アワーレコード保持者のヴィクトール・カンペナールツがロックダウン中からハイテントの生活をしているのは以前の記事にも書いていた。
この時には、徐々に慣らして4,700mの高さのハイテントで寝ていたそうだが、今では10,000mの高さに設定して酸素トレーニングをしているようだ。
低酸素トレーニングの順応
photo Victor Campenaerts
低酸素トレーニングには段階がある。ほとんどのライダーは1850mの高さから初めて、3000mまで構築する。
ヴィクトール・カンペナールツはすでに4700mという高さで寝ることで、酸素欠乏を新たなレベルに引き上げており、FTPの値は凄いことになっている。
それが今では、10000mの高さに1時間いる低酸素トレーニングをしているようだ。
比較のために、エベレストの山頂は8,848メートルで、8,000メートル以上の高度は登山家に「死のゾーン」と呼ばれている。
酸素マスクをつけて登頂するのは皆さんも知っているでしょう。
「毎日午後になるとマスクを1時間つけていると、酸素の供給量が減ってしまう。」
と、カンペナールツは言う。
このコンセプトは『断続的低酸素トレーニング』と呼ばれ、科学的な研究が行われているが、通常の人間では1分も出来ないレベルだ。まあ、する人はいないだろうけど。
「酸素濃度が極端に低くなることで、体は余分な赤血球を生産するための極端なインセンティブを得ることができる。多くのアスリートがこれを行っているとは思えない。
これは実験だ。 パイオニアになろうとしている。今は時間があるので、試してみたいと思っている。」
photo Victor Campenaerts instagram
カンペナールツは、4,700メートルで寝ているときは週に8時間しか走れず、体には過酷な条件だったという。
一方で、その2倍の高度では、最も単純な作業でさえ不可能に近い状態になっている。
「酸素の供給量が減っている。ベッドの上で横になっているだけで、それ以上のことはできない。それはかなり退屈で、携帯電話をいじり始めたが、集中できない。
私が入力した言葉にはすべてスペルミスがある。それは非常に不愉快で、いつも終わるまでのカウントダウンのようなものだ。」
結構、危ない状態ですね。これで効果がなかったら～。
photo Victor Campenaerts
高所用テントの使用はWADAによって許可されているが、過去には2006年に禁止を検討したこともあり、懸念を呼んでいた。
WADAの倫理委員会は「おそらくスポーツの精神に反する」と判断したが、何の措置も取られなかった。
昨年、カンペナエルツは世界時間記録獲得に向けてナミビアの高地で数ヶ月を過ごしたが、彼がアフリカの国で経験した1800メートルの高度は、最近の彼の人工的な努力とは比べ物にならない。
「願わくば、これでまた少し良くなってくれるといいのだが。結果は非常に良い。私はすべてのワット数の記録を更新したが、それは異なるライダーから聞いているので、異常ではない。
これほど構造化された方法でトレーニングができる期間は、これまでになかった。これは報われなればならない。」
とカンペナールツは高所用テントとマスクについて語った
20分のFTPでの効果は圧倒的だったというから、相当手ごたえはあるのだろう。
現在、在庫切れだが低酸素トレーニング用のテントはアマゾンでも売っている。
ビクトール・カンペナールツのレーススケジュール
photo Victor Campenaerts instagram
カンペナールツは、シーズンが再開する10月のジロ・デ・イタリアを目標にしている。ここでのタイムトライヤルが焦点だ。
- 8.02 Circuito de Getxo-Memorial Hermanos Otxoa
- 8.06 Czech Tour
- 8.29 Tour de France
- 9.07 Tirreno-Adriatico
- 10.03 Giro d’Italia
彼は8月にチェコツアー、ベルギー国内選手権、ヨーロッパ選手権に出場する。
世界選手権個人タイムトライヤルには、ベルギー代表にならないと出場は出来ない。
残り一人の枠に入るには、ワウト・ファンアールト、イヴ・ランパールト、トーマス・デヘントなど強力なライバルとの戦いに勝利しなければならない。
この10000mでの低酸素トレーニングが、その戦いにおいて大きな武器となることをカンペナールツは願っている。
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