ベルナール・イノーはツール・ド・フランス5勝、ジロ・デ・イタリア3勝、ブエルタ・ア・エスパーニャ2勝、1980世界選手権王者など数々のタイトルを獲得したロード界の英雄。
上の写真の右の人物だ。ベルナール・イノーは、平地でも手を抜かない走りで、スプリント、山岳、タイムトライヤルと全てにおいて強い選手だった。
ツール・ド・フランス史上、山岳ステージ、タイムトライヤル、スプリントを同一年で勝利したのは1979年のベルナール・イノーただ一人。
そのマルチタスクのハットトリックをワウト・ファンアールトもやってのけた。これは歴史に残る素晴らしい成績だ。
たった一人のトレイン
🇫🇷#TDF2021
Hop on the Mike express 🚂
Destination Champ(ion)s-Élysées 🏆 pic.twitter.com/Z8FpS8irAS— Team Jumbo-Visma cycling (@JumboVismaRoad) July 18, 2021
Team Jumbo-Vismaは最後のパリのステージでは4人しかいない状態。
- ワウト・ファンアールト
- ヨナス・ヴィンゲゴー
- マイク・テウニッセン
- セップ・クス
トレインに割けるメンツはマイク・テウニッセンしかいない。
スプリント動画では、マーク・カヴェンデッシュばかり写して全体の様子がわかりにくい。だが、ラスト1kmでDeceuninck-Quick-Stepは、カスパー・アスグリーン、ダヴィデ・バッレリーニ、ミケル・モルコフが残っていた。
コーナーを曲がった時点で、カスパー・アスグリーンが先頭。ダヴィデ・バッレリーニも近くにいたが、ミケル・モルコフは何故か、マーク・カヴェンデッシュの後ろだった。
Deceuninck-Quick-Stepの二人の後ろをゲットしたのがマイク・テウニッセンだ。
トレインを上手く利用して、マイク・テウニッセンは渾身のリードアウトを見せる。ミケル・モルコフと離れたマーク・カヴェンデッシュ。
ワウト・ファンアールトの左からずっと抜くことを考えていれば、マーク・カヴェンデッシュはもう少しゴールが近かっただろう。一度、足を止めて右から抜こうと進路を変えている。
スプリントは、チームメイトのトレインがあったほうが絶対に有利だ。うまく並びにはいったTeam Jumbo-Vismaは、絶好のポジションだった。
スプリントは位置取りが大切。最後のパリの舞台は全てのスプリンターが狙っており、何キロも前から、ずっとレースを支配するには道幅なども関係してくる。
今回はTeam Jumbo-Vismaに勝利の女神が微笑んだということだ。
マルチタスクな才能
— Team Jumbo-Visma cycling (@JumboVismaRoad) July 18, 2021
第10ステージでは、スプリントでマーク・カヴェンデッシュに完敗した。だが、翌日のモン・ヴァントゥでは最も厳しいと思われる山岳の一つのステージを単独で越えてしまう。
更に、2回目のタイムライヤルでは圧勝。続いてスプリントでも勝利してしまうのだから凄すぎる。
全ての種目で一流を言われるライダーを凌駕している。こんな選手は今のプロの中ではいない。完成されたライダーと言ってよい。
ツールの前には、盲腸の手術によりコンデションは本調子とは程遠かった。第2週から調子を戻してきた感じだ。
この後、ワウト・ファンアールトは東京でロードとTTの二つのタイトルに挑むことになる。日本の蒸し暑さに対応する時間があるのかわからないが、4年に1度のタイトルだから特別なものだ。
昨年の世界選手権はロード・TT共に2位だった。今回のオリンピックでは、TTはフィリッポ・ガンナ、レムコ、そしてプリモッシュ・ログリッチもライバルとなる。ロードは誰が勝つか全くわからない。
ワウト・ファンアールトには疲れを見せず、是非、ベストな走りを見せて貰いたい。
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