ジロ・デ・イタリア第17ステージでは、エガン・ベルナルがまさかのクラック。
彼も人間だということを示してくれた。総合2位のダミアーノ・カルーゾには3秒を失うだけですんだが、総合3位に上がってきたサイモン・イェーツには3分23秒と迫られている。
実に57秒もタイムを縮められた。エガン・ベルナルは背中の調子が悪くなったのか、単にパットデイだったのかはわからない。
このステージでサイモン・イェーツが、アタックを決められた要因について探ってみよう。
周到な準備と太陽エネルギー
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サイモン・イェーツはステージによって成績が変わる。と、いうか走りが全然違う。まず、雨のステージでは寒さは関係ないといいながらも、全く成績は振るわない。
逆に、天気がよければ素晴らしい走りを見せてくれる。
第1に、天気が良いのがサイモン・イェーツの能力を引きだす大きな要因だというのは間違いない。
これは、ツール5連覇したミゲル・インデゥラインに似ている。サイモン・イェーツも太陽エネルギーで部分的に動いているのは間違いないだろう。
まあ、誰だって雨のレースが好きな人はいない。
ゴール手前3.8kmでアタックをかけてから、勾配が17%になった時にエガン・ベルナルはついていけなかった。
だが、この事実もサイモン・イェーツは知らない。途中で、ベルナルがいないことに気づいたが、すでにフルガスで走っており、それ以上の加速は望めなかった。
ゴール後のインタビューで、サイモン・イェーツは、ツアー・オブ・アルプスの後に、このコースを偵察していることを教えてくれた。
それが本当に難しい登りであることを知っていた。私にとって、おそらくレースで最も難しい登りだったと思う。
確かに、これまでで一番大変だったので、差がついても時間がかかった。
コースを初めて走るのと既に走っているのでは、ペース配分やアタックのタイミングなども違ってくる。
先に、偵察しておくことは大切だ。プリモッシュ・ログリッチもすでに、ツールのTTの2コースを偵察。山岳コースもトレーニングキャンプで偵察を予定している。
優勝するライダーは、常に周到な準備を怠らない。サイモン・イェーツが残りの山岳ステージで最高のアタックをかけるには、天候にも影響されそうだ。
本人も天気が良いことを願っている。
エガン・ベルナルの場合
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エガン・ベルナルは、ダニエル・マルティネスがいなかったら、どうなっていただろう。サイモン・イェーツが再度のアタックをかけた時に、マルティネスは追従しアルメイダと共に3人のパックの先頭で登っていた。
その後ろでは、離れていくベルナルの姿が。慌てて、マルティネスは戻ってきてベルナルに檄を飛ばしている。
これがなければ、ベルナルはアシスト不在でもっと時間を失っていたはずだ。
ベルナルは、ゴール後のインタビューでコースを良く知らなかったことを告白している。
彼についていこうとしたが、ちょっとしたミスを犯してしまったかもしれない。
最後の2キロがそれほど厳しくないとわかっていたら、それまで待っていたかもしれないし、もっと速く走るためのエネルギーを持っていたかもしれない。
しかし、すべてのステージを見ることはできないし、全体的には今日の結果に満足している。
ベルナルは、コースを視察していない。ラスト2kmの勾配が緩いことがわかっていれば、サイモン・イェーツの最初のアタックに追跡しなかったかもしれないと言っている。
総合で4分20秒遅れのサイモン・イェーツを無理して追う必要はなかったのだ。
無理をしてクラックするよりは、緩斜面でペースをあげてタイムロスを少なくしたほうが結果的には良かっただろう。
特に、体調が悪い場合や、背中の痛みが出ていた際には無理をせず自分のペースを刻んだほうが良い。結局、ダミアーノ・カルーゾのベースで上がった訳だから。
残る2つのステージで、再びエガン・ベルナルが崩れることがあるのだろうか?
その場合、誰がジロの勝者になるだろう?
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