長年、エリートスポーツのパフォーマンス向上はコーチの直感や断片的なデータに依存してきた。
しかし、現オリンピックロードレース女王であるEF Education-Oatlyのクリステン・フォークナー は、既存のシステムが女性の現実に追いつくのを待つことはしなかった。
彼女は過去2ヶ月間、日中はプロサイクリストとして最高レベルのトレーニングを行い、夜は自身のトレーニングブロックを分析するコードを長時間書き続けるという二重生活を送っていた。
彼女が自らシステム構築を行える背景には、その特異な経歴がある。
ハーバード大学でコンピューターサイエンスを専攻して卒業した彼女は、ベンチャーキャピタルでの経験を持ち、AI分野への積極的な投資も行ってきた。
スポーツ科学とテクノロジーの双方に深い理解を持つことが、この革新的な取り組みの確固たる基盤となっている。
独自のデータで構築する女性のためのパフォーマンス科学
The research I needed about my own body did not exist. So I built it with AI.https://t.co/fvX09qFXuZ
— Kristen Faulkner (@FaulknerKristen) April 22, 2026
彼女を自作のシステム開発へと駆り立てたのは、好奇心とフラストレーションだった。
女性エリートアスリートの現実に即した生理学的な答えが、既存のスポーツ科学には存在しなかったからだ。
従来のパフォーマンス研究の多くは男性を対象としており、女性特有の生理機能は「普遍的な一つのパターン」に従うかのように扱われることが多いと彼女は指摘する。
これを解決するため、フォークナーは過去9年間にわたる心拍数、HRV、睡眠、パワー、体温、トレーニング負荷、月経周期などの生体データを活用した。
4000時間以上のトレーニング履歴をシステムに読み込ませ、彼女自身の生理学的な進化モデルを生成したのである。
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この取り組みの過程で、長年信じていた常識が覆ることもあった。
ハードなバイクトレーニングの直前にウェイトトレーニングを行うとパフォーマンスが低下すると考えていたが、実際には自転車では十分に動員されない筋肉群が事前のジムワークで活性化され、逆により良い走りができることが判明した。
彼女のシステムのアプローチは「感覚が第一、モデルは第二」というスタンスを貫いている。
モデルの数値と体の感覚が異なる場合は、体の感覚を信じてモデルを改善していく。このシステムの成果はすでに表れており、パンアメリカン選手権での3つの金メダル獲得や、自己最高の20分パワー更新に繋がった。

現在、このシステムは個人的なツールに留まっているが、彼女は将来的に、特に女性に向けて広く提供することにも前向きだ。
2028年のロサンゼルスオリンピックを見据え、彼女は自らの体を実験台にしながら、集団内の誰も踏み入れたことのない領域から新たな競争力を生み出している。
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