Team Picnic PostNLのファビオ・ヤコブセンは8月3日付でチームを退団。
このたび8月14日に噂通りTeam Visma | Lease a Bikeに加入した。しかし今回の移籍は、単純に過去に実績のあるスプリンターを獲得したという話ではない。
その背景には、ヤコブセンを以前から身近な場所で見続けてきたVismaのパフォーマンス責任者、マチュー・ヘイボーア(Mathieu Heijboer)の存在があった。
2027年末までの1年契約
Welcome Fabio! 🐝
Fabio Jakobsen has joined our team with immediate effect. ‘My goal is to get back to the level where I can compete at the highest level again and sprint for victories.’ 💪
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— Team Visma | Lease a Bike (@vismaleaseabike) August 14, 2026
なぜ今のファビオ・ヤコブセンを、Team Visma | Lease a Bikeが獲得したのか?
ここ数年の成績だけを見ると、意外に思えるからだ。
ヤコブセンのキャリアを大きく変えたのは、2020年のツール・ド・ポローニュだった。
カトヴィツェで行われた第1ステージのゴールスプリントで大事故に巻き込まれ、瀕死の重傷を負った。
本人の後のインタビューによれば、頭蓋骨骨折、脳挫傷、顎や口蓋の損傷、歯の多数欠損、肺の打撲など、極めて深刻な負傷だった。ICUで治療を受け、生死の境をさまよう経験をしている。
それでもヤコブセンは復帰した。
2021 ブエルタ・ア・エスパーニャでステージ3勝とポイント賞を獲得。2022年にはツール・ド・フランスでもステージ優勝を飾り、ヨーロッパ選手権も制した。
一度は、完全復活したかに見えた。
Picnic PostNL移籍後に再び苦しむ
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2024年、ヤコブセンはSoudal Quick-StepからTeam Picnic PostNLへ移籍。
ところが、その後は以前のようなスプリント勝利を重ねることができなかった。
2024年シーズンの勝利はツアー・オブ・ターキー第1ステージのみ。ジロ・デ・イタリアやツール・ド・フランスでも思うような結果を残せなかった。
さらに2025年になると、不調の原因が身体的な問題であることが判明する。検査の結果、腸骨動脈の血流制限が確認され、ヤコブセンは手術を受けることになった。
この影響で長期間、自転車から離れることになり、復帰後も以前のスプリント力を取り戻すには至らなかった。
本人も、重要な場面や高強度のスプリントになると脚が思うように動かず苦しんでいたと説明している。
2026年に入っても状況は改善せず、ヤコブセンは再び苦しいシーズンを送ることになった。そして今年、ヤコブセンにとってさらに厳しい言葉が飛び出した。
元世界王者のトム・デュムランは、NOSのポッドキャストでヤコブセンの現状について非常に厳しい評価を行った。
デュムランは、手術を終えた現在は以前ほど明確な身体的な障害が見当たらないにもかかわらず、かつてのレベルから大きく離れており、進歩が見られないという趣旨の発言をした。
さらに「プロとして必要とされるレベルには、まだ到底届いていない」という非常に厳しい評価へ踏み込んだ。
この発言に対してヤコブセンも反応。
「世の中に何でも投げつけていいわけではない」という趣旨で、デュムランの発言に苦言を呈している。ここまでを見ると、ヤコブセンの現在地は決して明るいものではない。
2020年の大事故。その後の復帰。Picnic PostNLへの移籍。腸骨動脈の手術。そして再び結果が出ない日々。
それでも、Vismaはヤコブセンを獲得した。
それでもVismaが獲得した理由
‘I just dream of winning a race again’ 🏆
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ここからが今回の移籍で最も興味深いところだ。
Team Visma | Lease a Bikeは、単純に「現在勝っているスプリンター」を探していたわけではない。
Vismaのパフォーマンス責任者マチュー・ヘイボーアは、ヤコブセンについて詳しく調査する中で、まだ大きな可能性が残されていると判断したという。
チームが必要としていたのは、特に平坦な集団スプリントを専門とするスプリンター。
その条件にヤコブセンが合致し、過去の成績だけでなく、現在の身体状況やトレーニング環境まで含めて検討した結果、獲得へと動いた。
First day as a Bee 👋 pic.twitter.com/oIWvWXDYaD
— Team Visma | Lease a Bike (@vismaleaseabike) August 14, 2026
しかもマチュー・ヘイボーアとヤコブセンには以前から接点があった。2人は近所に住み、これまで一緒にトレーニングする機会も多かったとされている。
つまりVismaは、ヤコブセンをレース結果の数字だけで判断したわけではない。身近なところで走りを見てきたからこそ、「まだ戻せる」と考えた可能性がある。
かつて46勝を挙げ、ツール、ブエルタ、欧州選手権を制したスプリンター。
Vismaが今回獲得したのは、現在のヤコブセンではなく、その中にまだ残っている「かつてのヤコブセン」をもう一度引き出せる可能性なのかもしれない。
そして、この挑戦が成功するかどうか。それを決めるのは、2027年のゴールスプリントになる。








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