2023年の世界ロードチャンピオンを決めるレース。グラスゴーの前例のない曲がりくねったコースで決戦となる。
過去の優勝者は
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2022 レムコ・エヴェネプール
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2021 ジュリアン・アラフィリップ
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2020 ジュリアン・アラフィリップ
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2019 マッズ・ピーダスン
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2018 アレハンドロ・バルベルデ
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2017 ピーター・サガン
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2016 ピーター・サガン
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2015 ピーター・サガン
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2014 ミハウ・クフィアトコフスキ
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2013 ルイ・コスタ
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2012 フィリップ・ジルベール
エディンバラ~グラスゴー 271.1km
スコットランドの首都エディンバラでスタート。まず北西のスターリングへ向かい、フォルカークやデニーなどを経由して、グラスゴーのすぐ上の丘陵地帯に行く。
二つの登りがあるが、決戦はグラスゴーサーキットとなる。14.3kmを10周回。1周当たり193mだが、271.1kmでの獲得標高は3,570mにもなる。
ポジショニングを誤るとトップには立てないテクニカルなコーナーが連続するコースだ。
各国の注目のライダーは
- ベルギー レムコ・エヴェネプール、ワウト・ファンアールト、ジャスパー・フィリップセン
- デンマーク カスパー・アスグリーン、マッズ・ピーダスン、マグナス・コルトニールセン
- フランス ジュリアン・アラフィリップ、クリストフ・ラポルト、ブノワ・コヌフロワ、ヴァランタン・マデュアス
- スロベニア タデイ・ポガチャル
- オランダ マチュー・ファンデルプール、ディラン・ファンバーレ
- イタリア アルベルト・ベッティオル
- 日本 新城幸也
スタート
ディフェンディグチャンピオンのレムコ・エヴェネプールのコメント
楽しみにしている。昨日は戦術面ですべてを微調整した。このコースでは一人よりも一緒になれば強くなるだろう。
決勝が早い段階で決裂しても、それが直ちに不利になるわけではないことは明らかだ。おそらくサーキットの曲がり角からのコースであり、それが我々にとって有利になるだろう。
スタート前。会長の隣は多分、バチカン市国の40歳。リエン・シュールホイス。
ポルトガル代表のジョアン・アルメイダが落車して遅れている。
アルメイダが追いついていないのだけど、無情にもオフィシャルスタートとなってしまった。
序盤は、メインでない国が逃げを作るはず。
アルメイダはメディカルカーで治療を受けている。
オーストリアのルーカス・ペストルベルガーが、少し前にでる。
今度はスイスのシルヴァン・ディリエとアイルランドのローリー・タウンゼントが前に。
スイスのマルク・ヒルシがパンク。
9人の逃げ
9人ほどが前にでた。30秒をすぐに稼ぎだす。
- オウィエン・ドゥール 英国
- マシュー・ディナム オーストラリア
- アロルド・テハダ コロンビア
- ケヴィン・ヴェルマーケ 米国
- パトリック・ガンパー オーストリア
- ローリー・タウンゼント アイルランド
- ライアン・クリステンセン ニュージーランド
- クリスツ・ニーランズ ラトビア
- ペトル・ケレメン チェコ
先頭9人は3分43秒差に。
ジョージ・ベネットが追走に出ている。ただ、一人で引いているのでタイム差は広がっていく。
- ジョージ・ベネット ニュージーランド
- リエン・シュールホイス バチカン
- ファグンデス エリック・アントニオ ウルグアイ
新城幸也はフランスの選手と話しながら走っている。
先頭は登りに入った。集団とは7分43秒まで離れている。
集団先頭にベルギーが立つ。フレデリック・フリソンだ。
あら~、なんだ。先頭が止められた。なんとデモをやっている。
集団も止められた。
先頭は説明を受けているけど事態変わらず。
マチュー・ファンデルプールは後ろのほうで話をしている。あまり長く休むのも良くない。
警察出動。すでに30分たっている。
UCIからは、「スコットランド警察がキャロン・バレー地区での抗議活動を確認し、男子ロードレースが一時中断されたことを受け、我々はレースの混乱を最小限に抑えるため、また選手の安全を最優先するため、すべての関係当局と緊密に連携している。」
やっと再開。7分5秒ほど先に進む。
タデイ・ポガチャルは、ルーク・プラップ、ジョージ・ベネットらと話している。
新城幸也は、ジュリアン・アラフィリップの後ろで待機。
集団も走りだした。新城幸也は最後尾。
残り174kmで新城幸也は、集団から遅れている。
まあ、ここで切れることはないだろう。しかし、戻ってくることはなかった。
ノルウェーのアンドレアス・レックネスンがパンク。Shimanoのサポートに助けて貰う。来シーズンから、Uno-X Pro Cycling Teamに移籍となる。
コロンビアのフェルナンド・ガビリアが落車。鎖骨も押さえているし、顔面から流血している。
先頭はグラスゴーに入った。
集団はデンマークがペースを上げる。
ベルギーも先頭に。ワウト・ファンアールトは2番手。
残り10周
残り10周。ここからが勝負となる。
デンマークのミッケル・ビョーグは、フロントホイールがパンクで合わず降りてしまった。このコースでは追いつかない。
集団はデンマークが引き続き引いている。マッズ・ピーダスンは2番手キープ。
オーストラリアのルーク・プラップにルーク・ダーブリッジも降りた。
ジュリアン・アラフィリップがアタック!
後方では落車。
二人が抜け出した。
- ジュリアン・アラフィリップ フランス
- セーアン・クラーウアナスン デンマーク
ジュリアン・アラフィリップは捕まり次の逃げが。
- ロレンツォ・ロタ イタリア
- マティアス・スケルモースイェンセン デンマーク
追走は3人に。
- ロレンツォ・ロタ イタリア
- マティアス・スケルモースイェンセン デンマーク
- トビアスハラン・ヨハンネンセン ノルウェー
残り9周
先頭は3分差で、残り9周に。
集団先頭はベルギーのヴィクトール・カンペナールツに。
ヴィクトール・カンペナールツ先頭でゴールラインを通過。
追走の3人は、ヴィクトール・カンペナールツの引きで捕まってしまう。
タデイ・ポガチャルが前で展開。
登りで、アルベルト・ベッティオルが仕掛ける。
ワウト・ファンアールトが3番手に。
一列棒状。
残り8周
2分15秒差で集団が通過。
あ~、サガンが降りてしまった。う~ん、これが最後のロードレースだったのだろうか。ニルス・ポリッツも一緒に降りている。
ジュリアン・アラフィリップは最後尾。カスパー・アスグリーンも少し前にいる。この位置にいたら残れない。
ネーサンファン・フーイドンクがワウト・ファンアールトを引く。後ろは、マッテオ・トレンティン。
ジュリアン・アラフィリップは、切れてしまった。2度の世界王者が終わりのようだ。
再び、集団はデンマークが引きだす。
残り7周
残り100km。タイム差1分16秒に。
デンマークのカスパー・アスグリーンが降りた。
おっと、レムコ・エヴェネプールがアタック!
すぐに足を緩めて前に出す。
集団も35人くらいしか残っていない。
イタリアが集団を引く。
マチュー・ファンデルプールが2番手に。先頭が割れつつある。
マチューが登りで引いて集団を割る。
マチューがアタック!
ここでは前にいないと取り残される。
タデイ・ポガチャルも前にいる。
レムコは後ろのグループだ。
タデイ・ポガチャルが攻撃。後ろで落車だ。
イタリアのマッテオ・トレンティンだ。
残り6周
後ろから、レムコのグループが追ってきている。
ワウト・ファンアールト、マッズ・ピーダスン、マチュー・ファンデルプール、タデイ・ポガチャルが追走にいる。
レムコのグループが追いついて、追走は25人となる。
レムコは追いつくと、すぐに前でペースを上げる。
ラスムス・ティレル がパンクでバイク交換。しかし、このコースではパンクでも追いつかなくなる。
先頭の後ろに集団が迫る。
マチュー・ファンデルプールがアタック!
真後ろにワウト・ファンアールト。
後ろを確認してマチューは踏み込む。
あっという間に6人に。
集団から5秒離れた。
先頭集団の生き残りのケヴィン・ヴェルマーケに追いついた。
24秒引き離している。
- マチュー・ファンデルプール オランダ
- ワウト・ファンアールト ベルギー
- マッズ・ピーダスン デンマーク
- タデイ・ポガチャル スロベニア
- アルベルト・ベッティオル イタリア
- マシュー・ディナム オーストラリア
- ケヴィン・ヴェルマーケ アメリカ
残り5周
18秒差で先頭が通過。
集団は23人いる。
後続が追いついた瞬間にマッズ・ピーダスンがアタック!
マッズ・ピーダスンとしては、前の集団で逃げたかったのだろう。これは捕まる。
フランスのブノワ・コヌフロワが切れた。
先頭は28人。ネイサン・ファンフーイドンクとマティアス・スケルモースイェンセンが引くパターンに戻る。
ベルギーが前でペースを作る。
タデイ・ポガチャルがアタック!
後ろを確認してペースを落とす。
今度はレムコ・エヴェネプールがぐっとペースを上げる。マッズ・ピーダスンだけがついている。
今度はワウト・ファンアールトが前に。後ろはマチュー・ファンデルプール。
今度はアルベルト・ベッティオルがアタック!
アルベルト・ベッティオルは、カーブでフェンスに少し当たる。
登りで、ニールソン・ポーレスが先頭に。
レムコ・エヴェネプールがアタック!
レムコは、かなり踏み込む。マッズ・ピーダスンが後ろ。
残り4周
ワウト・ファンアールト先頭で、残り4周に。
また、レムコがアタック。後ろはタデイ・ポガチャル。
レムコ・エヴェネプールは、絞りたがっている。
アルベルト・ベッティオルがアタック!
少し離れた。
まだ、距離があるので単独では無理だ。追走を待つことになるだろう。
先頭は18人となった。アルベルト・ベッティオルは単独で逃げ続けている。
フランス王者のヴァランタン・マデュアスも切れてしまう。
アルベルト・ベッティオルは、23秒のリードに。雨が降ってきたのがいけない。
集団はベルギーのテッシュ・ベノートが引く。
テッシュ・ベノートの引きが続く。タイム差は30秒に。
おっと、カーブで落車。エクアドルのヨナタン・ナルバエスだ。
残り3周
ヨナタン・ナルバエスの落車で、少し追走が割れた。
マティアス・スケルモースイェンセンがマシントラブル。
追走は4人。
- マチュー・ファンデルプール オランダ
- ワウト・ファンアールト ベルギー
- マッズ・ピーダスン デンマーク
- タデイ・ポガチャル スロベニア
残り39.2kmなので、もう追いつかせるべきではない。
まずは、協力して後続を突き放すことだ。
レムコは、追わないことに怒っている。テッシュ・ベノートとジャスバー・ストゥイヴェンは引かない。
これはどうした? レムコが遅れているぞ。
あら~、本当にレムコは離れてしまった。何があったのか?
先頭まで21秒。勝ち逃げとなるか。
アルベルト・ベッティオルは、追いつかれるとスプリントでは後ろの4人にはかなわない。
集団から3人が抜け出して追っている。
- ニールソン・ポーレス アメリカ
- トムストムス・スクインシュ ラトビア
- マウロ・シュミット スイス
残り2周
アルベルト・ベッティオルは、残り2周に。
物凄い雨になった。
追走の4人も残り2周。雨が結構降ってくる。
もう200mない。追いつくのは時間の問題だ。
前にアルベルト・ベッティオルが見えてきた。
マチュー・ファンデルプールがアタックをかけている。
マチュー・ファンデルプールがアルベルト・ベッティオルを抜いていく。
これは全開だ!
後ろは、ワウト・ファンアールトからタデイ・ポガチャルにかわっている。
すでに大きな差ができた。
さあ、3人は協力して追えるか?
マチューは13秒引き離す。
マチューが全開で登る。
タデイ・ポガチャルの引きにワウトがギリギリで耐える。
残り19.1km。17秒差。追いつかれたら終わりだ。
231m離れている。もう少し離れるとコーナーで見えなくなる。
21秒離れた。
残り17.8kmで25秒差。あとは、補給を忘れないようにしないといけない。
あっと、マチューがカーブで落車!
フェンスで止まった。ダメージは?
シクロクロスのように、すぐに立ち上がった。良かった~。
パンツもジャージも破れている。タイム差は20秒まで迫られる。
シューズのダイヤルをいじっている。その後、ダイヤルの紐をちぎって捨ててしまった。壊れたままで走れるのか?
残り1周
落車したマチューはまだリードしている。
タデイ・ポガチャルは後ろをみている。すでに追いつかないと思っているのだろう。
なんと、マチューは778mも引き離した。
凄い! 残り9.9kmで1分1秒差。
右側はボロボロだ。サボートカーから激が飛ぶ。
走りに陰りが見えない。ツール・ド・フランスでの3週間が役にたったのかもしれない。
残り7km。あとは、3人のメダル争いとなるのか。
マチューはタイム差を広げ続けている。
残り4.3km。マチューは歴史を作りにゴールに向かっている。
肘からは流血。膝からも流血。ジャージもパンツもボロボロだ。
落車したコーナーを今度はゆっくりとクリアー。
マチューがゴールに帰ってきた。
あ~、ついにマチューが世界チャンピオンに!
落車して、シューズが壊れボロボロの身体でゴールしてしまうとは凄すぎる。ハラハラドキドキのドラマまで見せてゴールするとは~。
シクロクロスとロードで世界チャンピオンになった歴史上初めてのライダーとなった。オランダ人の世界王者は1985年のヨープ・ズートメルク以来38年振り。
ミラノ~サンレモ、パリ~ルーベ、そして、世界選手権も制した。キャリアハイの成績を打ち出したといって良いだろう。アルカンシェルを着たマチューを1年間見れることになる。
2位には抜け出したワウト・ファンアールト。しかし、またもシルバーコレクターとなってしまった。しかも、ライバルのマチューに完敗だ。タイムトライヤルで挽回だ。
3位にはマッズ・ピーダスンをスプリントで破ったタデイ・ポガチャルが入った。まさか、2022ブエルタのスプリント王を破るとは~。
レムコ・エヴェネプールは、10分10秒遅れの25位でゴール。一体何がレムコにあったのか。この後、語られることだろう。
リザルト
マチュー・ファンデルプールのコメント
これは私にとってすべてを意味する。これは私のキャリアの中で最大の目標の一つだった。今日勝てたのは素晴らしいことだ。それが私のキャリアをほぼ完成させる。
これは私にとってこのロードでの最大の勝利だ。レインボージャージを着て路上で走るのがどんな感じになるか、想像することさえできない。
ゴールまで22km地点、坂道で決定的なアタックを開始して3人を置き去りにしましたね。
これが最も厳しい展開であることは分かっていた。最初に下りがあり、それから登りがあった。とても強く感じられ、残りが限界であることに気づいた。すぐに隙を突けるとは思っていなかったが、誰も追随しなかった。それは私に翼を与えてくれた、墜落するまで…。
一瞬、無駄だと思った。まったくリスクを冒していなかったので、それが愚かだったというわけではない。しかし、突然床に倒れた。私は自分自身に腹を立てていた。直立していなければならないと分かっていたので、私はそこで危険を冒さなかった。
しかし、時々非常に滑りやすくなっている。それがとても大変だった。しかし、このように切り上げてもそれはさらに良くならない。なぜならこれでタイトルを失ったら、私は何日も眠れなかっただろうから。
Rnk | Rider | Team | UCI | Time |
---|---|---|---|---|
1 |
VAN DER POEL Mathieu
|
Netherlands | 900 | 6:07:27 |
2 |
VAN AERT Wout
|
Belgium | 715 | 1:37 |
3 |
POGAČAR Tadej
|
Slovenia | 600 | 1:45 |
4 |
PEDERSEN Mads
|
Denmark | 490 | ,, |
5 |
KÜNG Stefan
|
Switzerland | 410 | 3:48 |
6 |
STUYVEN Jasper
|
Belgium | 340 | ,, |
7 |
DINHAM Matthew
|
Australia | 265 | ,, |
8 |
SKUJIŅŠ Toms
|
Latvia | 225 | ,, |
9 |
BENOOT Tiesj
|
Belgium | 190 | ,, |
10 |
BETTIOL Alberto
|
Italy | 150 | 4:03 |
11 |
POWLESS Neilson
|
United States | 130 | 4:20 |
12 |
VAN BAARLE Dylan
|
Netherlands | 105 | 4:24 |
13 |
SCHMID Mauro
|
Switzerland | 90 | 5:50 |
14 |
SKJELMOSE Mattias
|
Denmark | 75 | 6:22 |
15 |
MADOUAS Valentin
|
France | 60 | 7:53 |
16 |
DEGENKOLB John
|
Germany | 50 | 8:30 |
17 |
TILLER Rasmus
|
Norway | 45 | ,, |
18 |
DOULL Owain
|
Great Britain | 45 | ,, |
19 |
ARANBURU Alex
|
Spain | 45 | ,, |
20 |
VERMAERKE Kevin
|
United States | 45 | ,, |
21 |
CLARKE Simon
|
Australia | 45 | ,, |
22 |
GAMPER Patrick
|
Austria | 30 | ,, |
23 |
NEILANDS Krists
|
Latvia | 30 | 8:55 |
24 |
KELEMEN Petr
|
Czech Republic | 30 | 10:01 |
25 |
EVENEPOEL Remco
|
Belgium | 30 | 10:10 |
26 |
SWIFT Connor
|
Great Britain | 30 | 13:59 |
27 |
VELASCO Simone
|
Italy | 30 | ,, |
28 |
ROTA Lorenzo
|
Italy | 30 | ,, |
29 |
LIEPIŅŠ Emīls
|
Latvia | 30 | ,, |
30 |
GARCÍA CORTINA Iván
|
Spain | 30 | ,, |
コメント
日本の実況解説では「担ぎセクションの無いシクロクロス」・「石畳でないロンド・ファン・フラーンデレン」に例えられていましたが、まさにシクロクロッサー向きのコースでしたね。
というかスプリンターも残れるとは何だったのか…。結局「ピュア」スプリンターで完走できたのはコーイだけでしたね。
担ぎセクションの無いシクロクロスとは、いい表現ですね。実際、ここまでインターバルと、いつ落車するかわからない状況で戦うのは、とても辛かったでしょうね。
コーイは、途中落車したと伝えられてましたが、かなり序盤だったような。ジャスパー・フィリップセンなどは、はやくから切れてましたけど、ベルギー監督は絶対にメンバー選びで後悔していないと言ってました。
英国での世界選手権は前回同様、生き残るのが難しいコースでしたね。