毎年7月、ひまわり畑と青空の下をプロライダーが駆け抜ける光景は、ツール・ド・フランスにおける夏の風物詩だ。
しかし、そんな世界最大の自転車レースの当たり前の光景が、近い将来に大きな転換期を迎えるかもしれない。
科学者は「ツール・ド・フランスの50年を通して見るヨーロッパの夏季屋外スポーツの未来」という論文を発表した。
これによると、近年の深刻な気候変動と記録的な猛暑を受け、科学者たちから「午後のレース開催は危険すぎる」という警告が発せられた。
選手もだけど、ファンや観客は何時間も前から山に登り待っている。ステージの「午前開催」という抜本的なスケジュール変更の可能性について、最新の学術論文からロードレース界の危機が見えてきた。
屋外スポーツの限界か
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暑さでレースが短縮というのは、これまでもある。つい先日の2026 サントス・ツアー・ダウンアンダー第4ステージは、猛暑でウィランガヒルがなくなった。
スタートも速くなったのだ。
このようなことが、これからツール・ド・フランス、ブエルタ・ア・エスパーニャでおこるのは誰にでも想像できる。
バルセロナ・グローバル・ヘルス研究所の研究チームは、過去半世紀にわたるツール・ド・フランスのデータを分析し、気候変動がヨーロッパの夏のスポーツイベントに与える影響についての論文を学術誌『Scientific Reports』で発表した。
論文内では「記録的な猛暑が頻発する中、現在の猛暑対策プロトコルが限界を迎えるような危険な暑さにレースが直面するのは、もはや時間の問題である」と強い警告がなされている。
研究によると、これまでのツール・ド・フランスは「歴史的な猛暑日」との直接的な衝突を運良く回避してきたと。
例えば、2014年以降、パリでは熱ストレスの危険基準値(WBGT:暑さ指数)を4回超えているが、これらがツールのパリ到着日と重なることはなかった。
しかし、トゥールーズ、ポー、ボルドー、ニーム、ペルピニャンといった定番の通過地域では、危険なレベルの猛暑がますます一般化しており、今後はパリやリヨンでも基準値を超える頻度が増加するとみられている。
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選手からも暑さにまいる声はこれまでも出ていた。2019年でもサガンが暑いからなんとかしろと。
2024 ツール・ド・フランス第1ステージも40℃近くで熱中症が多発。これにはランスアームストロングも一言いうほど。
ロードレースでは、テレビ放送の視聴率が稼げる夕方にフィニッシュさせるという商業的な大前提がある。だけど、選手と観客の命を守るため、「午前スタート」というこれまでの常識を覆すような議論が、今後さらに本格化していくかもしれない。







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