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ストラーデビアンケで見せたジュリアン・アラフィリップの奇跡のクラッシュ回避テクニック

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Photo credit: The Wolf on VisualHunt
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ストラーデビアンケのラスト100kmで起こった大落車は凄まじかった。

 

カスパー・アスグリーンが先頭を引き、ジュリアン・アラフィリップも前を走っていたが、突然の横風で大きく集団全体が振られる。

ジュリアン・アラフィリップのバイクは宙を舞い、真っ逆さまになった映像は大けがを連想させるには十分すぎるものだった。

だが、ジュリアン・アラフィリップは、立ち上がり、なんと集団に追いつき先頭を引き倒して、チームのために働いて降りて行った。

ジュリアン・アラフィリップが大けがをせずに済んだ、華麗なるクラッシュ回避テクニックを見てみよう。

 

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突然の突風

トスカーナ地方を吹き荒れる風は、ストラーデ・ビアンケの白い砂埃を巻き上げ、早春の野原に舞い散らせた。

それはライダーにも同じように降り注ぐ。グラベル路面ではグリップが低下し、リムハイトが高いカーボンホイールセットと厄介な横風が組み合わさって、予想通りの結果となった。

 

YouTube動画より 以下同様

 

そして、残り100km、ルチニャーノダッソのグラベル区間で、衝撃的な瞬間が訪れた。

右から風が吹き込む中、すでに左端にいたジュリアン・アラフィリップは、右隣のライダーを襲った爆風で、さらに端に追いやられた。

ジュリアン・アラフィリップは左足のクリップを外し、より硬く、よりグリップのある路面に体を引き戻そうとした。

 

 

すでに多くのライダーが横風によって振られているのがわかる。

 

 

Alpecin-Fenixのライダーは、フロントホイールが風で横に飛ばされ、グラベルのグリップを失い、バイクごとアラフィリップの進路をふさいでしまった。

Jumbo-Vismaのティシュ・ベノートも、回避しようとしているのがわかる。

 

 

典型的なジャックナイフ。フロントブレーキの握り、最小限のグリップ、そして勢いによって、アラフィリップの前輪は横向きになり、走り続けることは出来ない。

 

 

ここからが、ジュリアンの凄い所で、まだハンドルバーを掴んでいる。腕を突き出すと、鎖骨や手首など、さまざまな骨折の原因となる。

反転し始めたところで、頭を胸に入れ、残りの体を引き寄せようとしている。

もちろん、意識してやっているわけではない。あまりに速いスピードだ。しかし、正しいことをすべて行っている。

 

 

その結果、ジュリアンは頭や首でなく、肩の上部で着地。前の写真から考えると首の骨を折ったのかと思ったほどの衝撃的な映像だったけど。

 

 

そのまま仰向けになって足元に向かって転がる。

この転がり方がポイントとなった。簡単に言うと、衝撃の力は、衝撃を受ける時間が長くなるほど小さくなる。

これは柔道の受け身にも似ている。上手く回転した感じだ。

 

 

アラフィリップはまだ、転がっている。左でティシュ・ベノートが崩れ出し、タデイ・ポガチャルとマテイ・モホリッチが突っ込みそうになっている。

 

 

アラフィリップはまだ転がりながら、今度は前方に立ち上がった。タデイ・ポガチャルは、ハンドルを握っているけど、右足を外している。

タデイ・ポガチャルも激しく落車しているが、ハンドルを離さず上手く回転した。

 

 

その後、アラフィリップは再び前方に飛び出し、さらに衝突の時間を伸ばした。もう十分減速しているので、最後の衝撃を和らげるために手を出すのは安全策だろう。

 

 

左ではタデイ・ポガチャルがすぐに立ち上がっている姿が。スロベニアのシクロクロス王者にもなったことのあるポガチャルも優れたクラッシュ回避テクニックを持っている。

タデイ・ポガチャルが左肘から出血。ジャージも汚れていたのは、この落車が原因だ。

 

 

アラフィリップが大きな怪我をせずに済んだのは素晴らしいニュースだ。着地が芝生だったこともあるが、ローリングも重要だった。

後輪を失うのは救いがあるが、前輪を失うのは救いようがない。

このクラッシュが始まってしまったら、もう助からないということを意味する。出来るだけ、ハンドルを最後まで握って、受け身が取れるようにしておきたい。

 

 

この後のジュリアン・アラフィリップが凄かった。2分30秒あったタイム差をチームメイトに埋めて貰い、最後は集団先頭にたってチームのために走り続けた。

このクラッシュがなければ、レースの結果はまた違ったものになったことだろう。だけど、大きなケガをすることなく済んだのは不幸中の幸いだ。

背中の痛みがあるというけど、次のティレーノ〜アドリアティコ では元気な姿を見せて貰いたい。

 

 

 

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