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Shimanoクランク破損の調査報告書 破損の原因は何なのか?

機材情報
Photo credit: Wrench Science on VisualHunt.com
この記事は約5分で読めます。

Shimanoのクランクのリコールが発表されて、日本でも無償点検が来月から始まる。ただ、分かっていないことも多数あり、検査方法の詳細はShimanoからも発表されていない。

 

Shimanoは、2021年にはクランクの問題を調査中だと述べていたが、接着アルミニウム製ホローテックの設計に問題があることを公式に認めることになっている。

問題を調査するために、壊れたクランクの2セットを、グリニッジ大学の機械エンジニアに送り報告書が出されている。

 

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破損の状況

 
 
 
 
 
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破損、折損に至る状況

  1. ドライブ側で剥離
  2. スパイダーアームに亀裂が生じる
  3. アウターシェルがはがれる
  4. クランクアームが外れる

 

これらの兆候としては、

  1. ペダルの位置がずれる
  2. ペダルが曲がっているように感じる
  3. きしむような異音がする

 

何が問題なのか?

 
 
 
 
 
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クランクの製造、設計プロセスはわからないので、根本原因が何なのか正確にはわからない。しかし、起こった原因については考えられる説明がいつくかある

Shimanoの主な製造工場は、高温多湿な地域が多い。

  • 中国
  • マレーシア
  • シンガポール

主な原因は腐食によるもので、温度変化や湿気の多い気候に関連しており、部品を接合する接着剤に影響を与える可能性がある。

別の理論では、クランクセットの癒着の問題が原因である可能性がある。これは接着方法に起因する可能性もある。高温多湿の中で、製造された場合に接着剤の癒着に与える影響もあったのではないかと考えられている。

ただ、中国は多湿というイメージはないが工場の場所の気候まではわからない。

破損したクランクの多くは、熱帯、亜熱帯地域で発生している。温度や湿度によって接着剤の腐食が促進されるのだろうか?

 

専門家の分析

クランクの折損 Image credit: Mark Bingley

 

破損したShimanoクランク2セットが大学に送られ調査された。

  1. クランクアームの折損したもの
  2. クランクアームの曲がったもの

 

調査内容は

  • クランク アームの一部に対してビッカース硬さ試験
  • 一般的な視覚観察を行う
  • 走査型電子顕微鏡 (SEM) を使用して、材料のおおよその組成とグレードを決定

 

初期の調査では、クランクセットの故障における重要な初期段階には、クランクアームの長方形の管部分を形成する内側と外側の U字型チャネルの部分的な分離が含まれることが示されている。

 

破損クランクの断面 Image credit: Mark Bingley

 

この断面図から明らかなように、クランクアームの曲がりにより、コンポーネント チャネルに多少の歪み (ねじれ) が生じた。

最終的な破損では、破断経路は接着剤と金属基板の間の界面をたどっており、接着剤が外側のチャネルの内面にのみ付着したままであることが発見されている。

これは、接着剤が金属に完全に結合または付着していないことを示している。

金属基板の腐食により接着結合が弱まる可能性があるが、興味深いことに、検査した部品の分離領域には腐食の証拠は見つからなかった。

十分に接着されていれば、最大224kgの荷重に耐えられる十分な強度を備えている。ただ、部品間で剥離が発生した場合には、クランクアームは大幅に弱くなる。

43kgで、クランクセットの上部/内部チャンネルの曲げ破損を起こすのに十分だった可能性がある。

一般のユーザーはクランクが壊れるなんて想像していない。何千キロ、何万キロも走行する。少しずつ振動や、ショックで剥離が進んだことも考えられる。

 

クランクの破損 Image credit: Mark Bingley

 

外側の変形していないチャネルには、破損して内側のチャネルから分離された後も黒い接着剤のストリップが残っている。

しかし、2つのU字型チャネル間の剥離がどのようにして始まるかについては、まだ結論が出ていない。

可能性として考慮されるのは

  • 製造プロセス
  • 環境劣化
  • 疲労に起因する欠陥

どちらに問題があるにせよ、2つのチャネルのこのような部分的な剥離は、最終的に重大な障害につながる可能性がある顕著な弱点となる。

実際、4,000件以上の破損報告が上がっている。ケガをした人も多数いるだろう。

研究で指摘された問題に対する提案された解決策は、故障がどのくらいの頻度で発生するかによって決まると結論付けている。

まれに、これはメーカーによって許容されるとみなされる場合がある。頻繁に問題が発生する場合は、製品のリコールと再設計が必要になる。幸いなことに、Shimanoは現在、行動を起こしている。

検査の詳細については、Shimanoからの発表はまだない。こまるのは代理店やショップとなりそうだ。

 

報告書の全文は以下で参照可能。

コメント

  1. YATS より:

    技術的検討とユーザーの安全性のどちらを優先しているのか?。走行中壊れたら転倒、他者、他車との事故確率が高い。爆弾背負わせたまま、壊れる迄修理しない何て企業倫理をリコールする必要有ります。次のコンポはシマノ除きます。

    • ちゃん より:

      たしかに2018年くらいから、破損の報告は多数上がっており把握はしていたはずです。2019以降の製品は対策がなされているので剥離することもないのでしょう。
      検査しても、破損、剥離の可能性は残るクランクの形なので、危険かもしれません。

  2. tetu より:

    選択の自由はあるけど趣味で使用する場合レースに特化した機材を敢えて使用するのは安全と思えない。105のクランクに問題が無い事実を踏まえると特にそう感じる。カーボンフレームもカーボンホイールも同様に安全性を求めるなら考えものだと思う。

    • ちゃん より:

      構造に問題があるのがわかった時点で、すぐに対策するべきだった。ほんと1秒を争わないといけないレーサーではないので安全が第一ですね。

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