2023年のUCI eスポーツ世界選手権の出場権を獲得したZwiftレーサーは、2月の予選で見事な走りを見せたものの、データストリームがハッキングされた結果であることが判明した。
その為、チームから解雇され、6ヶ月間のレース出場禁止を言い渡されている。
Toyota CRYO RDTレーシングチームのメンバーである南アフリカのEddy Hooleは、ヨーロッパ・アフリカ大陸予選で、最後に登りで集団から抜け出し、それまでレースをリードしてきた選手を抜いて優勝し、世界選手権への自動出場権を獲得し、解説者を驚嘆させた。
予選は、ライブストリームで約6000人が見ており、すぐに話題となった。
麓から8.5倍で走る?
ZwiftはEddy Hooleの疑わしいパフォーマンスに関する「パフォーマンス検証委員会の決定」を発表し、ライダーは故意に不正を働いたと結論付け、彼を6ヶ月間出場禁止とした。
Zwiftは、最後の上り坂でのEddy Hooleの走りに注目し、この南アフリカ人ライダーの4分16秒の平均出力が526wであることを突き止めている。
Zwiftが公開した、上記のデータの凡例は
- 地形/高度 : 灰色
- パワー : 緑
- 推定エネルギー貯蔵量 : 黄色
- 心拍数 : 赤
注目したいのは、緑のパワーの部分だ。
Zwiftによると、
体重を考慮すると、約8.5W/kgの平均出力が持続することになり、90mL/min/kg以上のVO2maxが必要な性能であることがわかった。
この値は、オリンピックのパシュートチャンピオンや世界記録保持者(4分間の平均出力、約7.5W/kg)、ツール・ド・フランスの優勝者(VO2max、約85mL/min/kg)よりもかなり高い値です。
そんな人は世界中を探してもいない。
さらに決定的なのは、Zwiftは「そのライダーが世界的に重要なワールドクラスのアスリートであることを示唆するような状況証拠はない」と指摘していること。
このライダーは、実際のロードの成績もなく、典型的なトレーニング負荷はZwiftでの低強度のサイクリングを週3時間程度だと言うのだ。
Hooleが彼の資格を証明するために行った独立したテストでは、同様の努力の間に平均400ワットしか管理できないことがわかっている。
Zwiftはレース中に、サーバーに短時間の切断が発生したことを突き止めている。具体的なハッキングの方法は憶測でしかないけれども、ペアリングされたデバイスから送信されたものと推測されている。
Zwiftは今回のような違反に関して以下のような制裁を設けている。
第3段階:スポーツの評判を落とすこと
例としては、以下のようなものが挙げられるが、これらに限定されない。
- データの捏造・改ざん
- 機器の改造、その他外部トレーナーによるコントロール
- ボットや模擬ライダーの使用
- 個人情報の詐称
- レース関係者の悪用
罰則は以下の通りだが、これに限定されるものではない。
- 最初の違反 Zwift Cycling Esportsイベントから6ヶ月の参加禁止
- 2回目の違反。Zwift Cycling Esports イベントから 1 年間の参加禁止
- 3回目の違反。Zwift Cycling Esportsのイベントから生涯追放
しかし、6000人も見ている中で、最下位からトップに上がるなんてことをしたら、疑われるのは当たり前だ。何故、そんなことをしたのだろうか?
このまま、決勝に進んでいたらどうなっていたのだろう。公平性が求められる競技で信頼性を揺るがす行為だと言える。
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