2017年にはジロ・デ・イタリアを個人総合優勝。そして世界選手権個人タイムトライアルも優勝。
2018年には、ジロ・デ・イタリアとツール・ド・フランスに出場し、いづれも総合2位となる素晴らしい活躍をみせたトム・デュムラン。
デュムランは今年はツールではなく、ジロ・デ・イタリアに主力をおくがツールも走るという。
Cyclingnewsでロングインタビューがあり、何故ジロ・デ・イタリアを今年も走るのかデュムランが答えています。
ジロ・デ・イタリアに集中する理由
Q:あなたは2019年にツール・ド・フランスよりジロ・デ・イタリアに焦点を合わせることにしました。それは多くの人にとって驚きだった…
そうだね。 僕はツールを走りたいと思っていたんだ。チームもそう計画してたんだ。しかしそれはちょっと変わってきてるんだよ。ジロのコースのほうが向いていると思ったんだ。
Q:あなたはすでにGiroを獲得しています。なので、ツール・ド・フランスを獲得することのほうが今のあなたのキャリアの最優先な目標となると思えるのですが、どうでしょう。
僕はツールが最高のレースだなんて、そんなに思ってないよ。僕は本当にGiroが大好きなんだ。 もちろん、自分のキャリアをツール・ド・フランスの勝利で終わらせたいと思っているよ。
それは大きな目標だね。でも、たとえツールを取れなくても、それで僕のキャリアが失敗だなんて思わないね。自分のチャンスは賢く選びたい。今年のツールのコースは向いてないと思っているんだ。今年のツールはチャンスじゃないんだよ。
Q:ツールでのタイムトライアルは、近年大幅に短縮されました。 それはどれほど残念ですか。
もともとタイムトライアルは好きだったんだ。
この2年間のジロはとても長いタイムトライアルが多かっただろ。そうするとタイムトライアルを得意でないライダーはアタックするしかなくなるんだ。
たとえば、2017年のナイロ・キンタナ(モビスターチーム)は、山岳の初日から攻撃をしかけただろ。そうしないと、いくら山岳でタイムを稼いでも最終日のタイムトライアルで逆転されてしまうからね。
タイムトライアルはもっと長くなるべきなんだ。そうすると攻撃的でオープンなレースが展開されることになるんだ。見てる人にとって退屈なレースじゃなくなるってことさ。それをジロが証明したんだ。
それが、ツールでは逆だよね。それはとても残念なことだよ。
Q:タイムトライアルの距離はどれくらい必要だと思いますか
何十年も前のように、100kmのタイムトライアルが必要だとは思わないさ。ブラッドリー・ウィギンズが勝ったようなツール・ド・フランスがまた起ってはいけないからね。
ただ、タイムトライアルのタイム差は5年前とあまり変わってないんだよ。けれど山岳でつけられるタイム差はどんどん縮小されているんだ。だからあまりにも長いタイムトライアルはフェアでないことはわかっているさ。でも、あまりにも距離が短いよね。
Q:ASO(ツール主催者)の試みは逆効果だと思いますか?
そうだね。100%確実だ。
たとえば、ロマン・バルデ(フランス、AG2R)がツアーに勝利したい場合、70キロメートルのタイムトライアルがあるとしたら、彼は最初から私を攻撃する必要があり、最初からフルームを攻撃する必要があるよね。
でも、今年のツールのコースでは、彼は最終週の山岳まで待つことができるんだ。
そうすると、またSkyがレースをコントロールするようになるだろ。それって、ASOも望まないレースなんじゃあないのかなあ。誰も動かないんだから、オープンで攻撃的なレースにならないよね。
Q:3回のタイムトライアルがあるGiroで、何を期待していますか?
タイムトライアルのコースの内容がいいね。完全なフラットじぁあないだろ。
これだとタイムトライアルが苦手なライダーも、それほど時間を失わずに済むんじゃあないかな。とてもバランスがとれている内容だね。ジロを今年も走る理由の一つはこれだね。
ダブルツール出場について
Q:ツール・ド・フランスにも出場しますか?
たぶん、出るとおもうけれども、ジロが終わってから正式に決めることになるだろうね。
Q:ツール・ド・フランスでは勝つことを目指しますか?
いや~、まずはジロに集中だね。去年はあまりプレッシャーがなかったんだよ。
ジロの疲れも感じなかったしね。でも、今年はどうなるかわからないさ。ジロが終わってから考えないとわからないね。
Q:昨年の[FIFA]ワールドカップで、GiroとTourの間の期間に1週間の余裕がありました。 今年は通常の5週間です。 ダブルツールは可能ですか?
そう考えいるよ。でも、実際には、ツールの3週目にならないとわからないと思うよ。
まずは、ジロだ!
ジロの総合優勝を目指して全力で戦うつもりだ。ジロのあとはゆっくりと休むよ。うまくいけばツールの時に回復しているだろうしね。ただ、昨年と違って休みの期間が少ないからツールの3週目からきつくなりそうだね。
でも、ジロがうまく走れればツールでの成績はあまり気にしなくていいんじゃないのかと思っているさ。
Q: 昨年のダブルツールからどのような教訓がありましたか。
それはとても難しい質問だね。ジロの3週間はとても集中してたね。ジロが終わってからツールの前までにリラックスするのに時間がかかったんだ。ツールにはあまりストレスをかけなかったんだよ。
今年も同じように出来るといいと思っているさ。
Q:1998年のマルコ・パンターニ以来、誰もダブルツールを制した人はいません。昨年の経験から、それは可能だと思いましたか?
ジロとツールのどちらも良い状態で走ることが肝心だね。問題は今年はジロが終わってから1週間しかないというさ。最高のコンディションで最後まで走り切れれば可能かもしれないね。
でも、昨年のツールでは最後の数日間でコンディションが崩れてしまったからね。
Q:あなたの2019のレーススケジュールを教えてください
去年と全く同じだよ。UAEツアー、それからティレーノ~アドリアティコ。そしてミラノ~サンレモ。ストラーデビアンケはスキップだね。
それからミラノ~サンレモの後、高度トレーニングに行きます。ジロまではリエージュ~バスト~リエージュしか走らないつもりだ。
ジロのあとに、ツールを走るかどうかは、ジロが終わってみないとわからないよ。
ツールのあとでも、コンディションが良かったら世界選手権のタイムトライヤルにも集中するつもりさ。
トップグランドツアーライダーになる
Q:2017年の Giroでは、クライマーに対するタイム差を失わないように走っているように感じましたが、2018年にはGiroとTourの両方で最も強いクライマーの1人だったようです。 ライダーとしてどのように成長しましたか?
まだタイムトライアルスペシャリストでありたいと思っている。だけど、バランスはややクライマーよりになっているかな。
少しタイムトライヤルスペシャリストから離れているように感じているんだ。だからタイムトライヤルの能力は維持したいと思っている。これが今年の一番の焦点だね。タイトルは狙っていくよ。
だけど、グランドツアーを勝つにはまだまだクライマーとしての能力を向上させないといけないね。間違いなく、ここ数年で沢山のことは得ているけれども、今年はもっと身につけないといけないと思っているさ。
Q:クライマーとしてどのようにあなたの向上を測りますか?
パーセンテージで表したりはできないよ。わからないよ。
連続して数回の山岳レースする能力は良くなったと思う。 Oropaのような山に行ったら(2017年のGiriedでステージを獲得)、あのときのような走りは出来ないと思う。
しかし、4,000-5,000メートルの獲得標高の山を乗り越える力はついていると思うよ。
特別なトレーニングなんてなくて、ただひらすら山を登るしかないね。
Q:タイムトライアルで自分の優位を失うのではないかという恐れがありますが、それは起きていないようですね
短距離のタイムトライヤル、特に平地のタイムは少し悪くなったかな。しかし幸運にも私はタイムトライアルの技術、そして能力は維持しているから、まだ勝てると思うよ。
平地は少し遅くなったかもしれないけれども、登りの能力は向上しているから平準化出来ていると思ってるさ。
Q:体重が軽くなったんですか?
そんなに変わってないよ。たった1、2キロかな。
Q:2017年が飛躍の年だったとしたら、2018年はあなたがグランドツアーのライダーの1人として自分自身を認めた年ですか?
そう思います。 2017年のGiroは私とすべての人にとって驚くべきことでした。
それはタイムトライアルの距離が長かったから僕向きのGiroだったんだ。この年は勝ったけれども最強のクライマーではなかったね。2018年は間違いなく、最高のグランツールライダーと一緒に走ることが出来たんだ。
それはとても嬉しかったさ。
Q:ここ数年で、あなたのキャリアの目標はどのように変わりましたか?
そりゃあ、完全に変わったさ。 数年前にはグランドツアーで総合争いをしてるとは思ってもみなかったよ。
でも、いまはしてるんだよね。今私はいつかツールドフランスに勝つことを考えている。それは5年前には考えてもみなかったことだよ。
Q:あなたのアシストの何人かはSunwebを去りました、そしてアシストの補強はありませんでした。 あなたチームは十分に強いと言えますか?
チームとしては昨年からさらに改善したと思っているさ。多分、大丈夫なんじゃないかなあ。
僕らのチームの予算はSkyのの半分だからね。それは難しい問題だね。
Skyのアシストは他のチームならエースで走れる選手なんだぜ。予算が大きいからグランドツアーを支配することが出来るんだ。ただ、Skyもスポンサー問題で来年からどうなるかはわからないよね。
来年にむけてチームが何をすべきかはわかっているんだ。Skyに対抗するのは大変だけど、少しずつ近づいていけるだろうね。今年、僕らはより彼らに近づけると思うよ。
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