコ・エヴェネプールがアタック!

反応できたのは、二人だけ。
- ソンニ・コルブレッリ(イタリア)
- ブノワ・コヌフロワ(フランス)
- レムコ・エヴェネプール(ベルギー)

レムコは、後ろのブロワ・コヌフロワにかわれと言うけど、首を振る。あまりにも速すぎて先頭交代出来ない。
ソンニ・コルブレッリは余裕でボトルの水を飲んでいる。

タデイ・ポガチャルは、マルク・ヒルシと前を追う。

しばらく、レムコ・エヴェネプールが先頭固定で逃げを確定する。

このままだと、ソンニ・コルブレッリの勝利となる。レムコは、再度登りでアタックをかけないとけいない。それも、何度もだ。
ラスト1周

レムコ先頭でラスト1周に。後方は、ベルギーチームが邪魔をして追わさせないようにしている。

なんと、ここでブロワ・コヌフロワが切れてしまう。

だが、後ろに追いつかれると3位の座もあぶない。必死で走るしかない。

ソンニ・コルブレッリは全く前に出ない。
登りでレムコはペースをあげるが、真後ろにいては流石に切ることが出来ない。

最も、きつい部分でもソンニ・コルブレッリはついているだけ。

もう、ちぎるところはない。あとは下りだけだ。これで最後にチョイ差しは流石にないよね。

ソンニ・コルブレッリは、ラスト4.5kmでようやく先頭交代。もう追いつかれることはない。

残り2.3km。このままだとねえ~。

最後も、レムコが先行している。

ゴール手前でスプリントの態勢にはいる。

カーブで前に出たソンニ・コルブレッリ。

スプリントとなると、レムコは~。

頑張るけど、すでに5mの差が。

ソンニ・コルブレッリがヨーロッパチャンピオンだ。だが、これはちょっと納得いかない。
スプリント力は間違いなく上なのだから、もう少し先頭交代をしたらどうだったのだろうか。これもレースだと言われればそうだけど。
最後も、登りを全て引いたのだから、平地はソンニ・コルブレッリがもっと引くべきだったのではないかな。
レムコはゴール後に突っ伏していた。普通の選手ならば2位でも納得するが、彼の目指すべきところは違う。全てを取ることは出来ないが、かなり調子自体は戻っていると思って良いみたいだ。
リザルト
| Rnk | Rider | Team | UCI | Time |
|---|---|---|---|---|
| 1 |
COLBRELLI Sonny
|
Italy | 250 | 4:19:45 |
| 2 |
EVENEPOEL Remco
|
Belgium | 200 | ,, |
| 3 |
COSNEFROY Benoît
|
France | 150 | 1:30 |
| 4 |
TRENTIN Matteo
|
Italy | 125 | 1:43 |
| 5 |
POGAČAR Tadej
|
Slovenia | 100 | ,, |
| 6 |
HIRSCHI Marc
|
Switzerland | 90 | ,, |
| 7 |
HOELGAARD Markus
|
Norway | 80 | ,, |
| 8 |
HERMANS Ben
|
Belgium | 70 | 1:45 |
| 9 |
SIVAKOV Pavel
|
Russia | 60 | 1:49 |
| 10 |
CAMPENAERTS Victor
|
Belgium | 50 | 5:41 |
| 11 |
DEWULF Stan
|
Belgium | 40 | 5:48 |
| 12 |
BARDET Romain
|
France | 35 | ,, |
| 13 |
MOHORIČ Matej
|
Slovenia | 30 | 5:50 |
| 14 |
ALMEIDA João
|
Portugal | 25 | 6:00 |
| 15 |
ULISSI Diego
|
Italy | 20 | ,, |
| 16 |
GESCHKE Simon
|
Germany | 15 | ,, |
| 17 |
MOLLEMA Bauke
|
Netherlands | 10 | 6:14 |
| 18 |
COSTA Rui
|
Portugal | 5 | 9:13 |
| 19 |
BOUWMAN Koen
|
Netherlands | 5 | ,, |
| 20 |
KUKRLE Michael
|
Czech Republic | 5 | ,, |


コメント
これはちょっと…でしたね、勿論レムコは納得いかないでしょうし、物議を醸すであろう事は間違いない出来事です。
しかし、最近はこういった事が昔に比べて随分増えた気がします、それにあまり大きく取り上げられなくなった気が…
先頭交代を堂々逃れ、長い距離を小集団後方で力を使わない、前待ち等の戦略にも関係していない選手が最後まで力を温存して散々前を引かせた選手を、ゴール前のスプリントで悠々下して得意げに手を上げる、こんな映像を最近はしょっちゅう目にしますよね。
数年前、別府史之選手が「最近は若い選手のプロトンに対する敬意が無くなってきた」的な発言を目にしましたが、ベテランが教えず、若手が教わらず古き良きプロトンの姿も時代と共にかたちを変えてきたのかなぁと、昭和産まれのロートルライダーにしてロートルレースファンは思うのでした。
Akiさん、まさにおっしゃる通り。
レムコは、ゴール後のインタビューでは、コルブレッリは最強だった。この数週間の走りをみたなら、当然の勝者だ。と称えている。
かなり大人の発言になってきてますけど、心の中は煮え繰りかえっているのでは。ただ、タデイ・ポガチャルを引き離すには、単独では難しいで二人を連れていったのは仕方ない。
しかも、ブノワ・コヌフロワはぶっちぎれているので、レムコの強さは戻ってきていると言って良いでしょう。
ソンニ・コルブレッリは強面の面構えなので、流石のレムコも前に出やがれとは、言ってませんでしたね。普段ならは、ジャスチャーまじりで後ろに向かって声をあげるのに。
ただ、引くのを止めると追いつかれるし。仕方がなかったかな。
このレースの最強のライダーは間違いなくレムコですね。