過酷なピレネーの山岳ステージが終わった後、Red Bull – BORA – hansgroheのチーム内には不穏な空気が漂っていた。
前方のステージ先頭ではすでにタデイ・ポガチャルが他を圧倒する独走態勢に入っていたが、後方の3位争いの追走グループは下りで合流して人数が増えたものの、互いに牽制し合って一向にペースは上がらなかった。
第6ステージを終え、総合4位につけるレムコ・エヴェネプールにとって、この小集団での争いで何よりも重要だったのは、ステージ3位に与えられる4秒のボーナスタイムだったのだ。
そのため、最後の1kmをフローリアン・リポウィッツに牽引してくれと頼んだのだが。ここで不協和音が。
両者の間に生じた認識のズレと深まる溝
エヴェネプールはツールマレー峠でチームメイトのリポウィッツ、ポール・セイシャス(Decathlon AG2R La Mondiale Team)、アイザック・デルトロ(UAE Team Emirates – XRG)のグループについていけず、下りでなんとか合流を果たした。
だが、これも計算済み。無理して爆発するよりは下りのテクニックで追いつく計算だったのだ。
追走グループでのLidl – Trekの選手の消極的な姿勢にも苛立ちを見せており、「協力すればヨナス・ヴィンゲゴーに追いつけたかもしれない」と悔やんでいる。
最終的にエヴェネプールは、タデイ・ポガチャルとヨナス・ヴィンゲゴーに次ぐ3位争いのスプリントでアイザック・デルトロに敗れ、ステージ4位でフィニッシュした。
ここで、レムコが頼んだようにフローリアン・リポウィッツに前を引いてリードアウトしてもらっていれば結果は変わったかもしれない。
一方で、非難の的となったフローリアン・リポウィッツは、チームメイトの怒りを知らないままレース直後のインタビューに応じ、
「チームはトップクラスのパフォーマンスをした。ツールマレーでは脚が回らず、レムコが後ろにいたため一緒に走れなかった。今後は3位争いに集中する必要がある。タデイ・ポガチャルには手が出ないし、ヨナス・ヴィンゲゴーも強すぎる。」と振り返り、自身の行動に問題があったという認識は示していない。
こうした状況から、レムコ・エヴェネプールとフローリアン・リポウィッツの共闘は難しいのではないかという見方が強まっている。
思えば第1ステージでも、エヴェネプールは振り返りもせずにリポウィッツを置き去りにする場面があった。
エヴェネプールは自身が絶対的なエースであり、リポウィッツには自身を支えるアシストとしての位置づけを望んでいると考えられる。
しかし、当のリポウィッツにその認識が薄く、足並みが揃わない現状では、今後の厳しいステージでチームが機能するかどうかは極めて不透明だ。
Bad Blood between Remco Evenepoel and Red Bull teammate Florian Lipowitz. Remco asked Florian to pull for a km and he refused. @EvenepoelRemco @RBH_ProCycling @LeTour #TDF2026 @BELCycling @LeCyclismebelge @BELCyclingTeam pic.twitter.com/CgfML28gGk
— Phillip Martindale (@phillipm61) July 9, 2026
リードアウトを求めましたが、得られなかったようですね。現在の率直な気持ちを聞かせてください。
ああ、怒っているし、それは当然のことだ。ボルタ・ア・カタルーニャでは彼のために30kmも先頭を引いたんだ。今回は1kmの牽引を頼んだのに、それができなかった。そのことに腹を立てているし、今夜しっかり話し合わなければならない。
ツールマレー峠での遅れから下りで追いつき、最後はスプリントとなりました。ご自身のパフォーマンスについてはどう評価していますか。
まあまあだったと思う。自分にできることはやった。いずれにせよ、ツールマレーの終盤で無理をするつもりはなかったんだ。まだ長い下りが待っていたからね。
僕の下り坂のスキルがあれば、前を走るアイザック・デルトロ、フローリアン・リポウィッツ、ポール・セイシャスに追いつけると分かっていたんだ。
追走グループでの連携はうまくいっていたのでしょうか。
デルトロやセップ・クスが引かないのは理解できる。でも、Lidl – Trekは2人いたのに、すぐには牽引したがらなかったんだ。失うものは何もないだろうと思ったよ。もし協力していれば、ヨナスに追いつけたかもしれないのに。
しかし、何人かの選手は再び引きずりたがっていた。
ポール・セイシャスの肩に手をかけてましたね。
私たち二人の間に何かあったのかって?いや、彼の言っていることが理解できなかったんだ。彼はまた、なぜ一部の選手があんなにだらだらと走っているのか理解できないとも言っていた。
私は彼に、これはツール・ド・フランスだし、これが最後ではないだろうと言ったんだ。
現在、トップのポガチャルから3分30秒差の総合4位です。今後の展望を教えてください。
まだ多くの可能性が残されているけれど、ヨナスの調子も良い。そのことは忘れてはいけないね。
総合3位以下のタイム差は非常に少ない。表彰台をめぐる争いとなりそうだけど、レムコ・エヴェネプールとフローリアン・リポウィッツの間に生じた不協和音はどうなるのか。
二人のタイム差は30秒。常識ならばエースはレムコ・エヴェネプールだ。



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