ベルギーで行われていた北のクラシックが終わり、オランダで行われる「アルデンヌ・クラシック3連戦」の第1戦アムステルゴールドレースが行われた。.
続くレースは、フレッシュ・ワロンヌ、リエージュ~バストーニュ〜リエージュ。
このアムステルゴールドレースでマチュー・ファンデルプールがロードレースの常識を覆す走りで勝利をもぎ取った。
それは親子での歴史の繰り返しでもあったのだ。
歴史は繰り返す
マチュー・ファンデルプールのアムステルゴールドレースでの勝利は、全く前例がないわけではなく29年前に同じことがあった。
1990年に、彼の父アドリ・ファンデルプールは非常に似たような状況でアムステルゴールドに勝利している。
それは、ゴール前でリュック・ルーゼンとヤン・ゴッセンの二人がリードしてスプリントで決着かといったところ、後ろからきたアドリ・ファンデルプールが抜きさった。まさに、今回の息子の勝利と同じような状況。
映像を見ると、集団で追って最後にギリギリでまくったのがアドリ・ファンデルプールだった。
その勝利はアドリ・ファンデルプール、31歳のキャリアの最後のクラシックの勝利。マチューの父、アドリはフランダースツアー(1986年)とリエージュ~バストーニュ〜リエージュ(1988年)にも勝利している。
ラボバンクで2000年に引退するまでに、国内のシクロクロスは無敵のチャンピオン。
1996年にはシクロクロス世界選手権にも優勝。
つまり、父親もシクロクロスにも強く、ロードにも強い凄いレーサーだった。こうなると息子のマチューも同じような道をたどりそう。
常識を覆す男
You’ve gotta want it more than your last breath pic.twitter.com/TMtkW3GKOz
— Mathieu Van der Poel (@mathieuvdpoel) 2019年4月22日
日曜日には、息子のマチュー・ファンデルプール(まだ24歳)が、息をのむようなフィナーレでアムステルダムの勝利を獲得。
私との大きな違いは、8秒間のタイム差を縮めるのに対して、マチューは40~50秒間縮めなければいけなかったことだ!
と彼の父、アドリ・ファンデルプールは語った。
マチュー・ファンデルプールは、今シーズン初めてクラシックに参加したが、オランダ人チャンピオンは比較的経験が浅いにも関わらず、アムステルゴールドレースの優勝候補だった。
マチュー・ファンデルプールはゴールまで、43キロメートルの距離でグルペルベルグでアタック。
しかし彼はすぐに集団に吸収されてしまった。その後すぐにアラフィリップとフルサングがアタック。それまで5キロほど逃げていたマチューは反応出来ず、戦術的なミスを犯してしまう。
アラフィリップとフルサングはメイン集団まで一時1分以上の圧倒的なリードを保って逃げ続ける。
追走は、ミカウ・クウィアトコースキー(チームSKY)とマッテオ・トレンティン(ミッチェルトン・スコット)が20秒の差で追い続ける。前に見えている状態だけれども追いつかない。
そして、後続のメイン集団からアタックをかけて追走したグループは、
- マチュー・ファンデルプール(コンドレン・サーカス)
- ロマン・バルデ(アージェードゥーゼール)
- ビョルグ・ランブレヒト(ロット・スーダル)
- ヴァランタン・マデュアス(グルパマFDJ)
- アレッサンドロ・デマルキ(、CCCチーム)
このグループをラスト2キロから先頭固定で牽引したのは、マチュー・ファンデルプール。
ラスト2キロの段階でも、全く前は見えていない状態。どう考えても、追いつくことはないと誰もが思っていたでしょう。私もです^^;
アラフィリップとフルサングが最後まで協調して走っていれば二人のスプリント勝負となっていただろうけど、スプリントではかなわないフルサングが何度もアラフィリップに対してアタック。
でも、見えている状態でアタックしても決まらないですよね~。
最後は、まさか、まさかの全力牽引からの全力スプリントで前を行く全てを抜き去ったマチュー・ファンデルプール。
頭を振りながら、信じられないといった感じでゴール!
Vanmiddag sprak koersdirecteur @leovanvliet met de Nederlands kampioen @mathieuvdpoel Samen met Gert Veenhuizen van Landal Kasteeldomein De Cauberg hadden de mannen een verrassing voor #MVP in petto. pic.twitter.com/SUjNwzsRf8
— Amstel Gold Race (@Amstelgoldrace) 2019年4月19日
父親のアドリ・ファンデルプールは
先頭から10秒遅れていて、スプリント中に背中に風があることを知っているなら、遠くからスプリントを始める危険を冒さなければなりません。そしてマチューはそれをしました!
どれだけ強いフィジカルなんでしょうか?
常識ではかりしれない
彼は、これまでロンド・ファンフラーデレンでは落車したのに、先頭に追いついた。
この時には、2度フランダースを制しているステイン・デヴォルデル(40)が牽引して集団に戻してくれたけれども、マチュー本人が単独で追っていた場面のほうが圧倒的に多かった。
今回のアムステルゴールドでも、チームメイトの力は一切使っていない。一人でアタックして、一人で牽引して一人でスプリントをして勝ってしまった。
シクロクロスと同じように、一人で戦うのでチームの力は関係ないのかもしれない。それでも勝ててしまうのだから、規格外としかいいようがない。
- GPドゥナン優勝
- ノケーレ・コールス DNF
- ヘント〜ウェヴェルヘム4位
- ドワーズ・ドール・フラーンデレン優勝
- ロンド・ファン・フラーンデレン4位
- ブラバンツペイル優勝
- アムステルゴールドレース優勝。
ノケーレ・コールスのDNFはゴール前でクラッシュしたため。
ロンド・ファン・フラーンデレンの4位は、落車したためだ。
北のクラシックでは、石畳がありシクロクロスの技術が役に立つだろう。事実登りでのスピードは他の選手を圧倒していた。
ただ、今回のアムステルゴールドレースは、激しいアップダウンとカーブの多さが特徴で「千のカーブ」と形容される丘陵地帯でのレースだった。シクロクロスの要素はない。単純なロードレースでも通用するってことですよねえ~。
あとは、見てみたいのは山岳。アルプスの山々を走る姿を速く見てみたい。
2023年までは、コンドレン・サーカスとの契約があるので他チームへの移籍はなく、東京オリンピックを狙っていく。
その後もシクロクロスとロードを走るのでしょうが、次のロードを走るマチューを見るのが楽しみでしょうがない。
将来には是非グランツールを走って欲しいですね!
コメント