ヴィクトール・カンペナールツは4月16日火曜日にメキシコのアグアスカリエンテス・ヴェロドロームでUCIアワーレコードを見事に更新した。
簡単に出来ることではなく、そこに至るまでには用意周到な準備があった。
ナビビアでのトレーニング
カンペナールルツは、アワーレコードのチャレンジのために南アフリカの地でトレーニングキャンプを行った。
出身地のベルギーでは、運河沿いに走るためタイムトライヤルには何の支障もなかったのだけど。家にもすぐに帰れる場所だったので便利だったのにどうしてなんでしょうか?
- ナビビアの海抜1730mは、メキシコのアグアスカリエンテスと同じ高地
- 35℃で2ヶ月間トレーニングでメキシコの気温30℃に慣れるため
- ベルギーと同じタイムゾーンで、時差ボケがない
カンペナールルツがナビビアを選んだのには、以前のオランダ人チームLotto-Jumboのコーチの勧めもあったようだ。
高地トレーニングと気温への順応。生物学的適応は彼のパフォーマンスにおいて重要な役割を果たした。
コアの安定とヨガ
細部は違いを生む。 それは知られていることで、カンペナールツはそれを信じて実行している。
- 弱点を知ること。一日中サドルの上にいると痛い場合とかは、部分演習が必要
- 正しいフォーム、やり方を実行することが重要
- 他人との比較をしない。自分のペースでブラッシュアップする
- コアトレーニングは年中行う
- 2時間は行わない。特定の筋肉に対して45分のトレーニングで十分
タイムトライアルポジションと風洞試験
空気力学はそれほど論理的ではありません。ただ、単にハンドルを下げれば良いといった問題ではなく、最高のポジションを見つけるためには、テストと測定が必要となる。
初期テストの後、私たちは7cmハンドルバーを持ち上げた。 さらに最適化するために、肩を下げ、耳を肩に近づけた。
そして、私のあごを私の手のひらに押し付ける必要があった。 このポジションの変更により、パフォーマンスが5%向上した。
風洞実験では、自転車乗ることも、ペダルを踏む必要もないこともある。顔に時速50キロの風を当てるが、正しい結果を得るために動くことは出来ない。
4~5分のテストを15回行う。テスト後は、かなり疲れ切るので、その後のロードトレーニングなど出来ない状態だ。
集中的な風洞試験、柔軟性とコア安定性のおかげで彼はプロプロトンの中で最も空力的なライダーの一人です。
身につける装備
完ぺきなペースメーク
UCI公認トラックは1周250m。
ブラッドリー・ウィギンズによって設定された54.526kmの距離を超えるためには、60分で218周をカバーしなければなりません。
その目標を達成するために、1周を16.4秒、または毎分約4周の平均周速を維持する必要があります。さらに、クルージングスピードに到達するのに必要な余分な時間、最初の3周に渡る10秒が考慮されるべきです。
16.4秒×218周+10秒= 59分45秒
計算では、残り26メートルをカバーするために正確には15秒が残っています。
つまり、1周250mを16.4秒というペースさえ、守れば記録達成が出来ると計算してペース維持のためにトラックを回り続けて調整した訳です。
最低限の視線の移動で済むように、1周毎にスタッフが路面近くで教えています。
メキシコでのリズム調整
メキシコでの10日間の滞在で、気温は午前11時から12時の間が最適であることが明らかになった。
気温30℃。暑すぎると感じる温度ですが、運動能力が一番良くなる気温は28℃と言われてますからパフォーマンスの為には良いでしょう。
開始時間に合わせて、起床を4時30分。就寝は20時としてホルモン的に、身体に午後と感じさせるように調整。これは午後に身体は最高のパフォーマンスを発揮するからだ。
そのために、脳が眠りにつく時間であるという信号を受け取るようにするために、17時から身に着けている青い光フィルター付きの眼鏡も使っていました。
食事も体重1kg当たり10~20gの炭水化物を摂取して、エネルギー切れを防ぎます。
スケジュール
以下は、開始点としてインスブルックでTTワールドチャンピオンシップでの銅メダル獲得からの、アワーレコード挑戦までのスケジュールカレンダーです。
- 9月22日 – 9月26日:世界選手権インスブルック銅メダル獲得
- 9月29日:スイス、グレンヘンでの30分間のテスト
- 冬休み:サンフランシスコとアイアンマンハワイへの休暇(10月19日まで)
- 10月29日:トレーニングを再開
- 11月13日 – 11月20日:オリンピアントレーニングキャンプランサローテ島
- 12月8日 – 12月18日:マヨルカ島のトレーニングキャンプLotto Soudal。 膝の怪我により自転車でのトレーニングはなし
- 12月20日:最初のトレーニング後の膝損傷
- 1月2日:ナミビアでのキャンプ
- 2月26日:発表UCIアワーレコードの試み
- 3月4日:ナミビア養成キャンプからの帰国
- 3月11日 – 3月19日:ティレーノ – アドリアティコ
- 3月20日 – 26日:回復、最終トラックテスト、高所での睡眠、気候トレーニング、乳酸テストに焦点を当てたベルギーでの最後の週
- 3月27日:メキシコへ出発
- 4月16日または17日:時間記録の試み
- 4月19日:ベルギーに戻る
- 4月29日 – 5月5日:トゥールドロマンド
- 5月8日:Giro d’Italiaへの出発
まとめ
機材・環境・体調ありとあらゆる物。考えられる全ての準備をして初めて突破出来たアワーレコードだった。
記録更新は最後のラスト1分だから、それまではわからないですからね。55kmを突破するという、素晴らしい記録となった。
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