2021年シーズンもレースのキャンセルが相次いだが、なんとかいくつかのレースは開催されている。
ステージレースにクラシックも始まりプロのライダーはスポンサーブランドの新しいパーツなどについてプロトタイプをテストしている。
残念ながらDura-Aceの新バージョンは見られていないけど。ここまでに見られた技術についてみてみよう。
Deceuninck – Quick Stepは石畳でもクリンチャー
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2020ツール・ド・フランスでの使用に続き、Deceuninck – Quick-Stepのすべてのライダーは、Roval Rapide CLXとAlpinist CLXカーボンクリンチャーホイールに、Specialized TurboCottonクリンチャータイヤまたはS-WorksTurboRapidAirタイヤを使用している。
これらの2つのホイールセットはチューブレス対応ではない。
ただ、クリンチャーの欠点の1つは、チューブラーに比べてパンクしやすいこと。これは、石畳や悪路を処理するためにタイヤ空気圧を低圧にすると更にリスクが高くなる。
スペシャライズドのテストでは、最速の「現実世界」のホイールの組み合わせがRoval RapideCLXホイールセットとTurboCottonクリンチャータイヤであることが示されているため、Deceuninck – Quick-Stepライダーは転がり抵抗の増加を求めてそのリスクを受け入れている。
まあ、スポンサーですから宣伝のためも使わないとね~。
チームがフランダースツアーやパリ〜ルーベなどの最も重要な石畳のクラシックでもクリンチャーに固執するかどうかを確認するのは興味深い。
近くにサポートカーがいれば問題ないけれども、ホイール交換に時間がかかると集団復帰は出来なくなる。
ころがり抵抗や、他の組み合わせの比較については以下を参考までに。
Aerocoachは、今年多くのチームと協力
英国を拠点とするエアロパフォーマンスの専門家であるAerocoachの製品を、今シーズンかなりの数のWorldTourチームが使用している。
UAEツアーでは、第2ステージのタイムトライアルで、4つ以上のワールドツアーチームのバイクにエアロバーとホイールが見られた。
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Team IneosGrenadiersのフィリッポ・ガンナは、Pinarello BolideタイムトライアルバイクでAerocoachカスタムエアロバーエクステンションを使用している。
ガンナは2019年の個人追跡世界記録の時にもエアロバーを使用。
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ガンナ以外では、Israel Start-Up Nationの元アワーレコード保持者、アレックス・ダウセットがFactorSlickタイムトライアルバイクでAerocoachアームレストとエクステンションを使用。
TeamJumbo-Vismaのヨナス・ヴィンゲゴー(JonasVingegaard)は、AerocoachTitanのフロントホイールを使用。
リアディスクにはShimanoのロゴが付いているが、実際にはAerocoachホイールである可能性が高い。
Aerocoachが製造するホイールとパーツは、ライダーの空力効率の向上に重点を置いている。また、タイヤの転がり抵抗テストやエアロバイクのフィットなどのコンサルティングサービスも提供している。
現在は、Team Qhubeka ASSOSが公式パートナーとなっている。他のチームはAerocoachのパーツとホイールを使用するために購入していると推測される。それほど良い製品だということだ。
イネオスはUCIスキンスーツルールを回避
一部のTeamIneos Grenadiersのライダーは、腕にエアロトリップストリップが付いたベースレイヤーを使用して、スキンスーツの表面の変更に関するUCIの規則を回避していると考えられる。
上は、フィリッポ・ガンナだが腕に統合されたエアロトリップストリップのように見えるベースレイヤーを使用している。
2018ツール・ド・フランスで、チームスカイがカステリのボディペイント4.0スキンスーツでタイムトライヤルを支配したあと、その後UCIはそれを禁止にした。
UCIは、2019年に空力学的に有利になるような加工をしてはならないというルールを作成してしまう。
スキンスーツに1mm以上の突起であるボルテックスジェネレーターを作ってはいけないことになった。
物体表面に突起を配置することで、その後ろ側に意図的に乱流(=渦流)を発生させ、空気抵抗を小さくするための装置のこと。飛行機の翼やレーシングカー・新幹線などにも装備されている機能。
渦流生成器(かりゅうせいせいき)とも呼ばれている。
下の写真では、袖の部分の突起物のこと。
イネオスは、エアロトリップストリップが付いたベースレイヤーを使用したことで、ライダーの空力抵抗を大幅に減少させたとされている。
アイデアは、適切なポイントで層流から乱流への気流をトリップし、腕または体の部分の周りに乱気流の境界層を作成することにある。
今の所、ベースレイヤーでのトリップストリップを禁止するUCI規則はまだない。これは完全に合法だ。まあ、こんなところまで規制することはないとは思うけど。
Team Cambodia Cycling Academyの使う不思議なホイール
チームカンボジアサイクリングアカデミーは、イタリアのブランドFluxosの珍しいカーボンホイールを使用している。
カンボジアサイクリングアカデミーのヨハン・ルボン(LE BON Johan)は、2021年のエトワール・ド・ベッセージュのタイムトライアルで、Fluxosによって製造されたいくつかの急進的な5本スポークカーボンホイールを使用している。
良く見ると、彼のクランクはDura-Ace9000だ。
カンボジアサイクリングアカデミーと言えば、ダビデ・レベリンが2021年契約しようとしていたチーム。結局はWork Service Marchiol Vegaで走っているけど。
さらに、サミー・オーリニャック(チームの他のライダー)も、2021年のエトワール・ド・ベッセージュのロードステージで、かなり奇妙な外観のFluxosホイールを使用している。
ただ、Fluxosのホイール開発は2018年から止まっている。製品も全く販売されていないので謎のブランドだ。かなり変わった形のホイールだが、今後世の中に出てくるのかは不明。
まあ、ブランドのテスト開発に参加するのは魅力的なことではあるけれど。
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