トラックのオリンピック金メダリストだったウェールズ出身のオウェイン・ドゥール。
子供のころからの夢だったクラシックでの表彰台についに立つことに。
フランドル地方でのシーズン第2戦となるクールネ~ブリュッセル~クールネ(UCI1.HC)で独走優勝したクイックステップのボブ・ユンゲルスに続いて、集団のトップをスプリントで獲得したのがチームスカイのオウェイン・ドゥールだった。
彼は表彰台を獲得できたのは「シュールだ」と語っている。
チームスカイのオウェイン・ドゥール
オウェイン・ドゥール(Owain Doull)はウェールズの カーディフで生まれ育った。
子供の頃、彼は熱心なスポーツ選手で、男子生徒としてラグビーをしていただけでなく、サイクリングも楽しんでいた。
2011年にはイギリスサイクリングのオリンピック開発プログラムに選ばれている。Doullが最初に出場したワールドカップは、イギリスのミンスクで開催された2013年UCIトラックサイクリングワールドチャンピオンシップ。ここで、スクラッチレースで5位になっている。
彼の最初の表彰台は、アペルドールンで行われた2013年のUEC欧州トラック選手権で、4km団体追い抜きのメンバーとして出場。その時のメンバーは
- スティーブン・バーク
- エド・クランシー
- アンディ・テナント
彼らと共に金メダルとなった。
2014年にはロードシーズンのためにポストチェーンリアクションでプロに転向。
2015年、 Bradley Wigginsが2016年夏季オリンピックへのチーム進出に向けて準備することを目的とした新しいチーム・ウィギンズに移籍。
オリンピックのために、チームヨーロッパカーへのフルタイムのロードレースへの切り替えを拒否した。
2015年9月、ツアーオブブリテンで総合3位に入り、さらにポイントクラスで優勝。 2015年11月に、2016年シーズンはチーム・ウィギンズに留まることを確認し、2016年5月には2017年から2年間の契約でTeam Skyに参加することを発表。
2016年リオデジャネイロオリンピックで男子団体追い抜きで世界新記録で金メダルを獲得した。
その時のメンバーは
- エド・クランシー
- スティーヴン・バーク
- オウェイン・ドゥール
- ブラッドリー・ウィギンス
クールネ~ブリュッセル~クールネ
前日に開催されたオンループ・ヘットニュースブラッドと並んで、北のクラシックシーズンの開幕を告げるクールネ~ブリュッセル~クールネ。通称KBKと呼ばれる。
オンループ・ヘットニュースブラッドでは13箇所の石畳急坂のセクションが出てくるセミクラシック。
それと比べるとクールネ~ブリュッセル~クールネでは、フランドル・クラシックの代表的な石畳激坂もあるが、最後の登りであるノケレベルクの頂上からゴールまでは50kmにわたって平坦なコースとなっている。
そのために、スプリンタークラシックとも呼ばれている。
2017年には、サガンが小集団スプリントを制して優勝。前年度独走で優勝したストゥイヴェン(トレック・セガフレード)は2位だった。
2018年は、ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)がスプリントで勝利している。
スプリンタークラシックと呼ばれてはいるが、過去を振り返ってもクラシック独特の逃げやドラマのあるレース展開となっていて予想のつかないレースだ。
今回、オウェイン・ドゥールは積極的にレースを展開。
石畳の急坂のオウデ・クワレモント(距離2200m/平均勾配4%/最大勾配11.6%)でメイン集団から逃げに乗った。この強力な逃げ集団は先頭で逃げている集団にも合流することになる。
- イヴ・ランパールト(ドゥクーニンク・クイックステップ)
- ゼネク・スティバル(ドゥクーニンク・クイックステップ)
- イアン・スタナード(チームスカイ)
- カスパー・アスグリーン(ドゥクーニンク・クイックステップ)
- オウェイン・ドゥール(チームスカイ)
- ダヴィデ・バッレリーニ(アスタナ)
- シュテファン・キュング(グルパマFDJ)
最終的には、ラスト16キロから独走して勝利したボブ・ユンゲルス(ドゥクーニンク・クイックステップ)の12秒後方で争われたスプリントでオウェイン・ドゥールが2位にはいっている。
上位をみても、ディラン・フルーネウェーヘンやアンドレ・グライペルなどのピュアスプリンターをくだしての集団トップだ。
Actually can’t believe it, growing up I’ve always wanted to be in the sharp end of these races, but to do it today feels surreal. Thanks for all the kind messages can’t reply to everyone but it means a lot x pic.twitter.com/all0RScoN9
— Owain Doull (@owaindoull) 2019年3月3日
「実際に信じられない。成長してきた私はいつもクラシックで表彰台にたちたいと思っていた。
今日それが出来たのはシュールに感じる」
レース後には、今日は足の調子が良かったことをコメントしている。
シュールは本来、フランス語のシュルレアリスム(surréalisme)の略語で「超現実主義」という意味です。物事・言動・体験の様子が「超現実的で・不条理で・奇抜で・難解である」ような場合に用いられます。
引用 言葉のコラム
オウェイン・ドゥールは2月のHerald Sun Tourで嬉しい初勝利。9人の逃げ集団から、チームメイトのルーク・ロウとラスト5キロで抜けだしての勝利でした。
チームとして1・2フニッシュを決めたのです。まあ、ロウに初勝利を譲って貰った訳ですね。
#SunTour @owaindoull wins the stage! @TeamSky pic.twitter.com/Tdhb7RbDuU
— Jayco Herald Sun Tour 🚲 (@HeraldSunTour) 2019年2月1日
今回のクールネ~ブリュッセル~クールネでは、Luke Roweが病気に見舞われ、Dylan van Baarleが前日のオンループ・ヘットニュースブラッドで負傷したというチーム内の事情があり、彼のチームでの順位が上がっていたようです。
ただ、単純に今回の表彰台で、彼がクラシックのエースとなれる訳ではない。
スポーツディレクターのServais Knavenは、過去2年クラシックで成績が残せていなかったことを考えると彼の成長が伺えると言っています。
オウェイン・ドゥールはこのチームで自分のためにレースをする機会があまりないため、チャンスの時には最大限に活用することが重要だと言っています。
あまりにもチームが強いと中々自分の勝利のために力を発揮することが出来ない厳しいプロの世界です。
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