世界選手権個人タイムトライヤルで英国代表のイーサン・ヘイターがチェーン落ちをしたことで本人は、ゴール後のインタビューでシマノのシフターを批判していた。
だが、これはどうやら的外れな発言だったかもしれない。実は、イーサン・ヘイターが使っていたチェーンリンクの使い方に問題があったのではという事実が浮上している。
これは、タイムトライヤルの途中にあったマウント オースリー(700m・6.7%)の登りが関係している可能性が高い。この最大勾配8%の登りでは流石にインナーにギアを落としていたはず。
問題はここからだ。
AeroCoach ARC Dual TT カーボン チェーンリング
🌈 2021 8th
🌈 2022 4thA superb, resilient TT from @ethan_hayter marks another season of progression for the British TT champion at #Wollogong2022 🇬🇧👊⏱️ pic.twitter.com/z1KUerCDow
— INEOS Grenadiers (@INEOSGrenadiers) September 18, 2022
イーサン・ヘイターは、英国のオリンピック代表でメダリストでもある。トラック選手として限界利益に精を出すのは当然のこと。
イーサン・ヘイターは、Shimano Di2を使っているが実はチェーンリングはシマノではない。ヘイターが使っていたのは、AeroCoach ARC DUAL TT carbon chainringsだ。
このリングの売りは、
- 低摩擦のためのフルカーボン
- 立体的なエアロデザイン
- 微妙な非円形
- 空気力学的利点
- ドライブトレインの効率を向上させる大型サイズ
- 生体力学的に最適化
- 超硬め
- 4 本のリフティング ピンとカスタム ランプを使用したスムーズなシフティング
- 外輪厚を強化した耐摩耗性
上記の利点に合わせて、実は楕円リンクになっていることだ。写真では分かりにくいのだけど僅かに楕円となっている。
これにより3~5ワット軽減できる。これがイーサン・ヘイターが好んで使っていた理由だ。
ここで、イーサン・ヘイターの実際の走りに戻ってみると、登りではインナーにシフトしていたはず。
動画では、チェーンを移動しようとするが、チェーンが大きなリングに持ち上げられず、ディレイラーを使用してシフトをリセットしようとしているのを見ることができる。
しかし、チェーンはすでに行き過ぎて外れている。
Shimano Di2のシフト量は変わることはない。経験豊富なIneosメカニックによって管理されていたため、調整が間違っていた可能性はほとんどない。
小さなチェーンリングと大きなチェーンリングの間で問題が発生した場合、K-Edge チェーンガイドはサポートを提供できない。
使い方を間違うといけないことはAeroCoachのWebサイトにも書かれている。
ARC DUAL チェーンリングは、外側のリングに 4 つのリフティング ピンがあり、スムーズで簡単なシフトが可能です。すべてのチェーンリング タイプと同様に、重い負荷がかかった状態でフロントリングをシフトすることはお勧めできません。シフト性能に影響します。
内輪でのクロス チェーン (内輪でカセットの後ろに小さなスプロケットを使用) は、チェーンに悪影響を及ぼし、効率が悪く、パフォーマンスが低下します。
ARC DUAL インナー リングをカセットの4つの最小スプロケットと組み合わせて使用することはお勧めしません。
当時の映像は、ヘイターがカセットの小さなスプロケットで非常に速いケイデンスで回転させていることを示している。
フロントはインナー、リアはトップギアと最悪のチェーンラインで使用していた訳だ。ただ、どの時点からフロントがアウターに入らなくなったのかは分からない。
チェーンが外れたのは、フニッシュラインの少し手前で通常ならばフロントギアで走っていないといけない場面だ。
ただ、一概にシマノのシフターが悪いとは言えないのではないかな。
シマノにしてみれば、INEOS Grenadiersには58Tの特別なチェーンリングを提供しているのだから、普通にうちの製品を使ってよという感じだろう。
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