長年にわたり、プロは53 / 39tの標準チェーンセットを使用している。
それは、非常に高速でレースを行い大きなギアが必要なため。
ほとんどのアマチュアサイクリストは、50 / 34tコンパクトと52 / 36tセミコンパクトに移行した。
昔は、5速および6速だったカセットは、11速から12速にギアが増加。
レースは、近年山岳がどんどん厳しくなっている。そのためにギアの数も増える結果に。
近年になってギアの傾向が、どう変わってきているので見てみよう。
今年のレースでは何が使われていますか?
サガンから見てみることに。
彼はツールでポイント賞ジャージを狙うスプリンター。スプリントでの最高速度のためにギアを選択している。
プリントフィニッシュの最後の200メートルで、トップスピードになるように、Shimano Dura-Ace Di2 54 / 42tチェーンセットを使用している。
それは最近のチェーンセットのギアですが、20 – 30年前には52 / 42tチェーンセットはかなり標準的だった。
リアカセットは11-28t。シマノが11速になって以来、11-28のカセットは広く普及している。
スプロケット間の小さなステップを維持しながら、11個のスプロケットが両方のレンジを拡大するため、ライダーが確実に最適なケイデンス範囲から外れることはほとんどない。
歯数が増えることにより、昔よりもリアカセットの寿命自体も若干延びている。
今年の傾向は、Shimanoの11-30tリアカセットの増加。
これは、プロレースバイクではなく、アマチュアバイクでしか見たことのないカセットサイズだったはず。
2、3年前にDura-Aceで導入され、今までに作られた最大の範囲のカセットになる。
今年の山岳ルートで、何人かのライダーはこの広い範囲のカセットで走っている。
ロードバイクのギアの数は増加しており、カセットは6スピードから現在のグループセットの11スピードと12スピードに増加した。
昔は、カセットに25tの大きなスプロケットがあるのが珍しかった。しかし、今日我々はプロの自転車で一般的に11-30tを見ている。
もちろん、もっと広い範囲のカセットを利用することも出来る。特に20%を越える勾配でレースが行われる場合には、プロでも30t以上のカセットを使うことがある。
上の写真は、アルベルト・ベッティオル(EF Education First Pro Cycling)のバイク。
ペッティオルは、サガンとは逆の選択をしている。それは、フロントの53tはそのままで、39tを38tに変更。これは厳しい山岳でより低いギアを使うようにするため。
それくらい、今年のツールの山岳が厳しいコースであることも影響しているはず。
これは、アレックス・ダウセット(Team KATUSHA ALPECIN)のバイク。
大きなチェーンリングのトレンドを裏付けるのは、SRAMの新しいRed eTap AXSグループセットとX-Rangeギアリング。
10tスプロケットと小さなチェーンリングを使用することで、よりスムーズなギア進行(より小さなギャップ)で幅広いギアを提供するグループセットを作成している。
SRAM Red eTap AXSの場合には、50×37tチェーンセットと10-28tカセットが標準となる。
小さいチェーンリングでアレックス・ダウセットが高速走行でギアが足りなくなると考える人もいるかもしれない。
50×10のギア比は、53×11よりも大きい。逆に、37×28では急勾配でより高いケイデンスを可能にするのだ。
アレックス・ダウセットは、2015年にローハン・デニス(当時BMC)の記録を446m上回り、52.937kmの新記録を樹立している。タイムトライヤルの得意な彼でも、このギアの構成で足りていることになる。
ただ、Trek-Segafredoのリッチー・ポートは53×39tのプロトタイプのRed eTap AXSでレースしているのが確認されている。
ニーズは様々なので試行錯誤されているのだろう。
53×39tチェーンセットは、山岳ステージでは36tのインナーチェーンリングに変更することが出来る。
カセットオプションは11-29tと11-32tの2つの選択肢が可能。 Campagnoloの最新のグループセットは12スピードだ。そのメリットは、最初の7つのスプロケットが1段ずつ上がることにある。
一気に、ギアが変わることなく最適なギアを選択することが出来るのはライダーにとって都合がいい。
1倍はどうですか?
フロントシングルは、中々プロレースでは見られることがなかった。
Aqua Sport Blueが3Tのフロントシングルを使っていたことがある。この時にリアカセットは11速で山岳でギア比が足りず、チェーン落ちも多発。
たが、SRAMの場合には、プロレースでフロントシングルで使っている選手もいる。
トレックのマッズ・ピーダスンがレースで使用。ジョン・デゲンコルプも使用したことがある。ただ、ジョン・デゲンコルプの場合にはチェーン落ちしたはず。
フロントシングルにはメリットもある。
- 重複するギアが少ない
- 空力的に有利
- フロントディレーラーが不要
ただ、デメリットも考えれる。チェーンの脱落だ。この問題が残るだろう。
終わりに
今日のプロロードレーサーには、10年から20年前よりもはるかに優れた機器が装備されている。
進化するにつれて最も興味深いトレンドとなっているのはギア。 スプロケットの数が増えるにつれて、ギアレンジが広がった。
シマノ・カンパ・SRAMは、ブロのニーズに焦点を当てている。プロレースで試してから一般に販売をする。しかし、53×11のギアを必要とする人はほとんどいない。ブロのニーズと一般のニーズは異なるのだ。
これについては、ゆっくりと変化をしている。レースをしない一般のユーザーのために現実的に使えるギア比を持ったグループセットが多く販売されるようになった。
まあ、ブロとは足が違いますからね。プロでも11-30の大きなギアを使っているので、自分も見習おうかな。12-25から11-28にでもしたら坂も楽になるんでしょうね。
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