2024 グランプリ・ド・ドナン　石畳でドミノ倒し

フランスのセミクラシック、グランプリ・ド・ドナン。正式にはGrand Prix de Denain – Porte du Hainaut(1.Pro)

2019年には、ノケレ・コールスで落車して救急車で運ばれたマチュー・ファンデルプールが、数日後にグランプリ・ド・ドナンで勝利している。

 

過去の優勝者は

 

ドナン～ドナン　196.2km

 

ヴァランシエンヌ区にある小さな工業都市、ドナンの周囲を巡る。スヘルデ川の西側を経由して周回コースに入る。

 

 

小さな工業都市ドナンの周りの4つの周回コースを通り抜けるコース。

特徴は何と言っても、後半100kmから始まる石畳のセクター。全部で12のセクターがあり、長いものは3,700mにもなる。

最後の石畳からゴールまでは、13kmあり集団の再編成は可能。石畳を生き残ったスプリンターの戦いとなる。

 

1. Sector 12 Avesnes-les-Aubert à Carnières (2300m)
   
2. Sector 11  Quievy à Saint-Python (3700m)
   
3. Sector 10 Saint-Python (1600m)
   
4. Sector 9 Haussy (900m)
   
5. Sector 8 Vertain à Saint-Martin-sur-Écaillon (2300m)
   
6. Sector 7 Escarmain à Pont à Pierres (1500m)
   
7. Sector 6 Capelle à Ruesnes (1600m)
   
8. Sector 5 Verchain-Maugré à Quérénaing (1600m)
   
9. Sector 4 Quérénaing a Maing (2500m)
   
10. Sector 3 Maing à Monchaux-sur-Écaillon (1600m)
    
11. Sector 2 Thiant à Haspres (1700m)
    
12. Sector 1 Avesnes-le-Sec (1800m)
    

 

注目されるライダーは

• UAE Team Emirates　ティム・ウェレンス、フアン・モラノ、ニルス・ポリッツ、アントニオ・モルガド、イヴォ・オリベイラ
• Soudal Quick-Step　イヴ・ランパールト、ヨルディ・ワルロップ
• Team Jayco AlUla　マキシミリアン・ヴァルシャイド
• Alpecin – Deceuninck　ティモ・キーリッヒ、オスカル・リースベーク、スタン・ファントリヒト
• Arkéa – B&B Hotels　ルーカ・モッツァート、ダニエル・マクレー
• Cofidis　ピート・アレハールト
• Decathlon AG2R La Mondiale Team　サム・ベネット
• Groupama – FDJ　シュテファン・キュング、マルク・サロー
• Intermarché – Wanty　アルネ・マリット、ローレンツ・レックス
• Lotto Dstny　アルノー・デリー、ミラン・メンテン、アレック・セガート
• Q36.5 Pro Cycling Team　マッティオ・モスケッティ
• TotalEnergies　アントニー・テュルジス、ジェフレ・スープ

 

UAE Team Emiratesのティム・ウェレンスは、ミラノ～サンレモに向けて休養。代わりはアルバロホセ・ホッジ。

 

スタート

快晴の中ニュートラルスタート。

 

これが雨だったらレースどころではない。

 

5人の逃げ

残り172kmから4人のアタックに、ヤニック・シュタイムレがジョインして5人の逃げに。

1. ヤニック・シュタイムレ　Q36.5 Pro Cycling Team
2.  セリエル・デサル(Bingoal WB)
3.  ジェームズ・フーシェ (Euskaltel – Euskadi)
4.  HENNEQUIN Paul (Nice Métropole Côte d’Azur)
5.  JARNET Maxime (Van Rysel – Roubaix)

 

Sector 11  Quievy à Saint-Python (3700m)

先頭はセクター11に。タイム差は5分10秒。

 

ヤニック・シュタイムレはSoudal – Quick StepからQ36.5 Pro Cycling Teamへの移籍をしている。

 

Groupama – FDJのシュテファン・キュングが追走をかけている。集団からの抜け出しだ。

 

シュテファン・キュングは、カメラに向かって何か言っている。

 

先頭から一人切れてしまう。

 

Sector 10 Saint-Python (1600m)

シュテファン・キュングは、セクター10に。先頭まで5分10秒もある。

 

石畳の上に、泥まである。

 

Sector 9 Haussy (900m)

先頭は4人。

1. ヤニック・シュタイムレ　Q36.5 Pro Cycling Team
2.  セリエル・デサル(Bingoal WB)
3.  ジェームズ・フーシェ (Euskaltel – Euskadi)
4.  JARNET Maxime (Van Rysel – Roubaix)

 

TTスペシャリストのシュテファン・キュングは、残り65kmで4分32秒とせまる。

 

先頭は3人に。

1. ヤニック・シュタイムレ　Q36.5 Pro Cycling Team
2.  セリエル・デサル(Bingoal WB)
3.  JARNET Maxime (Van Rysel – Roubaix)

 

集団で落車。Alpecin-Deceuninckのティモ・キーリッヒは道路下に落ちている。

•  ピート・アレハールト (Cofidis)
•  MORIN Emmanuel (Van Rysel – Roubaix)
•  アルノー・デリー (Lotto Dstny)
•  ティモ・キーリッヒ(Alpecin – Deceuninck)

 

残り60.2kmでシュテファン・キュングは、3分23秒差に。

 

Sector 8 Vertain à Saint-Martin-sur-Écaillon (2300m)

先頭はセクター8に。シュテファン・キュングとの差は縮まり続けている。

 

集団は割れていたけれど、また一つに。

 

先頭は名前のないグラベルにはいる。

 

集団先頭は、TotalEnergies。

 

なんと、TotalEnergiesのジェフレ・スープが落車。全く動かない。いたるところで落車がおこる。

 

残り52.2kmで集団まで4分38秒もある。

 

Sector 7 Escarmain à Pont à Pierres (1500m)

先頭はセクター7に。

 

シュテファン・キュングは、タイム差があまり変わらない。

 

シュテファン・キュングは、先頭から千切れたライダーを抜いていく。

 

集団もセクター7に。

 

集団から、Lotto Dstnyのアルノー・デリーが抜け出しをはかっている。

 

シュテファン・キュングは、先頭から千切れたEuskaltel – Euskadiのジェームズ・フーシェに追い付く。

 

集団最後尾は、Alpecin-Deceuninckのラース・ボーヴェン。シクロクロスも走るライダーだ。

 

Sector 6 Capelle à Ruesnes (1600m)

残り45km。タイム差はほぼ変わっていない。

 

吹っ飛ぶように落車。Intermarché – Wantyの誰だろう。

 

シュテファン・キュングは、追走に追い付かれそうだ。

 

結局、シュテファン・キュングは追いつかれた。

 

追いついたメンバーには、Lotto Dstnyのアルノー・デリーも乗っている。

 

こちらは第3集団。UAE Team Emiratesが回せと手を出している。

 

Soudal – Quick Stepのイヴ・ランパールトは、第3集団の最後尾。追いつかないかも。Soudal – Quick Stepは、追走にも誰も乗っていない。ウルフパックはどうした?

 

追走には、UAE Team Emiratesのフアン・モラノ。Groupama – FDJのルイス・アスキーなどが乗っている。

 

Sector 5 Verchain-Maugré à Quérénaing (1600m)

先頭は第5セクターに。

 

追走からUAE Team Emiratesのフィリッポ・バロンチーニがアタック!

 

フィリッポ・バロンチーニはあっという間にリードを広げる。

 

Sector 4 Quérénaing a Maing (2500m)

先頭は第4セクターに。

 

2人が落車。

•  TABELLION Valentin (Van Rysel – Roubaix)
•  ミラン・フレティン(Cofidis)

 

残り27.6km。フィリッポ・バロンチーニは、2分17秒差。

 

Sector 3 Maing à Monchaux-sur-Écaillon (1600m)

先頭は残り3か所のセクターとなる。

 

先頭のヤニック・シュタイムレは、ボトルが取れず。

 

追走からは、UAE Team Emiratesのフィリッポ・バロンチーニが見える位置にいる。Lotto Dstnyのアレック・セガードがアルノー・デリーのために引いている。

 

ヤニック・シュタイムレが入ってる先頭は強力だ。タイム差が中々縮まらない。

 

追走は8人。

 

結局、フィリッポ・バロンチーニは追走に捕まってしまう。

 

Sector 2 Thiant à Haspres (1700m)

残りが少ない。

 

UAE Team Emiratesは、追いつけばフアン・モラノで勝負だ。

 

残り15.6km。Lotto Dstnyのアレック・セガートが引く。Cofidisも二人いるのだけど、手を貸さない。

 

まずは、追いつくために全員で回し始めた。残り13.5kmで1分4秒差。

 

Sector 1 Avesnes-le-Sec (1800m)

先頭は最後のセクターに。残りが少なくなると、ヤニック・シュタイムレがアタックをかけそうだ。

 

あっと、石畳に入った瞬間に、先頭のシュテファン・キュングが落車。横倒しだ。

 

もうドミノ倒しだ。全員落車。

•  MOLANO Juan Sebastián (UAE Team Emirates)
•  BARONCINI Filippo (UAE Team Emirates)
•  KÜNG Stefan (Groupama – FDJ)
•  PAGE Hugo (Intermarché – Wanty)
•  DE LIE Arnaud (Lotto Dstny)
•  ALLEGAERT Piet (Cofidis)
•  DE GENDT Aimé (Cofidis)
•  VAN GESTEL Dries (TotalEnergies)

 

いち早く立ち上がったのは、アレック・セガートだ。

 

Lotto Dstnyのアレック・セガートがなんとか走り出す。

 

追走は二人に。

1. アレック・セガート　Lotto Dstny
2. ユーゴ・パージ　Intermarché – Wanty

先頭は二人に。

1. ヤニック・シュタイムレ　Q36.5 Pro Cycling Team
2.  セリエル・デサル(Bingoal WB)

 

残り10.7kmで1分7秒と広がる。もう、二人で決まりだろう。

 

追走二人は足を止めている。

 

アルノー・デリーが追いついた。ただ、もう先頭には届かない。

 

追走4人は泥だらけ。

 

残り4.1kmとなる。あとは、最後に二人のスプリントだ。

 

残り1.9km。牽制はまだだ。

 

残り1.3kmから牽制に。十分時間はある。

 

残り500mでも牽制。

 

残り250mからヤニック・シュタイムレがスプリント開始!

 

あっという間にリードを広げる。

 

後ろは、まったく問題ない。

 

ヤニック・シュタイムレがゴール手前から勝利を確信。

 

見事に、移籍後の初勝利を飾ってみせた。

 

最後は、本当に運が味方してくれた。まさか8人がドミノ倒しとなるとは～。

 

ヤニック・シュタイムレは、2021年に、ノケレ・コールスで落車。肩鎖間接離開で手術。更に肋骨骨折、軽度の気胸、脳震盪の症状もある深刻な状態だった。

 

その後、2021ツール・ド・スロバキア第2ステージで勝利。今回の勝利はキャリア7勝目だ。今回の勝利でチームに貢献することができている。

 

リザルト

ヤニック・シュタイムレのコメント

とてもいいメンバーで出られた。うまく協力できた。決勝では、濡れた石畳のセクションでバイクにとどまることが特に重要だった。でも、もちろんとてもハッピーだよ。

序盤の逃げ集団に加わる予定だったのですか?

でも、突然そこにいた。でも、気分は良かったし、逃げ切るチャンスは十分にあると自分に言い聞かせていた。チームは1日中僕の後ろにいて、フィニッシュまで僕を後押ししてくれた。

ここ数週間、調子があまり良くなかったときは、ガールフレンドや家族でさえも励ましてくれた。今日はそれが報われた。初優勝できてとてもうれしい。

それまでの4シーズン、Soudal – Quick Stepに所属していたが、この冬、Q36.5に移籍しましたね。

そこではどちらかというと助っ人だった。初勝利を挙げるのに3ヶ月かかった。とてもハッピーだし、モチベーションを高めてビッグクラシックに臨むよ。

 

4位のアルノー・デリーのコメント

今年も危険なレースだった。幸いなことに、私は自分自身を傷つけなかった。4位という結果に満足している。

ル・サミンで転倒し、パリ〜ニースで苦しみ、3ステージでリタイアしましたが、今回の走りは後押しとなりましたか?

まだ100%回復したわけではないけど、難しいパリ〜ニースの後のフィーリングには満足している。次の目標に向けてモチベーションが上がる。パリ〜ニースの後は、休んで、休んで、休むだけだった。それが鍵だ。