フランスの若手スプリンター、ポール・マグニエの勢いが止まらない。
ポール・マグニエは、今シーズン後半に驚異的な覚醒を見せ、勝利を量産している。この劇的な変化の裏には、シーズン途中のトレーナー交代とトレーニング方法の見直しがあった。
ボディビルダーから脱却
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マグニエは2024年にTrinity Racingからウルフパックに移籍。5勝をあげた。
今年は飛躍が期待されていて、シーズン序盤、フランドルクラシックで強豪選手に食らいつこうと試みたが、結果は振るわなかった。
彼の才能を見出したスカウトのヨハン・モリーは、ヘント〜ウェヴェルヘムでの彼の不調を目の当たりにしている。
不調の原因は、誤ったトレーニング方法にあったという。マグニエは持久力よりも強度に重点を置いたトレーニングを積み、結果として「ボディビルダーのようだ」と見紛うほどの筋肉量を身につけていた。
チームメイトのティム・メルリエも、大丈夫か、無理するなと言ったほど。
スプリントのために爆発性を重視した反面、レース終盤まで持ちこたえるための持久力が不足。モリーによると、「彼の脚は、毎回すぐに空になってしまった」とのこと。
その結果、レースでは序盤は問題なくとも、決定的な局面でエネルギーが尽きてしまう状況が続いていた。
トレーナー交代とトレーニング改革
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クラシックレース終了後、マグニエはシーズンを立て直すため、トレーナーを変更するという大きな決断を下している。
新しく彼の指導にあたったのは、元ベルギー自転車競技連盟(Belgian Cycling)のフレデリック・ブロシェ。彼のもとで、マグニエはトレーニングの焦点を修正。爆発性一辺倒だったメニューから、持久力を高める方向にシフトした。
この新しいアプローチにより、マグニエはかつてのシャープでフレッシュな姿を取り戻した。これにより、ヘイストス・ペイルでは、シーズン序盤のボディビルダーではなく、鋭くフレッシュなポールが戻ってきたのだ。
このレースでは、落車しても勝ってしまった。
今シーズン後半の驚異的な勝利量産
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トレーニング改革の成果はすぐに現れた。マグニエは6月に再び勝利を味わい始め、この秋だけで出場した直近15レースのうち、12レースで勝利を収めるという目覚ましい活躍を見せている。
- グランプリ・ド・フルミー
- ツール・ド・スロバキア第1・2・3・4ステージ優勝
- ツール・ド・クロアチア第1・2・3・5ステージ優勝
- ツール・ド・広西第1・2・3ステージ優勝
この勝利量産により、マグニエの今シーズンの勝利数は、勝利王タデイ・ポガチャルにわずか3勝差に迫る「17勝」に達している。
トレーナー交代と肉体改造を経て、マグニエは真の勝利の量産機として覚醒し、世界屈指のスプリンターの仲間入りを果たした。
ただ、後半のステージレースでは一流スプリンターとの対決が少ないことも考慮しないといけない。ツール・ド・広西ではまだ勝利する可能性は残されている。タデイ・ポガチャルに次ぐ2位の勝利数となるのは確実ともいえる。
だが、このままチームのエーススプリンターとなることはないだろう。チーム内にはティム・メルリエがいる。グランツールではすみ分けとなりそうだ。
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