ついにこの時が来た。
数ヶ月にわたりロードレース界の噂となっていたデレク・ジーの去就問題。その長いドラマのエピソードがついに完結し、Lidl-Trekが正式に彼の加入を発表した。
2028年までの3年契約
One last announcement to make our 2026 roster complete… welcome on board @DerekGee7 🍁
Derek’s contract with Lidl-Trek runs through 2028 🤝
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— Lidl-Trek (@LidlTrek) January 6, 2026
夜9時には就寝して早朝からバードウォッチングを楽しむ優しい男デレク・ジー。
デレク・ジーは、2022カナダ選手権タイムトライヤルチャンピオン。トラック競技もやっていて、2018世界選手権チームパーシュートに出場。
東京オリンピックのカナダ代表の資格も得ていた。2023年に、Israel Cycling AcademyからIsrael – Premier Techに昇格し、初めてのグランドツアーである、2023 ジロ・デ・イタリアで大活躍。
改めて2位の記録を見てみると
- 山岳賞 2位
- ポイント賞 2位
- 中間スプリントポイント賞 2位
- 逃げフーガ賞 2位
- 2位が4回、4位が2回
ステージハンターのイメージが強かったが、2024 クリテリウム・デュ・ドーフィネ第3ステージで優勝し、最終的に総合3位となったことで総合も狙える選手であることが証明された。
Israel – Premier Techは、デレク・ジーのことをゲラント・トーマスのようなタイプだと言っていた。トラック出身で、タイムトライヤルも強く、クライミング能力も高い。
デレク・ジーが総合順位を狙うようになったのは、2024 ツール・ド・フランス第9ステージで3位になった時からだ。
難しいグラベルステージで、終盤の逃げに入り込みスプリントを先頭で開始。もう少しでステージ優勝という場面だった。
この3位のおかげで、総合14位から9位へとトップ10入りを果たす。デレク・ジーは山岳でも強さを発揮。第19ステージのイゾラ2000では9位でフニッシュ。第20ステージのニースのステージも12位。
圧巻は、最終第21ステージの個人タイムトライヤル。カナダTT王者に2回なっているけど、山岳を含んだ個人タイムトライヤルで6位は凄いことだ。
尻上がりに強さをみせて、総合9位でゴールとなった。プロチームであるIsrael – Premier Techにとって、ツール・ド・フランスでの総合トップ10入りは悲願だった。これを見事にデレク・ジーが達成した。
2025年初戦のオー・グラン・カミノ第3ステージの個人タイムトライヤルで勝利。総合優勝も飾る。
2025 ティレーノ〜アドリアティコ 総合4位。2025 ツアー・オブ・アルプス総合3位。そして2025 ジロ・デ・イタリアでも総合4位。カナダロード王者ともなった。
だが、それからデレク・ジーはレースに出ていない。チームの方針には従えなかったのだ。心優しき男には耐えがたいことだったに違いない。
デレク・ジーが契約期間を残して一方的にチームを離脱しようとした際、イスラエル側が「契約違反による損害」としてUCI(国際自転車競技連合)の仲裁裁判所に申し立てた請求額が約3000万ユーロ(日本円で約50億円)だった。
これは法的な脅しや交渉の出発点としての意味合いが強く、実際に支払われるべき確定した借金ではなかった。
では、最終的にどう決着したのか?
Lidl-Trekへの移籍発表と同時に、前所属チーム(NSN)からも「デレク・ジーとの契約問題を解決し、合意に至った」という声明が出されている。 つまり、裁判で泥沼化する前に示談が成立したとみられる。
一般的なケースで、この和解において金銭の授受が発生した場合、負担するのは新しい所属チームであるLidl-Trekであるのが通例。 ただ、Lidl-Trekの負担は50億円満額ではなく、両チームが納得する現実的な移籍金(バイアウト条項)として、大幅に減額された金額をLidl-Trekが旧チームに支払うことで手打ちにしたと考えられる。
デレク・ジー本人が、数十億円もの賠償金を負担することはなく、新チームがそれを肩代わりする(移籍金として処理する)ことが契約の条件となったようだ。
これでLidl-Trekの総合系ライダーは
- デレク・ジー
- テイオ・ゲイガンハート
- マティアス・スケルモースイェンセン
- ジュリオ・チッコーネ
- フアン・アユソー
これだけ揃うと、デレク・ジーの役割はグランツールでのエース。ステージハンター、クラシック狙いとなるかも。ツール・ド・フランスでは山岳アシストとなるかも。それともトリプルエースで調子のよい選手が狙うことも可能だ。
Lidl-Trekは、一気にスプリントからクラシック、グランツールの表彰台も狙えるチームとなった。
デレク・ジーのコメント
Lidl-Trekの一員になれることを、信じられないほど嬉しく思う。外から見ていて、このチームのレースに対する姿勢は常に攻撃的で、レースを動かそうとするスタイルにはずっと憧れを抱いていた。
自分の脚質や走り方にも、これ以上ないほどフィットする環境だと感じている。
ここに至るまでの数ヶ月間は、正直に言って精神的にタフな時期だった。契約問題などの騒動があったが、最終的にすべての問題が解決し、こうしてチームに合流できたことに安堵している。
今はただ、過去のことは後ろに置いて、バイクに乗ることだけに100%集中したい気持ちだ。2026年シーズンに向けて、モチベーションは最高潮だ。
マッズ・ピーダスンやマティアス・スケルモースイェンセンといった強力なチームメイトたちと共に走れることにワクワクしている。クラシックレースやグランツールでチームの勝利に貢献し、自分自身もさらにレベルアップしていきたい。








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